菜々とコミュニケーションが取れるようになったのはいいが、これからどうやって解決すればいいのか…と考えていると、
「結局白波さんはこの事件の解決法について考えがあったりするのか?…あと頭に鎮痛剤の箱ついてるぞ」
と裕司が言った。
「菊夜でいいわ。まだまだ解決法に繋がるアイデアは見つからないわね…。とりあえず菜々が見ている世界について話しましょうか。…頭が痛いからつけたのよ。」
そして菜々のいる異次元について話しはじめた。えっ?飲まずに頭につけるってどゆこと?しかも箱。
「気づいてると思うけど、ところどころ前まであったはずの店とか家がなくなってるでしょ?」
「いつもの潰れた菓子屋が本体ごと消えてたのよね…。小さい頃はよく通ってたのに…。箱つけても意味なくない?飲まないと意味ないわよ。」
そういや夕だけが潰れる前の菓子屋を知っていて、常連みたいな感じだったらしいと聞いたことがある。
菊夜はなんか治らないと思ったと言いながら、
「菜々によると、この次元で消えてるものが異次元には存在していて、逆にこっちに存在するものがあちらにはないらしいわ。」
不思議だな…綺麗に世界ごと半分に割れたみたいだ…。
人口も半減、存在していたものが半分消えている…しかもところどころ前とは違う色合いとか構造になっている…まるで…
「こちらに本来存在してた人が元からいないことになっている…そして歴史は矛盾を消すために塗り替えられた…」
私の予想通りの言葉が菊夜の口から放たれた。
それなら納得がいく。
ファンタジーだねこれは…。
「あのー、こちらの世界と雰囲気とかは全く一緒なんですか?…なんで鎮痛剤お水で飲まないで噛んでるんですか?」
と華が言った。
「なんか時間の流れが変らしい。ずっと夜が明けないんだって。しかも、夏だったはずなのに冬になってるらしい。…薬の類を飲んだ記憶が今までないから知らないわよ…」
え?そんなことある?
こっちなんてめちゃくちゃ眩しいし暑いよ。
あれ、もしかして…
「もしやこっちはずっと明るいままになったりする?」
と私が言うと…
「あり得るわね…シンプルに時間と季節が真逆……いや、分割されてるのかもしれない…」
だからさっき神の悪戯だのなんなの言ってたのか…。
「あんたってただの中二病じゃなかったのね…」
と夕が言った。
「だから中二病じゃないって言ってるじゃない!!」
頑固な供述。
「それなら奇妙な変装なんてしなくて良かっただろ」
と裕司が言うが、
「いやだから雰囲気作りは大切でしょ?」
と返答。
やっぱり変人だね。
「そーゆーところが中二病なんじゃないの?」
と夕に言われるが、
「え?何が?」
と、さっぱり理解できてない様子だった。
もう狂人だね。
「あなたは狂った患者ね」
と私が言うが、
「なにそれかっこいい…」
と返された。
やっぱり中二病だね。
話を戻すかな。
「でも歴史がちゃんと塗り替えられるなら本来家があったところに別の人の家があるみたいな現象起きないのかな?」
と私が純粋な疑問を抱くと、
「つまりは犯人が完全な力の持ち主ではないということだと思う…全知全能の神ならそこら辺の矛盾も創らない。ところどころ色合いを変えたりしてそれっぽさを出そうとしてるのが逆に不自然だわ。あとは異次元の人は全員こっちの次元の人のことを覚えてるのに、こっちの次元では異次元の人のことを覚えてる人が数えられるくらいしかいないというのも謎。」
え?異次元の人たちはこちらのことを覚えてるのか?
なんでそうなる……。
そんなことを話していたら、
「真実に近づこうとしてるのですわね…」
という声が聞こえた。
そこには、いかにもお嬢様といった感じの服装をしている人がいた。
「…どちら様ですか?」
と私が聞くと、
「私の名前は七色木白音…とあるものを管理する者…」
そう言って歩きはじめて、
「ここは眩しいですわ…ちょうどいい場所にあなたたちを招t」
そして綺麗にずっこけた。
なんかこれ似たような状況前にもあったな。
そしてその人はなんとか体勢を整えた。
「……私の名前は七色木白音…」
そこからはじめるのかい。
そして、
「誰あなた?中二病?」
と、菊夜が言い出した。
「鏡見たら?」
と私が言うが、
「え?今持ってないけどなんで?」
「いやそういう意味じゃないんだけど…」
という調子だった。
しばらくすると七色木白音という人物が小声で何か言いはじめた。
「………けんな……」
「え?」
「ざっけんなてめぇこのやろうばかやろう」
「え?ええ?」
あっやばい人だわこの人…。
いや急に通行人によくわからんこと言ってる時点でやばいけど…。
流石の中二狂人も今の状況に困惑している。
真顔で語彙力が消滅した発言をしてるのだから当然だろうか。
「わたしだってたまにはいいところのおじょうさまっぽくかっこいいこといいたいにきまってるじゃないそれをいつもみんなみんなだいなしにしてなんでいつもこうなるのおかしいよねおかしいんだよ……」
やばい、近くにいると同類だと思われる。
逃げなきゃ。
「今逃げようとしましたわね?」
「はい?」
なんか急にお嬢様モードに戻ってるんだけど。
情緒やばすぎるね。
「先ほどから私の魅力を恐れてみんな逃げるのですわ。あなたたちもそうですの?」
かわいそうに。
声かけられた人が。
まあ、ここはなんとか合わせてあげるか…。
「アーオソロシーニゲナイトアットウサレテシマウ」
「そうですの!そうですの!私を恐れて皆が震え上がっていますの!!」
「コワクテコワクテフルエル」
「いや、あんたが頭おかしいから同類だと思われたくなくて逃げようとしてるだけなんだけど?」
おい、夕、空気読みなさい。
そうだった。
この人思ったことすぐ声に出ちゃうタイプの人間だったんだ。
何も言わずに逃げようとすることができたんだから我慢して欲しかった…。
「あんたなんてしらないばかばかばかばか」
やっぱり壊れたわ。
今日だけで新たな狂人2人に会ってるんだが。
この世界がファンタジーになったから、頭ん中がファンタジーなやつが増えちゃったのかな。
正午のように明るい午後6時にそんなことを思っていた。
次回は笹絵山菜々視点になると思います。