もしもJK星歌ちゃんだったら。   作:三十路スキー

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もしも伊地知星歌が女子高生ドラマーだったら?


伊地知星歌は女子高生!
あたしとピンクのヤベーやつ①


 あたし、伊地知星歌(いじちせいか)。下北沢高校2年。いろいろあって9歳からドラムやってる。高2になってから組んだ新しいバンドで今日は虹夏おね……じゃなくて、姉貴が作ったライブハウスであたしたちのドキドキ初ライブ! ……のはずだった。

 ホント最悪。メンバー募集で来てくれたギターボーカルがまさかの当日バックレ! 合わせ練習頑なに避けてたから、アヤシイと思ってたけど、本番直前で辞めるとかねーだろ! 普通。

 これじゃあ、せっかくベースやってくれるダチに申し訳が立たない。それに、姉貴のライブハウスに泥を塗る真似はできない。それだけはなんとしても避けたい!

 で、公園でなんとか見つけたのが自称そこそこのギタリスト、後藤ひとり。今日だけサポートギターを頼むことにしたんだけど。

 

――頼む相手間違えたか?

 

 こいつ、かなりヤベー! 話してても全然目線合わせないし! 質問してもボソボソしゃべって何言ってんのかさっぱりわかんねぇ!なぜかあたしの匂いめっちゃ嗅いでくる! 

 そしてなにより、このピンクジャージ! 負のオーラがすごい! 只者じゃない。高1って言ってたけど、こいつネクラに見えてとんでもない不良少女だったりするのか!? 

 でも顔は整ってるんだよな。前髪が邪魔だけどかなりの美形だ。なんなんだよこいつは。

 

 今も姉貴のマネをして、あたしなりに最大限の笑顔と声色でがんばって話しかけてる。初対面だけど、『ひとりちゃん』なんて、いきなり名前呼びしてみる。姉貴流の仲良くなるテクニック……らしい。

 でも、実際は話すたびに悉く目を逸らされてる。とりあえず話す中でバンドは組んでいないこと、1人で練習しながら演奏動画をオーチューブにアップしていること、いつかはバンドを組みたいと思っていることが聞けた。

 もしバンドに入ってたら後で問題になるし、フリーならこちらとしてもありがたい。

 

「私は武道館をも埋めた女……ふへへ」

 

「お、おう」

 

 それになんか……独りの世界? に入ってるし! 情緒不安定すぎるだろ。

 

「あのさ、ひとりちゃん」

 

「あっ、はい」

 

「さっきからあたし話してんだから、目ぐらいちょっとは合わせてよ」

 

「あっ、はい。ス、スミマセン! そ、そうしましゅ」

 

「また目反らしてる。地味にそういうの傷つくんだよね」

 

「ひぎぃ! ス、スミマセン!」

 

「……もしかして、お前あたしのことビビってる?」

 

「はい! じゃなくて! ビ、ビ、ビ、ビビってるとか、そ、そんなことは……な、ないです」

 

「……ならいいけど」

 

 実際、あたしの見た目はかなりコワモテらしい。そりゃ高2女子としては身長デカいし、目つきも悪い。声も低い。おまけに老け顔だ。あくまでちょっとだけ。

 ライブハウスでバイトしてたら、店長に間違えられたときはかなりショックだった。正直、姉貴のほうが童顔でかわいいもんな。アラサーなのに。

 

「てかさ……お前歩くの遅すぎ! 悪いけど、時間無いから。手、繋ぐよ?」

 

「あ、はい。……え、えぇ!?」

 

 右手をひったくる様にして、手を繋ぐ。あたしは彼女の手を引っ張りながら早足に歩いていく。度々転びそうになりながら、なんとかついてきてくれる。

 

 ……かわいい。

 

「着いた。ここがスターリー。階段の下だから」

 

 ふぅ、なんとか到着。あとは階段を下りるだけ。……あいつは今にも吐きそうだ。でも、もう引き返せない。せめて今日だけは、こいつをなんとかおだててその気にさせないと! ベースとドラムだけでライブなんてありえねーし!! 




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