もしもJK星歌ちゃんだったら。   作:三十路スキー

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ぼっちちゃんやさしい③

「おおーみんな似合ってるよー!」

 

 着替え終わったあたしたちを見て姉貴の一声。姉貴は着ないからって呑気なもんだな。

 

「メイド服とか初めてですけど、かわいいですよね、これ! 先輩方も執事服お似合いですよ!」

 

 確かに喜多のやつ、メイド服も文句なしに着こなせてる。でもな、お前のは逃げた罪滅ぼしだってこと忘れんなよ? せいぜいこき使ってやるからな。

 

「似合って当然。素材がいいから」

 

 リョウはずっとドヤってるし。

 

「後藤さんも甘いめの雰囲気でよく似合……って、ご、後藤さん! 泡吹いてる!」

 

「ぶくぶくぶく……」

 

 ぼっちちゃんしっかりしろー! カニみたいになってるぞ!

 

「ふふっ。星歌ちゃん、かっこいいよ」

 

 あたしの燕尾服姿を見てニッコリ笑う姉貴。

 

「からかうなよ。リョウはともかく、あたしなんか全然似合ってないだろ?」

 

「お婿さんに……もらってあげよっかな?」

 

「な、なんだよ、いきなり!」

 

 姉貴、急に耳元で囁くのやめろよ! 顔がかあっと赤くなるのが自分でもわかる。

 

「な~んてね♪」

 

 むぅ……。

 

「それじゃ、みんな開店準備始めて」

 

 

 

 

 

「……うち、そういう店じゃないんで」

 

 メイド服の受付スタッフにしつこく絡む、モヒカンナンパ野郎の手首を捻じって締め上げる。うちみたいな小規模なライブハウスの客は『濃いファン』が多い。ほとんどがマナーのいい人で助かるけど、たまにこういう勘違い野郎が出るんだよな。

 

「あ……あが……! す、すみませんでしたー!」

 

 あ! 逃げやがった! 警察に突き出してやろうかって思ったのに!

 

「うう、怖かった……。伊地知先輩、ありがとうございます!」

 

「なんかごめんな? 姉貴がヘンな格好させたせいでさ」

 

「……ああ、近くで見たらやっぱりかっこいい! リョウ先輩と甲乙つけがたいわ!」

 

 ズイっとこちらを上目遣いに見つめてくる喜多。キラキラした視線に一瞬ドキっとする。

 

「んだよ……あたしはリョウみたいにカッコよくないし、イヤミかよ?」

 

「そんなわけないですよ! 伊地知先輩もかっこいいじゃないですか! ユニセックスで顔がいい2人だなんて、きゃー! もうたまらない!」

 

 ぶっ壊れた? 喜多に妙なスイッチが入ったぞ。完全無欠のリア充っ子かと思いきや、ぼっちちゃんに負けず劣らずの変人なのか?

 

「……とりあえず、受付は粗方捌けたから、次はドリンクやってよ。やり方はぼっちちゃんに教えてもらってさ」

 

「わかりました!」

 

「ぼっちちゃん! 喜多にドリンク教えてあげて」

 

「は、はい!」

 

 ぼっちちゃんまたゴミ箱入ってる。……やれやれ、これで一息つけるかな? とはいえ、ぼっちちゃん大丈夫かな? これじゃ、むしろ喜多に支えてもらわないと困るな。でも、あいつ臨時のくせにやたら優秀だし大丈夫……かな?




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