もしもJK星歌ちゃんだったら。   作:三十路スキー

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結束バンドの結束記念日③

ツチノコぼっち コミュ障人見知り科

暗いじめじめした場所を好む

人と目があっても話しかけられても

気配を感じても即瀕死

からあげとギターがすき

 

ツチノコせーか コミュ障コワモテ科

ライブハウスのダークな雰囲気を好む

中学の時漫画研究部に入りたくて

部室に行ったら顔だけでビビられて

結局入れなかったのが今でもトラウマ

りんごとおねえちゃんがすき

 

「あたしが……」

 

「……私たちが」

 

「……下北沢の」

 

「ツチノコです……」

 

「ノコノコ……」

 

「……ウネウネ」

 

「もう! いい加減、元に戻ってくださいよ!」

 

「……じゅるり」

 

 なんだこりゃ。でも、あたしたちだって女子高生なんだ。アイデンティティが崩壊したらツチノコにもなる。……この状況をお巡りさんにでも見られたら、いろんな意味でアウトだったな。駐車場でウネウネする少女2人とかやばすぎるだろ。

 

「ほら! 伊地知先輩! しっかりしてください!」

 

 喜多ちゃんがあたしの肩を抱えて立ち上がらせようとする。ぼっちちゃんにはリョウが肩を貸している。少し喜多ちゃんの胸が当たる。

 

 ぺたーん……

 

「あ。ぺったんこ」

 

 やべ! 無意識の失言!!

 

「~~~~!!!」

 

「があああ! やめろ喜多ちゃん! 無言でアームロックはやめて! あたし、一応せんぱ……ぎゃあああ!」

 

 やめろ……じぬ。

 

 

 

 

 

「悪かったって。もう機嫌直せよ喜多ちゃん」

 

 ……死ぬかと思った。

 

「怒ってません!」

 

 腕を組んでプイっとあたしに背を向ける喜多ちゃん。やっぱ怒ってんじゃん。……女同士でさこんなに気にするか?万年Aカップの姉貴じゃあるまいし。

 

「おおお……F91……ぼっちちは……バケモノか……」

 

 リョウはなんか幸せそうな顔で、立ったまま気絶してる。ぼっちちゃん、胸当たってるって!

 

「……生まれてしまう! 承認欲求モンスター!」

 

 ぼっちちゃんは、またこの世の終わりみたいな顔してるし。そして相変わらずのぼっち節。承認欲求モンスターってなんだよ?

 

「……」

 

 リョウ! 喜多ちゃんがすげぇ睨んでるぞ! 気づけー!

 

 ……そして、なぜか私は怪獣の着ぐるみを着たぼっちちゃんを、赤い全身タイツの喜多ちゃんマンが押し倒しているシュールな姿を幻視していた。そんな昼下がり。

 

 

 

 

 

「そろそろ、マジメに撮ろうか」

 

 リョウ! 急に冷静になるな!

 

「こういうジャンプとかいいと思います! 絵になるし、なんか憧れませんか?」

 

 切り替え早いな、喜多ちゃん。スマホでガールズバンドやアイドルグループが楽しそうにジャンプしてる写真をいくつか見せてくれた。いい感じの躍動感が青春って感じを演出してる。

 

「なるほど。流石喜多ちゃん!」

 

「有識者が言っていた。オープニングでジャンプするアニメは神アニメ、と。つまりアー写でジャンプすれば神バンドになるのでは?」

 

「あ、そ、それ……バンドと。な、何の関係が?」

 

「まあ、いいや。とりあえず撮ってみようか」

 

 さあ! 元気良く! じゃーんぷ! なんか、ぼっちちゃんだけぎこちないな。写真のデキを確認。……こ、これは!?

 

「あ、ぼっちのぱんつ」

 

「ふふふ……とんでもないモノ撮れちゃったな」

 

 水色で白いフリルが付いたかわいいやつ。正直ちょっと意外だな。

 

「……私なんかがすみません。これはお母さんが買ってきた下着でして。地味ですよね? とにかく、無価値なものをお見せしてすみません。写真は消してください」

 

 珍しく流暢にしゃべるぼっちちゃん。葬式みたいなムードだ。もうちょっとかわいい反応、期待してたんだけどな。

 

『星歌ちゃんのバカ! もう知らない!』

 

 とかさ。お顔が真っ赤だよぼっちちゃん。ぐふ、グフフフ……。

 

「星歌……顔、顔。今、スゲーキモいよ」

 

「伊地知先輩……その表情はちょっと……」

 

 

 

 

 

 ま、ちょっとしたアクシデントもありながら無事アー写撮影は完了。グループロインにデータをアップして共有しておこう。

 

「後でイソスタにバンドのアカウント作りますね!」

 

「任せた! SNS担当大臣!」

 

「……大臣って、ちょっとダサいよ星歌」

 

 アー写はこれでばっちりだ! 今日は夢への第一歩だな。結束バンドの結束記念日! ……なんちゃって。目指せ学生のうちにメジャーデビュー!

 

「写真はあたしがプリントしとくわ。スターリーで確認しよう。今日はありがとな。解散!」

 

「お疲れ」

 

「お疲れ様です!」

 

「お、お疲れ様、です」

 

 ぼっちちゃんと喜多ちゃんは駅のほうに歩いていく。あたしやリョウの家とは逆方向だ。

 

「さて、帰るかリョウ」

 

「いや、ちょっと散歩してから帰る」

 

「また草摘んで食うのかよ。いい加減、家金持ちなんだから親に頼れよ。ヘンな意地張ってないでさ」

 

「……いいじゃん。お疲れ、また明日」

 

 うーん。リョウとはそこそこ長い付き合いだけど、いまだに結構分からんとこあるよな。




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