ツチノコぼっち コミュ障人見知り科
暗いじめじめした場所を好む
人と目があっても話しかけられても
気配を感じても即瀕死
からあげとギターがすき
ツチノコせーか コミュ障コワモテ科
ライブハウスのダークな雰囲気を好む
中学の時漫画研究部に入りたくて
部室に行ったら顔だけでビビられて
結局入れなかったのが今でもトラウマ
りんごとおねえちゃんがすき
「あたしが……」
「……私たちが」
「……下北沢の」
「ツチノコです……」
「ノコノコ……」
「……ウネウネ」
「もう! いい加減、元に戻ってくださいよ!」
「……じゅるり」
なんだこりゃ。でも、あたしたちだって女子高生なんだ。アイデンティティが崩壊したらツチノコにもなる。……この状況をお巡りさんにでも見られたら、いろんな意味でアウトだったな。駐車場でウネウネする少女2人とかやばすぎるだろ。
「ほら! 伊地知先輩! しっかりしてください!」
喜多ちゃんがあたしの肩を抱えて立ち上がらせようとする。ぼっちちゃんにはリョウが肩を貸している。少し喜多ちゃんの胸が当たる。
ぺたーん……
「あ。ぺったんこ」
やべ! 無意識の失言!!
「~~~~!!!」
「があああ! やめろ喜多ちゃん! 無言でアームロックはやめて! あたし、一応せんぱ……ぎゃあああ!」
やめろ……じぬ。
「悪かったって。もう機嫌直せよ喜多ちゃん」
……死ぬかと思った。
「怒ってません!」
腕を組んでプイっとあたしに背を向ける喜多ちゃん。やっぱ怒ってんじゃん。……女同士でさこんなに気にするか?万年Aカップの姉貴じゃあるまいし。
「おおお……F91……ぼっちちは……バケモノか……」
リョウはなんか幸せそうな顔で、立ったまま気絶してる。ぼっちちゃん、胸当たってるって!
「……生まれてしまう! 承認欲求モンスター!」
ぼっちちゃんは、またこの世の終わりみたいな顔してるし。そして相変わらずのぼっち節。承認欲求モンスターってなんだよ?
「……」
リョウ! 喜多ちゃんがすげぇ睨んでるぞ! 気づけー!
……そして、なぜか私は怪獣の着ぐるみを着たぼっちちゃんを、赤い全身タイツの喜多ちゃんマンが押し倒しているシュールな姿を幻視していた。そんな昼下がり。
「そろそろ、マジメに撮ろうか」
リョウ! 急に冷静になるな!
「こういうジャンプとかいいと思います! 絵になるし、なんか憧れませんか?」
切り替え早いな、喜多ちゃん。スマホでガールズバンドやアイドルグループが楽しそうにジャンプしてる写真をいくつか見せてくれた。いい感じの躍動感が青春って感じを演出してる。
「なるほど。流石喜多ちゃん!」
「有識者が言っていた。オープニングでジャンプするアニメは神アニメ、と。つまりアー写でジャンプすれば神バンドになるのでは?」
「あ、そ、それ……バンドと。な、何の関係が?」
「まあ、いいや。とりあえず撮ってみようか」
さあ! 元気良く! じゃーんぷ! なんか、ぼっちちゃんだけぎこちないな。写真のデキを確認。……こ、これは!?
「あ、ぼっちのぱんつ」
「ふふふ……とんでもないモノ撮れちゃったな」
水色で白いフリルが付いたかわいいやつ。正直ちょっと意外だな。
「……私なんかがすみません。これはお母さんが買ってきた下着でして。地味ですよね? とにかく、無価値なものをお見せしてすみません。写真は消してください」
珍しく流暢にしゃべるぼっちちゃん。葬式みたいなムードだ。もうちょっとかわいい反応、期待してたんだけどな。
『星歌ちゃんのバカ! もう知らない!』
とかさ。お顔が真っ赤だよぼっちちゃん。ぐふ、グフフフ……。
「星歌……顔、顔。今、スゲーキモいよ」
「伊地知先輩……その表情はちょっと……」
ま、ちょっとしたアクシデントもありながら無事アー写撮影は完了。グループロインにデータをアップして共有しておこう。
「後でイソスタにバンドのアカウント作りますね!」
「任せた! SNS担当大臣!」
「……大臣って、ちょっとダサいよ星歌」
アー写はこれでばっちりだ! 今日は夢への第一歩だな。結束バンドの結束記念日! ……なんちゃって。目指せ学生のうちにメジャーデビュー!
「写真はあたしがプリントしとくわ。スターリーで確認しよう。今日はありがとな。解散!」
「お疲れ」
「お疲れ様です!」
「お、お疲れ様、です」
ぼっちちゃんと喜多ちゃんは駅のほうに歩いていく。あたしやリョウの家とは逆方向だ。
「さて、帰るかリョウ」
「いや、ちょっと散歩してから帰る」
「また草摘んで食うのかよ。いい加減、家金持ちなんだから親に頼れよ。ヘンな意地張ってないでさ」
「……いいじゃん。お疲れ、また明日」
うーん。リョウとはそこそこ長い付き合いだけど、いまだに結構分からんとこあるよな。
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