「昼ご飯にデザートもすげー旨かった」
同感だなリョウ。ぼっちちゃんのご両親が作ってくれた飯、めちゃくちゃ旨かったよ。特にからあげが最高だったな。ぼっちちゃんもしっかりお手伝いできてたな。偉いぞ。
ただ食ってる間、ぼっちちゃんパパにレンタル友達的なサービスの人? と疑われたときは流石にビックリした。ぼっちちゃん……家でもこういうキャラなのか。
「大富豪やツイスターも楽しかったですね!」
だよな喜多ちゃん。みんなで見た青春胸キュンな映画もすげー良かった。しかし『後藤美智代16歳でーす♪』と制服姿でぼっちちゃんママが登場した時はキツかったな。いくらぼっちちゃん似の美人さんでもあの年齢では……。ツイスターにも参加してきて、めちゃくちゃ盛り上げてくれたのは嬉しかった。ぼっちちゃんはなんか食らってたけど。
「ぼっちちゃんファッションショーも最高だったな」
ぼっちちゃんに着たことないのを何着か着てもらった。せっかくお母さんに買ってもらったんだから、ちゃんと着ないとな。ぼっちちゃんは『趣味じゃない』とか言ってたけど、どれもイヤミなくらいすげー似合うんだよな。ぼっちちゃんママのセンス最高だ!
「ぐぇぇ……」
おお、ぼっちちゃん。しんでしまうとはなさけない。さっきまでのファッションショーでいろいろ精神ダメージくらってしまったか。いつの間にか、デコ出しお嬢様ぼっちちゃんから前髪長すぎなド陰キャ少女のぼっちちゃんに戻ってた。流石に可愛そうになったんでいつものピンクジャージを着せておいた。
「でもな、Tシャツデザインまだ決まってねぇんだよ!」
少しは遊ぶつもりだったけど、限度ってもんがあるよな。本来の目的を完全に見失ってる。まあ皆にお絵描き帳を配って自由に書いてもらっていくつかの案はもう出してもらってる。
あたしは無難に文字ロゴで作ってみた。レタリングとか得意なんだ。黒のTシャツに白の文字。なかなか自信作だけどもっといいアイデアがあったら採用したい。
喜多ちゃんは『体育祭で見るやつ!』って感じのTシャツ。クラスTとしては合格だけど、バンドとしてはアレだよな。
リョウのは『働いたら負け』やら『このTシャツ食べられます』とかボケボケばっかで話にならねぇ。
「あ、私のデザインを見ていただければと。……ふふふ」
「お、ぼっちちゃん。今日は積極的だな」
満を持してぼっちちゃんの発表だ。今日のぼっちちゃん、若干はっちゃけてる気がする。やっぱ自分のテリトリーだからか? おもむろにお絵描き帳をこちらに広げる。
「こ、これは……!」
「い、いかがでしょうか? 私のじ、自信作ですが……」
……か、かっけぇ!!!
「すげぇよぼっちちゃん! サイコーにロックじゃん!」
真っ赤なTシャツというキャンバスにこれでもかとってくらいのハイセンス! こだわりの英字フォントもギターストラップのチェーンもピック入れになるジッパーも何もかもすっげえかっけえぞ! イカしてる! さらに追加でもっと腕にシルバーとか巻いてもかっこいいと思う! このデザイン最高だ! あたしにドンピシャだ!
「こ、これは……どうでしょうか」
「うーん」
なんだよリョウ、喜多ちゃん! その煮え切らない態度は! 超カッコイイだろ!
「じゃあ、私のデザインが採用ってことでよろしいでしょうか?」
照れながらクネクネと動くぼっちちゃん。ちょっとキモい。
「待って。それは違うよね」
「え、な、何がいけないんですかリョウさん」
ぼっちちゃん今日は珍しく強気だ。やっぱ自分のセンスに自信があるんだな。
「ぼっち、聞いて。前に個性が大事とは言ったけどさ、バンドのスタイルを意識することも大切なんだ。私たちの音楽性にはこういうTシャツは似合わないと思う」
「え、でもリョウさんは『私らしさ』を認めてくれたじゃないですか!」
「個性を捨てたら死んだのと同じだけど、行き過ぎた個性じゃ溺れ死ぬだけだよ」
「た、確かにそうです……すみません」
「でもさリョウ、こんなイカすデザイン滅多に出来ないぞ!」
「なんなら今からヘビメタにでも『宗旨替え』する?」
「……うむむ。バンドのらしさは大切だな」
確かに一理あるよな。音楽を語るリョウは信頼できる。
「分かってくれたらいいよ」
「論理的で説得力あるリョウ先輩、素敵です!」
(郁代、クソダサ過ぎるよこれは……)
(ですよねぇリョウ先輩……)
(これは着たくない……)
(私もです……)
「お前ら。言いたいことあるならはっきり言え」
なんだよ2人でひそひそと。
「いや、なんでもない」
「そうですよ、なんでもありません♪」
「ならいいけど」
……なんか丸め込まれた気がする。
この後、晩御飯まで御馳走になってしまった。少し長居しすぎたな。結局バンドTについては明日もスターリーで話し合うことにした。なかなか難しいもんだよな。
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