もしもJK星歌ちゃんだったら。   作:三十路スキー

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2024年一発目、やっと書けた。たこせんのネタは某ラジオより。


青い春と西の空② 

 目指すは片瀬江ノ島。江の島への車中、姉貴がくれた雑誌をみんなで廻し読みながらプランを練る。とはいえ姉貴が10代のころの雑誌だ。情報がいろいろ古い。

 

「ふむふむ。私のおいしいものセンサーがビンビンだ」

「お前は食い気ばっかりだな」

「スマホで探したほうがいいんじゃないんですか?」

「まあそうだけどさ、たまにはいいだろ」

「あ、こ、これおいしそうですね」

 

 ピロン♪ 姉貴からロインだ。

 

『おすすめはたこせんとシラス丼かな♪ 最近なら塩ソフトも話題かな(^^)/ 特にシラス丼はねぇ……』

 

 ここからずっと、聞いてもないのにおすすめスポットを解説しだした。やたら長いうえに顔文字絵文字がいっぱいだ。これがおばさん構文ってやつか。しかも9割がシラス丼の話とは。

 

『それから弁天様には必ずお参りに行くこと! それじゃ楽しんでね(^_-)-☆』

 

 江島神社か……。芸術、音楽の神様で有名らしいな。うーん、階段上るの大変そうだな。

 

 

 

 

 

「海すげぇ! 来てよかったな!」

 

 竜宮城みたいな片瀬江ノ島駅から歩きだして、海岸に到着。初めてだけど噂通りだ。海水浴シーズンは終わったが海岸には水着の男女が沢山。

 海岸に着いて早々チャラ男たちに声を掛けられたが何とか脱出。ナンパかと思ったら、ただの客引きみたいだ。悪いけど興味ないので先を急ごう。

 

「ほら、ぼっちちゃんしっかりしろ! いい加減ちゃんと歩け」

 

 まだぼっちちゃんは意識朦朧。ペチペチとぼっちちゃんの頬を叩きながら海岸を見せる。

 

「わぁ……」

 

 ぼっちちゃんの眼が少しだけ輝きを取り戻した。さあ、出発だ!

 

 

 

 

 

「まずは『たこせん』食べましょう! これ大きいし、かわいくて映えますよ!」

 

 喜多ちゃんがスマホの画面を見せながらいつものキターン! どこぞのイソスタグラマーがたこせんを頬張る姿が写ってる。

 

「よし、じゃあたこせんの店行ってみるか!」

 

 調べておいた店に行くことにする。夏休み最終日とはいえ平日の昼、そこまで並ばずに買えた。

 

「ふう。なんとか買えたな」

「おっと、皆さん食べる前に……撮りますよー!」

 

 喜多ちゃんがスマホで4人を収めて撮影。上手く撮れたみたいだ。イソスタでも使えそうだな。

 

「はむ。こりゃうまいな」

「ですよね!」

「山田式おいしいもの検定、合格」

「ハム! ハフ! ハム!」

 

 ぼっちちゃん、そんなに慌てて食べなくてもたこせんは逃げないぞ。

 

「そういやさ、これツートンの重さでプレスしてるんだってさ! ツートン!」

「あ、あの、星歌ちゃん、それ1トンみたいです」

 

 ぼっちちゃんが、申し訳なさそうに会話に割って入る。たこせんを食べて顔色が少し良くなったかな。

 

「へ? いや雑誌にはツートンって」

「そ、そこに書いてましたけど……」

 

 お店の看板にデカデカと『1トンでプレス』と書かれている。

 

「ぷぷっ……。ツートンって言い方ヘンだよ」

「前から思ってましたけど、伊地知先輩ってちょっと天然さんですよね?」

「な! て、天然ってなんだよ! なめてんのか!」

 

 照れ隠しに少しだけ凄んでみるけど、2人の笑いが止まらない。

 

「ぷぷぷ! 知ってた。ギャップ萌えってやつかな。むははは!」

「あはは! 伊地知先輩、これからはもっとアピールしていきましょ! イソスタPV爆上げですよ!」

 

 こいつら、他人事だと思って……。

 

「あ、でも、星歌ちゃんのそういうところも……かわいいと、思います。……す、すみません。出過ぎたこと言いました」

 

 え、ぼっちちゃん、そんな風に思ってたんだ。

 

「ぬ、ぬうぅぅぅん……」

 

 ぼっちちゃんにかわいいって言われた。そもそも家族親類以外に、かわいいなんてほとんど言われたがことない。そりゃ人相悪いし、性格も捻くれてるから。もちろん、ぼっちちゃんに言われるのも初めてだ。……照れる。

 

「星歌、顔真っ赤」

「キャー! かわいいですよ! 伊地知先輩!」

 

 うるせぇぞお前ら! 撮るな喜多! 山田も!

 

「……」

 

 ぼっちちゃんがニコッっと笑う。え、なに、こんな表情スターリーでは絶対見せないぞ。

 

「みんなで食べたたこせん……。夏の思い出、本当にありがとうございました」

 

 透き通るような声。

 

「まだ始まったばかりだって! 目的地は山の上の神社! 弁天様にお参りしよう!」

「はい! 展望台にも上りましょう!」

「えーやだ、しんどい」

「……」

 

 ノリノリな喜多ちゃん。露骨に嫌がるリョウ。ぼっちちゃん、そう嫌そうな顔するな。道のりはキツいけど、みんなで登れば楽しいぞ。

 

「よーし! 結束バンドファイトー! おー!」

 

 少しおどけてみせる。夏の思い出はまだまだこれから。




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