もしもJK星歌ちゃんだったら。   作:三十路スキー

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そうだよ! 星歌ちゃんはかわいいんだよ!


青い春と西の空③

「暑い……」

 

 今日も最高気温は30度を軽く超える。天気は快晴。容赦無い日差しと長い階段が体力を奪う。汗が止まらない。

 

「みなさーん! 早く早くー!」

 

 階段の上まで登った喜多ちゃんが呼んでる。

 

「おぉい、待てよ……喜多ちゃん……」

 

 ホント元気だな。でもちょっとこっちの空気読んでほしい。仲見世通りから上り坂でダメージ食らってるのにさ。つーか喜多ちゃんって普段は協調性の塊みたいな娘なのに、あたしたちといるときは結構フリーダムっていうか、甘えてくるっていうか。もしあたしに年の近い妹がいたらこんな感じなんだろうか。

 うちは年も離れてるし、あたしなんかが妹だから、やっぱ姉貴からすれば可愛げ無いんだろうな……。ごめんねお姉ちゃん。

 なんて朦朧とした頭で考えてると、両肩にズシリと重みを感じる。左肩にリョウが乗っかってる。右肩にはぼっちちゃんがしがみ付く。

 

「ええい、離れろお前ら! うっとおしい!」

「うーん、あと五分……」

 

 寝るな山田! あと髪引っ張るな! せっかく髪伸ばしてサイドテールにしてるのに! 長さはまだ、あの頃の姉貴の半分ほどもないけどさ。

 

「はぁ……はぁ……星歌ちゃん待って……ください……」

 

 後藤も離れろ! ピンクジャージの汗染みがすごい。もう上着脱げ。

 

 

 

 

 

「もうだめだー!」

 

 なんとか階段を上り終えたけど、もう体力の限界だ。3人で道の端っこにへたり込む。

 

「もう! だらしないですよ! インドア人にしても体力無さすぎです!」

 

 喜多ちゃんがあたしたちの目の前まで戻ってきて、プリプリと怒ってる。言い出しっぺのあたしがこの体たらくじゃ面目ない。

 

「はぁはぁ……そんなこと言ったってしょうがねぇだろ……」

 

 バイトのおかげで力仕事は自信あんだがな。いかんせん持久力がない。インドア派のつらいところだ。

 

「だるい。疲れた。吐きそう」

「……」

「ほらリョウしっかりしろ。あーもう! ぼっちちゃんまた死んでる」

 

 ぼっちちゃんの横っ面をペチペチして起こす。暑苦しいジャージのせいですげぇ暑そうだ。つーかあいつのジャージへのこだわりは何なんだよ。さすがにこのままじゃマズい。

 

「ほらぼっちちゃん、前開けるぞ」

「あっ……うぅ」

「もう汗だくじゃねぇか。上着は脱いどけ。熱中症になるぞ」

 

 上着のジッパーを開けると、封じ込められてた暴れ牛が姿を現す。牛の頭蓋骨がデカデカと書かれた某バンドのTシャツだ。もちろん暴れ牛ってのは二重の意味でだ。つーかGカップぐらいあるよな。……羨ましい。

 

「喜多ちゃん……少し休もう」

「郁代のおにぐんそー」

「もう……しょうがないですねぇ」

「あ、す、すみません喜多さん……」

 

 あ、喜多ちゃんの視線がぼっちちゃんの胸に。

 

「……イイノヨ、ゴトウサン。キニシナイデ」

 

 震える牛に喜多ちゃんの視線が突き刺さる。

 

 

 

 

 

 階段はまだまだ続くけど、結局頂上までは『江の島エスカー』に乗ることにした。要はバカでかいエスカレーターだな。ちょっと金掛かるけど背に腹は代えられん。これで一気にショートカットだ。喜多ちゃんはちょっとおむずかりだ。

 さて、到着した山上の公園『サムエル・コッキング苑』は和洋折衷の美しい庭園だ。色とりどりの美しい植物や美味しそうなスイーツ、惚気全開のカップルたち……。

 途中ぼっちちゃんがトンビに襲われるハプニングもありつつ、なんとか展望台に到着。

 

「見てください! 展望台からの眺めは最高ですね! 目に焼き付けておきましょう!」

 

 喜多ちゃんがエレベーターを出て開口一番。ホント元気だねぇ……。夏の太陽みたいな女の子。さぞやモテるんだろうなぁ……。ああ、まだ頭がクラクラする。

 

「ぬーん。冷房サイコー……」

「極楽ぅ……」

「ですねぇ……」

「あの……みなさん?」

 

 ごめん喜多ちゃん。今は何よりも、エアコンが愛おしい。




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