もしもJK星歌ちゃんだったら。   作:三十路スキー

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青い春と西の空④

 我らがバベルの塔こと『江ノ島シーキャンドル』が誇る文明の利器、エアコンで元気を取り戻したあたしたちは、庭園を散策することにする。

 おむずかりだった喜多ちゃんも映えるスポットいっぱいで、すっかり上機嫌だ。リョウもスイーツの食道楽。金あんのかお前は? そしてぼっちちゃんはタピオカミルクティを飲んでご満悦だ。お前のタピオカへの信頼感はなんなんだよ。正直もう陽キャは興味無いと思うぞタピオカは。

 みんな落ち着いてきたし、ベンチに腰掛けておやつタイムにしよう。

 

「リョウ、そんな食って大丈夫か?」

「スイーツは別腹。無限に食える」

 

 つーか、帰りの電車賃残してんだろうな?

 

「ほら、ぼっちちゃん。あーんして」

「え、あ、星歌ちゃん、こんなところで恥ずかし……あむっ」

「仕方ないだろ。お前がトンビに襲われるのが悪い」

「伊地知先輩……ちょっと過保護過ぎません?」

 

 もうトンビなんかに負けないぞ! ぼっちちゃんはあたしが守護(まも)る。何物にも襲われないように、ぼっちちゃんにはあたしがスプーンでアイスを食べさせる。

 

「郁代、それ一口ちょうだい」

「んもう、しょうがないですねぇリョウ先輩は♪ はい、あーん♪」

 

 リョウに貢ぎすぎんなよ、喜多ちゃん。無限につけ上がるから。

 

「次、どこ行きます?」

「結構遊んだしな。最後に神社でお参りしよう。あとはお土産買って帰るかな」

「えー! 帰るにはまだ早いですよ!」

「喜多ちゃん忘れたか? 明日から学校だぞ。あんまり遅くなるのはイヤだし、暗くなる前には帰りの電車に乗りたいな」

「でも、あともうひとイベントぐらい欲しくないですか?」

「そうだな、あとはしらす丼でも食べるか? 姉貴の激推しらしいし。仲見世に海鮮の店いくらかあるみたいだしな」

 

 結局スイーツとかつまむばかりで昼飯は食い損ねたし、何か食べてもいいだろう。

 

「えー。もうお腹いっぱいで無理」

「お前ホント自由だな」

 

 まあいいや。どうするかは帰り道を下りながら考えよう。

 

 

 

 

 

 公園から少し下って江島神社の『奉安殿』を参拝する。八角形の面白い形の社殿だ。ここには勝ち運の神様、八臂弁財天と音楽芸術の神様、妙音弁才天が祀られているという。

 

『神様、あたしたちを引き合わせてくれてありがとうございます。これからも4人で頑張ります』

 

 姉貴が言ってた。『神仏は頼るものにあらず、敬うのみ』だってさ。なんかの小説の受け売りらしいけど。とにかく神様へのお参りは感謝や決意をする時間にするべきなんだって。まあそうだよな。たかが10円ぐらいのお賽銭でお願いを聞いてもらおうだなんて厚かましすぎる。

 

「……キターン……」

「……ナムナム」

「ぐぐぐ……オネガイシマスオネガイシマス……」

 

 みんなが何を願ってたかは気になるけど、聞くのは野暮ってもんだ。それにしてもぼっちちゃんやたら気合い入ってたな。バンド組めたこと喜んでくれてたらいいな。

 

 

 

 

 

「ぬうううん! どこもしらす丼品切れじゃねぇか!」

 

 行き道ではどこも混んでたからから後でまた来ようと思ってたが、ピーク過ぎた今となってはもう品切れ。後悔は先に立たない。残念だけど今日は諦めよう。

 仲見世通りは下りだと楽なもんだ。とりあえずお土産だけは確保しないとな。姉貴に土産代持たされてるし、スターリーのスタッフみんなで分けて食べられるものを探そう。

 

「星歌ちゃん! こ、これ!」

 

 適当に土産物屋を見て回ってると、ぼっちちゃんが目を輝かせながらあたしを呼ぶ。

 

「ん? どしたぼっちちゃん……こ、これは! かっけぇ!!!」

 

 こ、これは! 『伝説のドラゴン魔光剣キーホルダー』じゃねぇか! またの名をロードカラミティ! この斬新で美しいフォルム! ヒロイックなメタリックカラー! 暗い所で光る! 価格は500円(税込み)! ああ! 語りつくせないこの魅力!

 

「せ、星歌ちゃん、なら……わ、分かってくれますよね? この魅力が!」

「もちろんだ! やっぱぼっちちゃんはセンス抜群だな!」

 

 大きな剣にカッコイイドラゴンが巻きついた姿がサイコーにクールだ! まさにナウなヤングのマストアイテム! これを付ければ野暮ったいスクールバッグも伝説の勇者装備だ! こいつを手に入れないわけにはいかないよな!

 

「これ、ください!」

「く、ください……」

 

 カラーはガンメタリックで決まりなのさ! ダブル暗黒騎士って感じでかっこいい!

 

「お、お揃いですね、星歌ちゃん! 嬉しい……」

「おう! 初めてのお揃い! あたしもうれしいよ!」

 

 ああ、もう最高だ!!

 

(あ、あの流石にこれは止めたほうが……)

(いや、本人たちが幸せならそれでいい……)

 

 後ろでリョウと喜多ちゃんが何か小声で言ってるが、どうでもいい。どうせあたしたちのセンスに嫉妬してるに違いない。お前らも遠慮しないで買えばいいのに。




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