今日は2学期の始業式。退屈な式典の後はクラスのホームルーム。今日の議題は『文化祭の展示物について』だ。
あたしとしたことがウトウト居眠りしてしまった。昨日の疲れが残ってるんだろうか? まだ10代だってのに情けないな……。
「……いか、星歌、起きて」
「う……。はっ! あたし寝てたのか……」
リョウに起こされてしまった。普段はあたしが起こす側なのに。ホームルームはとっくに終わって放課後だ。ぬうん……口がよだれでベトベトだ。
「ほら、動かないで」
「え、あ……」
「ふきふき」
まだ朦朧とする意識。……リョウがあたしのヨダレをハンカチでふき取ってる。
「んっ……。ちょ! やめろって!
「いいから」
「うう……」
結局、リョウのいいようにされてしまった。
「わお、大胆!」
「ああ、尊い……」
「なんて顔がいい二人……」
「妬ましい……妬ましいわぁ!」
ざわつく教室内。あたしらにクラスメイトたちの視線が集まる。特に女子たちの視線が突き刺さるのはなぜ? 騒ぐのは普通男子じゃね?
「ぷはっ……。ってリョウ! クラスのみんなが見てるって!」
「いいじゃん」
「お前ら! 見世物じゃねぇぞコラ!」
2年目の文化祭、あたしたちのクラスは『郷里史の研究』に決まった。キャッチコピーは『知ろう! 我が街』だとか。あたしらの高校はいわゆる進学校ってやつで、こういう行事にあまり力を入れない。文化祭に部外者がほとんど遊びに来ないのも頷ける。
これに対して、ぼっちちゃんたちの高校は文化祭が華やかで有名だ。前にテレビの取材が入ったこともあるらしい。喜多ちゃんが秀華高校を選んだのも、この辺の自由な校風もあるんだろう。
じゃあなんでぼっちちゃんは陽キャな校風の秀華に? 中学の知り合いに会いたくないってのは前言ってたから分かるけど。ま、気にしても仕方ないか。
「じゃ、帰ろう星歌。みんなの期待に応えて手でも繋ぐ?」
まだ女子が数人こっちを見てる。
「……遠慮する。ますます冷やかされるじゃねぇかバカ! つーか……恥ずかしいし」
今日はホームルームが終わったら下校。いつもより帰りが早い。その代わりバイトも始まりが早い。……今日はぼっちちゃんサボらないように念押しロインしとこ。仮にも現役女子高生があのぐらいで翌日全身筋肉痛なんて言ってたらダメだよな。
そういや喜多ちゃんはシフト休み。今日も友達と遊びに行くって。ライブまで練習漬けで遊べなかった分の埋め合わせに追われてるそうだ。付き合い悪いと今後に響くって。陽キャも大変だな。
「おおおお……。草が刈り尽くされている! 誰がこんなことを!」
下校途中、リョウがいつも草を採るおやつポイントが、いつのまにやらキレイになってる。勝手によもぎやらなんやら取ってたみたいだけど、とても旨そうには見えん。たまに腹壊してるし。
「知らねーよ。つーか草食うな。もう意地張ってないで中学の時みたいにお弁当作ってもらえよ」
「そんなのロックじゃない」
「健康あってのロックだろ?」
リョウのお母さんは料理がとても上手い。おまけに美魔女だ。つーかリョウはロックだとかなんだとかしょうもない意地張ってんじゃねえよ。……そんなの、親が居なくなってから後悔すんだから。たまには親孝行しろ!
「じゃあ星歌が作って」
「なんでだよ!」
「うるうる……お願い星歌さまぁ……」
都合が悪くなるとすぐこれだ。とはいえ全部リョウママ任せだと、甘やかされ過ぎてデブっちゃうかもしれんし。『山田増リョウ』になっちまったら大変だ。
「……弁当ぐらいは、たまにならいいよ」
「やったぜ! 言質取ったぞ!」
全く、困った奴だ。ま、あたしの料理スキル向上の実験台にはちょうどいいかもな。まだまともに作れるのはカレーぐらいだし。リョウならあたしのヘタクソな料理でも文句言いながらでも全部食べてくれるし、多少アレなモノ食べても死にゃあせんだろ。
二学期編スタート。第二部は小分けにしてペース早めたい。
貯めて書くのとどっちがいいかな?
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