もしもJK星歌ちゃんだったら。   作:三十路スキー

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星歌ヒストリーを作ろう!④

「ここをこうやって……こうかな? リョウ、ちゃんと持ってろよ」

「わかってるよ」

 

 洗濯ロープを壁に吊るして……こうだな。洗濯ばさみで写真を挟み込んでいく。アルバムから写真を厳選して私の足跡を吊り下げていく。名付けて『星歌ヒストリー』だ! かっこいいだろ?

 思いつきでやってるけど、なかなか悪くない。まずは高校入学までの『星歌ヒストリー第1章』を壁一面に広げよう。壁に引っかけたコルクボードにも写真をピンで留めていく。第1章はガキの頃から、高校入学ぐらいまでかな。リョウと出会った中学の頃のも結構ある。リナたち軽音部の連中も飾ってやろう。

 

「うん、悪くないな」

 

 壁一面に写真を貼り付け、ロープで吊るしたりと限られたスペースに写真を飾っていく。次はプリントしておいた『星歌ヒストリー第2章』が控えている。こちらは結束バンドを始めてから撮影した写真がメインだ。ぼっちちゃんの写真多めなのは内緒だ。

 

「うえー。ちょっと休憩しよう」

「なんだよリョウ。まだ始めたばっかりだろ」

 

とりあえずテーブルの前に腰掛ける。コンビニでプリントした写真を取り出す。アー写の没写真や江ノ島で撮った写真、姉貴が撮っていたライブ中の写真もある。

 

「そういやぼっちのクラス、メイド喫茶やるらしいね」

「え? メイド喫茶だと! そんなの初耳だぞ」

「私も昨日聞いたところ。昨日バイトでぼっちとシフト一緒だったから」

「マジか。こりゃ絶対ぼっちちゃんのクラス行かないとな!」

 

 最近バイトのシフト、ぼっちちゃんと別の日が少し増えた気がする。折角最近シフト入ってくれる日が増えてきたというのに! 姉貴の奴『星歌はぼっちちゃんを甘やかしすぎる』とか言ってやがったけど、まさかな。これではぼっちちゃんからしか得られない栄養素が不足してしまう。自分でも分かってるんだけどな。ぼっちちゃんが可愛すぎるから悪いんだぞ!

 喜多ちゃんは優しいけど、決してぼっちちゃんを甘やかさない。苦手な接客だってしっかりやらせる、出来た時はたっぷり褒めてあげる。ぼっちちゃんとの距離感はあのぐらいがいいのかもな。見習わないと。リョウについては言うに及ばす。すぐサボる。少しは働け山田。

 

「文化祭の1日目は会場の下見がメインなんだから、はしゃぎすぎないでよ」

「わ、分かってるよ!」

「まあ『メイド服ぼっちちゃん』は私も楽しみだけど」

 

 あぁー! やべー! メイド姿のぼっちちゃんを想像したらなんかコーフンしてきた!

 

『あの、星歌ちゃ……じゃなくて、ご主人様! ツ、ツーショットチェキ……撮ってもらえませんか。ノ、ノルマが厳しくて……』

『ったく、しょうがねぇな。これは……あくまで、ぼっちちゃんの売り上げのためだからな!』

 

 二人肩を寄せ合ってポーズをとる。

 

『せ、せーの、ラブラブ……』

『キュン! キュン!』

 

 手でハートなんか作ってみたりして! オムライスにもおいしくなる魔法たっぷりかけてもらおう!

 

「ぐへ……ぐへへ……ぼっちちゃん可愛いよぅ。うへへへ」

 

 ああ! 夢見心地だぁあああ! 絶対ぼっちちゃんのクラス行こ! どの時間メイドやってるか聞いとかないと。絶対お世話してもらうぞぉ! なんとか姉貴の一眼レフ借りれないかな? 今日頼み込もう! もう土下座ぐらいなら安いもんだ!

 

「うわ。星歌キモすぎ」

「んはっ!」

「興奮しすぎ。最近欲求不満なんじゃない?」

 

 いかんいかん。久々にトリップしてしまった。

 

「ち、違うわ! ぼっちちゃんがちゃんとやれるか心配なだけだ!」

「……男でも作ったら? 星歌なら彼氏とか秒でできるでしょ?」

「できねぇよバカ。お前こそ彼氏作んないのかよ」

「男とかめんどい」

「あっそ」

 

 リョウは顔だけはいいからな。男はいくらでも騙せそうだ。まあ、飯を奢らせるのが精一杯かな。こいつはヘタレだし。そういう意味では安心できる。

 

「なら、私と付き合ってみる? 彼氏が嫌なら彼女とか……どうかな?」

「え、あ……」

 

 おいおい何を言い出すんだ山田クン? あたしなんか捕まえてさ。

 

「ほら、こっち向いて。私の目を見てよ」

 

 綺麗な瞳。引き寄せられる。でも。

 

「……ごめん」

 

 無意識に顔を逸らす。少し涙目でキスを避けるしぐさになる。私は……。

 

「冗談だよ。揶揄っただけ。何マジになってんだか」

 

 チュ! 

 

 頬に柔らかい感触。これって……。

 

「ま、私はまんざらでもないけどね」

 

 今度はリョウが顔を背ける。顔が少し赤くなってるような気がする。熱っぽいのか? 体調悪いのだろうか。少し心配だ。そんなこんなしてると。練習の時間が迫ってる。

 

「写真を飾るのは、また今度一人でやるよ。今日は写真選び手伝え。そのくらいはいいだろ?」

 

 リョウの唇、ヘンに意識してしまう。まあロックの世界じゃこのくらい普通……だよな?




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