もしもJK星歌ちゃんだったら。   作:三十路スキー

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ダイヤの原石……かもしれない③

 明日はぼっちちゃんのバイト初日だ。不安は多々あるけど、ぼっちちゃんと一緒にバイトできるのちょっと楽しみだったりする。

 今日は久々の丸1日のオフ。最近は練習にバイト、学校も忙しくてなかなかゆっくりできなかったな。今日はとりあえず積み上げた雑誌をドラムに見立てて自主練ってことでいいか。

 

『せーちゃん、あーし! 今シモキタ来てんだ。メシでも食わね?』

 

 リナから電話。リナは中学時代に居た軽音部の同期。同じドラマーで3年間部内で別のバンドやってたダチだ。自主練は中止。とりあえず下北沢駅で合流して昼メシを食うことにする。

 あたしらはオシャレなカフェってガラでもねーし、たまたま見かけた中華料理店に行くことにした。いかにもな個人経営の町中華ってやつだ。

 

 

 

 

 

「しっかしよく食うな、リナ、太るぞ?」

 

 リナはラーメン、チャーハン大盛、ギョーザの満腹セットを貪るように食べてる。あたしはラーメン単品。

 

「いーじゃん、ドラムはパワーだよ。練習でカロリーたっぷり消費してんだ。せーちゃんこそもうちょい食べなよ。ほれ食え」

 

 そう言いながら小皿に載せたギョーザを一個こっちに押し付けてくる。

 

「いらねーって。あたしは小食なんだよ」

 

「ドラマーはパワーつけなきゃ、いい音出せないよ? それにこっちも育たないぞぉ」

 

 リナは軽く胸を張って見せる。中学のときよりちょっとデカくなってやがる。Tシャツ越しでもわかるぐらいには。……あたしだってBはあるわい。

 

「あー、せっかくの初ライブ行けなくてホントごめん! バイト抜けれなくてさ」

 

「いいよ別に。次にでも来てくれたら」

 

 前のライブは、正直散々な出来だったし。親友にはあまり見せたくない。

 

「次は絶対行くからさ! つーか、行った連中に聞いたんだけどメンバーバックレたんだって? アイドルみたいな娘が来てくれたってせーちゃんはしゃいでたよな?」

 

「はしゃいでねーし」

 

 確かにアイドルみたいだったよな。でもさ……。

 

「でもバックレたんだろ? バックレとかあーしだったらぜってー許せねぇわ! せーちゃん、そいつ次会ったらぶん殴ってやりなよ!」

 

「そいつのことは、もうどうでもいいよ。代わりの娘が来てくれたから、ライブは出来たんだし」

 

 逃げたあいつは、テレビでしか見たことのないようなかわいい娘だった。中学高校通じてクラスで見たことのないレベルの美少女。確か前バンド時代のリョウに憧れたって言ってたな。歌はすげー上手かった。滅多に人を褒めないリョウも結構褒めてた。ギターの実力は結局謎だが。

 バックレの件は、もちろんどうでもよくない。もしばったり鉢合わせでもしたら、ただじゃ置かねぇって気持ちはある。でも、もう会うことも無いだろうな。

 

「そうそうそれ! ライブ当日にギターできる奴探してくるとか、無茶やるよねー」

 

「我ながら無茶だと思うわ」

 

「でも代わりの子、妖怪みたいだってマジ? ピンジャーで超挙動不審でヤベーって!アイドルちゃん目当てだった男子どもが言ってた」

 

 ピンジャーってピンクジャージのことかよ。ぼっちちゃんホントはかわいいけど、あのライブの有様では反論できん。

 まあ、今のところぼっちちゃんの魅力はあたしとリョウだけが知ってればいいや。いずれみんなわかってくるから。

 

「……そいつら、今度会ったらシバいとく。うちのメンバーの悪口は許さん」

 

「おーこわ!」

 

 

 

 

 

 メシはとっくに食い終わったけど、まだまだ話は尽きない。

 

「それから、あの山田をメンバーにするとはね。さっすが熟年夫婦ってやつ?」

 

「熟年夫婦って何だよバカ! 単なる腐れ縁。バンドにはダメ元で誘ってみただけ。昔からリョウのベース好きだし」

 

「妬けるねぇ。あいつ、なんか前のバンド揉めて辞めたって聞いてたけどさ。引く手あまたの天才少女を射止めたんだから、やっぱせーちゃんはすげぇや!」

 

 リョウは中学の時から学外で活動してた。作曲編曲出来て、大人のバンドに交じってサポメンできる中学生なんてそうそういない。前のバンドもメンバーは年上の人たちだったし。

 長い付き合いだけど、いまだに何考えてるかはわからないことが多い。でも、声かけるタイミングはあの時しかなかったって確信だけはある。

 

『だって、あたしリョウのベース好きだし』

 

 抜け殻みたいなあいつがほっとけなかった。あたしの無謀な夢に付き合わせた。リョウはもっとほかの道もあるはずなのに。

 

 あたし、ちょっとズルいかな――。

 

 

 

 

 

 昼メシが終わってからも、公園でリナと話し込んでた。リナも学外でバンド活動するつもりらしい。メンバーは大体集まったけど作曲できるヤツいないから、コピーバンドからスタートするつもりらしいけど。

 あたしは我らが結束バンド新メンバーぼっちちゃんの話をたっぷりしてやった。リナは引き気味だったけど。実際会ってみないとぼっちちゃんの魅力は伝わらないのさ!

 それから、日が暮れるまでどーでもいい話を延々としながらバカ笑いしてた。やっぱ親友(ダチ)っていいよな。

 

「せーちゃん、またメシ行こうな! 今度はライブ絶対行くから!」

 

「おう! お前もバンド結成したら教えろよ! ライブ行くから!」




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