もしもJK星歌ちゃんだったら。   作:三十路スキー

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あたしたちの星座④

「すみませーん。4人大丈夫ですか?」

 

 お、さっそくエモノが来たぜ……じゃなくてご主人様たちがいらっしゃったわ。

 

「お帰りなさいませー! ご主人様、お席へどうぞ♪」

 

 フリルを揺らして可愛くターン。シャララーン♪ と効果音が鳴らんばかりだ。ライブハウスで鍛えた本気の接客を見せてやる! ついでにバチコンとウインクしてご主人様たちはあたしのトリコってわけ。

 

「伊地知先輩……」

「おおお……」

「ほえー」

 

 ふふん! どうだ参ったか! 今日のあたしは清楚も清楚、ド清楚でございますわ!

 

「ヒィ! あ、ありがとうございますぅ!」

 

 え? なんでお客様方ビビってやがるですか!? 男4人で震えてんじゃねぇぞ……ですわ。

 

「リョウ先輩……伊地知先輩ちょっとぶりっ子過ぎませんか……コソコソ」

「ヒソヒソ……無理してるし、ぱんつ見えそう……」

「星歌ちゃん……声がドス効いてて、コワイ……」

 

 うう、現実は非情だ。ド清楚なあたし自身の理想イメージってだけで、実際周りからは明らかにムリしてるのが丸わかりじゃねぇか。つーか3人でヒソヒソ話すんな。仕事しろ。

 

 

 

 

 

「ちーす。2人お願いしまーす」

「っす」

「お帰りなさいませ、お嬢様。こちらへどうぞー」

 

 次は喜多ちゃんが2人組女性客の接客にあたる。前髪ぱっつんヘアの女の子と……あ、あれは!

 

「あれ、おめー、ひょっとして……せーちゃん? ここ秀華だよな? 他高で何やってんだ?」

「げっ! リナじゃねぇか!!」

 

 ソバージュヘアに濃い目のメイク、美白で令和ギャルスタイル。私のダチ、リナだ。

 

「ぷぷっ……ぎゃははは!! せーちゃんがメイドさんやってらー! 似合わねー!」

「おい、笑うんじゃねぇ! こっちも事情があんだよ!」

「いや、でもさ、あの『サタンの伊地知』と恐れられた伊地知星歌がミニスカでフリフリのメイドさんだなんて、笑わずにいられねーって!」

 

 ゴツン!!! リナの脳天に強烈なゲンコツを食らわせる。

 

「おいこら。『サタンの伊地知』復活しようか?」

「……すみませんでした」

 

 躾の成ってないお嬢様には鉄拳制裁……でございますですわ!

 

「つーかお前、どうしてここに?」

「今日は秀華のダチが舞台出るんだよ。体育館、今日のステージ演劇部だし。もちろん明日、おめーらのバンドもみんなで見に行くから!」

「ありがとな! 部活の連中が来てくれると心強いよ」

 

 持つべきものは親友だよな! 明日度肝抜かすなよ!

 

「つーか、リナ先輩。いきなり爆笑ってのは可哀そうっすよ」

「あ? しょーがねーだろ。ちょっと面白過ぎたし。あ、せーちゃん、紹介するよ。こいつは長谷川。あーしの後輩。部活はやってないけど学外でバンドやっててスゲー上手いんだよね」

「えと、結束バンドの伊地知さん? この間はどうも。新宿ではうちのリーダーが失礼したっす」

 

 連れの前髪ぱっつんが割って入ってくる。やたら長いもみあげと気合いの入った髪色。パーカー、ニーハイソックスに大胆なショートパンツ。暑いのか寒いのかよくわからん格好だな。

 

「えっと……どちらさま?」

 

 え、まじで面識ねぇぞ。新宿ってあのライブハウスのことか? こんな奴いたっけ?

 

「……これで分かるっすか?」

 

 そう言うとぱっつん女は黒いマスクを付ける。

 

「あ! ツインテチビの!!」

 

 思い出した。一触即発になったときあいつを止めた黒マスク女か!

 

「大槻ヨヨコ先輩っす。あと、ツインテチビはやめたげるっすよ。本人聞いたら泣いちゃうっす。ヨヨコ先輩メンタルよわよわなんで忖度お願いするっす」

「ん……なんかごめん」

「ちなみに自分はこういう者っす」

 

 両手で丁寧に名刺を差し出す黒マスク。黒地で高級感のある質感。白文字で『SIDEROS』とカッコイイロゴ。中央にはDr.長谷川あくびと書かれている。ドラムス、奇しくも同じパートか。

 

「これはご丁寧にどうも。高校生なのに名刺持ってるなんてスゲーな」

「一応自分らレーベル所属なんで。ガチでやるならこのくらいは普通っすよ」

 

 あいつ……リョウみたいに眉一つ動かさない鉄面皮だが、若干ドヤった気がした。リナの後輩ってことは、1年生だろ? 負けられねえ。こっちはレーベル所属どころか、まだライブ1回だし無駄に予定してたミニアルバムも出せてないけど。

 

「長谷川はワシが育てた」

「育てられた覚えないっすけど」

 

 無表情でリナにピシャリとツッコむ長谷川。先輩にも物怖じしない度胸。結構『いい性格』してんな。

 

「とりあえずお前ら、さっさと座れ。注文取ってやるから」

「おいおい……。身内となるとその態度かよ。まあ、いいや。注文は噂のぼっちちゃんにお願いしようかなー? おーい! ぼっちちゃーん!」

 

 入口で看板持ちをしてるぼっちちゃんに、ブンブンと手を振るリナ。長谷川も興味津々な視線を向ける。

 

「いや、注文はあたしが聞くし」

「えー? だっておめーいつもぼっちちゃんの話ばっかするじゃん。だから気になるんだよ。超かっこよくて超かわいいリードギター殿が」

「まあ、自分も話してみたいっすね。ぼっちさんのことは新宿FOLTで廣井さんから散々聞かされてますし」

 

 

 そうこう言ってると喜多ちゃんに(半ば無理やり)促されてぼっちちゃんが注文を取りにやってきた。

 

「ごごご、ご注文は!?」




 まだまだ続く。お気に入り、感想、高評価よろしくお願いします!
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