もしもJK星歌ちゃんだったら。   作:三十路スキー

64 / 70
昨日誕生日でした。


忘れてやらない。星歌たちの長い一日。①

 ステージの下見の後、昨日は練習を軽めに済ませて解散。幸いみんなよく眠れたみたいだ。ガラにも無く円陣を組んでから、ついにステージ本番。

 

「続きまして、結束バンドの演奏です」

 

 あたしたちは体育館の舞台に袖から入場する。万雷の拍手に迎えられる。普段よりはるかに大きいハコ。各自速やかに楽器をセットして準備万端。緊張が少し心地良くもある。

 

「喜多ちゃーん!」

「頑張れー!」

 

 流石陽キャ。流石のホーム。喜多ちゃんにはクラスメイトたちの黄色い声援。友達一杯だけど、不思議と男子が少ない。共学のはずなんだけどな。

 

「やったれ! せーちゃーん!」

「うおおお! 伊地知―!」

「フレー! フレー! 伊地知!」

 

 あっちはリナたちだ。あたしのダチ連中みんなで来てくれた。それはいいんだけど、横断幕で『シモキタの一番星 伊地知星歌』ってなんだよアレ。恥ずかしいだろ……。でもヤル気が出てきた!

 

「せーの! リョウ様ー!」

「リョウ様―! すきぴー!」

 

 リョウへの黄色い声援。中学生ぐらいの女の子から、アラフィフぐらいのマダムまで。全員見事に女性なんだよな。ホント女にはモテモテだよなお前。

 

「ぼっちちゃんがんばえー! 今日は特別にカップ酒―!」

「ひとりちゃーん! こっち向いてー!」

「……」

 

 一方こっちはぼっちちゃん応援団。声を張り上げる廣井さんは相変わらずグデングデンに酔っている。よく学校に入れたな。警備ザルすぎだろ。それに酒のカップをステージに置く奴があるか!

 ぼっちちゃんファンの2人には事前に教えておいてよかった。応援グッズまで自作して来てくれるとは。あれからたまにライブハウスにも来てくれるし、少し前にはカフェで御馳走にもなった。本当にいい人たちだよな。

そして、廣井さんの隣には姉貴がいる。今日は珍しく黙ってる。らしくもなく腕組みなんかしちゃって。『次のライブへの出演オーディション代わりにするから気合い入れな』なんて言ってたからそのつもりなんだろうか? まあ、あたしたちの成長とくと見せてやるよ。

 

「おねぇちゃーん!」

「ひとりちゃーん!」

「ひとりー!」

 

 あっちにはぼっちちゃんの家族たちがいる! 犬のジミヘンは団扇になって応援だ。お母さんの自作かな? お父さんなんかビデオカメラ持ったまま号泣しちゃってるよ……。

 

 

 

 

 

「初めまして! 結束バンドです! 今日は1曲目から気合い入れていくんでよろしく! 聞いてください! あたしたちのオリジナル曲で『忘れてやらない』今日は全曲オリジナルで攻めていくぞー!」

 

 冒頭のMCはあたしがやる。1曲目はオリジナル曲の『忘れてやらない』だ。ぼっちちゃんのどこか捻くれた青春感溢れる歌詞とリョウの爽やかだけどトゲもあるメロディが調和した曲だ。ハイテンポなこの曲で勢いに乗りたいところ。

 

 ――泣いても笑っても、あたしたちの成果が試される時。8月とは一味違うんだ。やってやろう、みんな!

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。