もしもJK星歌ちゃんだったら。   作:三十路スキー

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どうもすみません。完結をあきらめない。


忘れてやらない。星歌たちの長い1日。③

「うーん……」

「お、グッドタイミングだね」

 

 意識が目覚める。知らない天井だ。

 

「え? あ! ぼっちちゃんは!?」

「やあ、久しぶり。娘がお世話になっています」

 

 呑気な風体で軽く挨拶する白衣の男性。私はあの人を知っている。

 

「え、あ……貴方は山田先生? ということは……」

「ここは山田病院だよ。貴方は秀華高校から急患として運ばれてきたんだ」

「てことは……入院、ですか? 私……」

「そうなるね」

 

 彼は山田先生。近所にある病院の院長先生だ。私は昔から患者として山田先生のお世話になっていた。星歌がリョウちゃんと友達になってからは、挨拶程度だが私的な交流もある。メガネの似合う知的な男性。もう40代のはずだけど、若々しくて正直かなり顔がいい。流石リョウちゃんの父親だ。

 ……実は初恋の人なんだよね。星歌が生まれる前から先生の事は知っていたから、ご結婚されたと知ったときはショックだったなぁ。だって奥さんすっごい美人だったんだもん。ちょっと親バカなのが玉にキズだけど、とってもいい人たち。

 

「あ! 先生、ぼっ……じゃなくて後藤ひとりちゃんは無事ですか? えっと、私が庇った女の子の!」

「ああ、後藤さんは無事だよ。奇跡的に軽い打撲だけだね。貴方のお陰だね。もうご家族と帰られたよ。後藤さん床に穴が開くんじゃないかってぐらい頭下げて感謝してたよ。」

「よかった……本当に……あ! いでで!」

「で、問題は貴方の方だね」

 

 安心したら腰に強い痛みが! そういや腰がヤバかったんだ。

 

「あ、痛! うぅ……落ち着いたらまた腰が痛い……」

「伊地知さん、落ち着いて聞いてください。あなたは……」

「ごくり……」

 

 どこかで見たことのある視点。なぜかデジャブを感じる。

 

「急性腰痛症、所謂ギックリ腰ですね。あと軽度の打撲。それから慢性疲労。無理してたんじゃないですか? お仕事とかね」

「……はぁ」

「自営業は大変だよね。私も経営者だから気持ちは分かるよ。でも、無理は禁物。その体は貴方だけのものじゃないんだから。星歌ちゃん心配していたよ」

「……」

 

 ――心配、してるよね。

 

「仕事大変だろうけど、少しの間休んでいなさい。近日中には退院できるようにするからね」

「ありがとうございます……」

「では、私はこれで失礼するよ。他の患者さんが待ってるからね」

 

 軽く頭を下げて、私の病棟から出ていく先生。少し猫背だけど私にとっては頼もしい背中。

 

「ああ……ドイツでの学会さえ無ければ。リョウちゃんのライブ行きたかったなぁ……」

 

 ゆっくりと遠ざかる山田先生が何かブツブツと呟いているけど、気にしないでおく。

 

 

 

 

 

『心配かけてごめんね。もうすぐ退院できるって』

 

『わかった。帰るときは迎えに行くから』

 

 妹へ無事を知らせるロイン。星歌からはそっけない返事。

 

 ――退院したら私、泣いちゃうかな。あの娘も。

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