文化祭ライブから暫くして、リョウのご両親が家でのバーベキューに誘ってくれた。あたしたちの打ち上げと姉貴の快気祝いを兼ねてのパーティだという。姉貴が退院するまでは自粛していた打ち上げだが、こうして堂々と行えるというわけだ。
「よし、ここをこうやって……着火!」
「星歌さんすごいじゃないですか、かっこいいですよ」
「やるじゃん。こういうの手際良く出来たら女の子にモテモテだよ」
「女にモテたかねぇよ、私女だし」
バーベキューコンロに炭を並べて火を付ける。ぼっちちゃんは奇跡的に無事。姉貴も少し入院したが無事復帰。ライブハウスの仕事も再開してる。あの時はどうなることかと思ったけど、本当に良かった。昼過ぎスタートで、今日はPAさんも起きれたみたいだ。姉貴の友人枠。つーかメシ目当てか? 肉苦手なイメージだけど。
「お、お待たせしました」
「じゅるり」
ぼっちちゃんが肉の皿を持ってきた。リョウが皿やコップを並べてくれる。なんだかんだ頑張り屋のぼっちゃんはともかく、リョウが珍しく働いてる! やっぱり肉か! 肉効果か!
「さあ、どんどんお肉焼いちゃいましょう! 野菜もしっかり食べましょうね!」
その後ろから、喜多ちゃんが綺麗に盛り付けたサラダと焼き野菜を持ってきた。キッチンで肉も野菜もテキパキと捌いてくれた。今日のMVPがいきなり決定してしまったぞ。
「いえーい! いいぞー!」
「廣井……。お前少しは遠慮しろ!」
「フフフ……食い貯めチャンスデス! コミマで使いすぎて金欠デス……」
「イライザ、お前もか……」
今日は『シク ハック』の3人も来てくれた。ぜひ招待したいとぼっちちゃんたっての希望だ。やっぱり廣井さんはぼっちちゃんにとっての『お姉さん』なんだよな。もちろんあの人はここぞとばかりに山田家の高い酒を飲みまくり、すっかりできあがっているが。
「さあさあ! どんどん焼いちゃってよ」
「デザートもたくさんあるわよー!」
リョウのご両親が向こうからやってきた。ドクター山田が押してきたワゴンにはいろいろなスイーツが満載されている。志麻さんが持ってきた和菓子もしっかりある。しかし、この二人何故夫婦で『セーラーヌーン』と『タキシードお面』の恰好をしているのだろう? 下北沢の名士だよな? ネットでも評判の名医なのにこのはっちゃけぶりは……。
「あ、ありがとうございます……先生……ポッ」
何故か姉貴は分かりやすく顔を赤らめている。山田のおじさんは確かにかっこいいんだよな。年齢の割にはだけど。姉貴って年上趣味だったっけ?
「おっと、大丈夫かい? 熱は無いみたいだね」
「はわわ……」
ナチュラルに姉貴に自分のおでこを当てる山田おじ。喜多ちゃんのリョウ推しモードみたいにあわあわしてる姉貴。いい歳してなにやってんだふたりとも。
そんなこんなで、バーベキューの楽しい時間が過ぎてゆく。日はどっぷりと暮れてもう時間は遅い。
「よかったら君たちは泊っていくといい。明日は学校休みでしょ?」
急遽ゲストルームでお泊り会が開催される運びとなった。大人達はそれぞれ仕事があるので帰ることになったが、あたしたちは4人で一泊させてもらうことになった。今日は天気が良い。下北沢でも星がよく見えるかもしれない。
次回最終回? 打ち上げお泊り会編です。