もしもJK星歌ちゃんだったら。   作:三十路スキー

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最終話 ヒーローはひとり①

 リョウの家には少し離れのところに和室のゲストルームがある。4人分のパジャマまで用意されていて至れり尽くせりだ。お風呂を頂いてから、ここに布団を敷いて4人で眠る。姉貴の退院を待ってから打ち上げになったから、ライブから結構時間は経ってるんだよね。そろそろ次のライブも考えないといけない時期。来月のライブは姉貴の合格を貰って無事出演できることになった。

 でも今日は思いっきり遊ぼう。お菓子を食べながらコメディ映画を見て、お布団に入っておしゃべりして夜更かし。最後は枕投げなんかしちゃったりして。疲れて眠りに落ちる。

 ……少し眠ったけど、すぐに目が覚めた。みんなが眠っていることを確認して、そっと部屋を出る。用を足してから、少し外に出てみる、

 

「星歌ちゃん……ね、眠れないんですか?」

「……ああ、ぼっちちゃん。どうした?」

「わ、私も、あの、トイレ行ってから、少し外の風に当たりたくて、それで……」

「そっか」

 

 ぼっちちゃんも起きてきたみたいだ。

 

「……星歌ちゃん、な、泣いてるんですか?」

「グスッ……泣いてねぇよ……ズズッ」

 

 鼻を啜る。泣いているわけじゃない。泣きそうになってるだけだ。

 

「あ、すみません……」

「謝んなよ。ちょっと泣きそうになってたのは事実だし。なんでだろうな、今日の月を見てると、何故か泣けてくるんだ。綺麗なお月さまなのに」

「……」

「なあ、ぼっちちゃん。いつかきっと別れがくるからなんて、悲しいこと言うなよ」

 

 文化祭で二曲目に演奏した『星座になれたら』のフレーズ。泣きそうになる理由は、本当にそうなのか?

 

「え、いや、あれは歌詞として思いついて……その」

 

 察してくれたか、ぼっちちゃん。

 

「いや、ごめん。いきなり変なこと言って。でもさ、あたし分からねぇんだ。ぼっちちゃんが分からなぇ。ぼっちちゃんのことは大切な友達だと思っている。でもさ、この感情が分からねぇ。正直言うとさ、私ぼっちちゃんが好きだ。友達ってだけじゃなくて、恋人になりたい。付き合いたいんだ!」

「えっ……星歌ちゃん……」

 

 あああ! 言ってしまった! なにやってんだ伊地知星歌! こんなこと言っちまったらさ、ぼっちちゃんに嫌われちまうじゃないか! 軽蔑されてしまう!

 

「いや、その、なんだ……ええい! ままよ! ん!」

 

 ぼっちちゃんを勢い任せに抱き寄せる。

 

「え、せ、せ、せ、星歌ちゃん、やめ……んっ」

「んんー!」

 

 勢い任せ、ぼっちちゃんに口づけをする。押し倒しそうな勢いで抱きしめる。ああもう! こうなったらヤケだ!

 

「えっと、あ、これは初ライブの時のお返し!」

「え、あ、あわわわ……」

 

 たこぼっちとたこせいか。二人してあわわとなってしまう。ホントになにやってんだあたし。初ライブ後で私にキスをしたお前が悪いんだぞ。

 

「聞いてくれ! ぼっちちゃん。いや、ひとり。私の気持ちを」

 

 あたしは姿勢を正して、再びひとりに向かい合う。




次回 ヒーローはひとり②

どういう結末になるか……。
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