魔法少女リリカルなのはViVid キャリバーオブデザイア 作:エステバリス
最早4日に一度が普通となった更新速度。
ミツザネェ!が極アームズを圧倒する龍玄 黄泉になるというのに公式で次回予告が最後の変身となっていた。
命を奪うというヨモツヘグリロックシードらしいですが、えっちょっ、それってつまり資格のない人がキバの鎧を纏ってるようなもんじゃね?とも思ったのですが……
ピピピ、ピピピ。とアラームが鳴り響く音がエイジの部屋に響き渡る。
エイジはそれの発生源や手探りで探し、手にそれっぽい感覚を感じると、思いっきり叩く。
「……寝る」
「寝る、じゃねーだろエージ。タイマーのアラームお前がセットしたんだろうが」
アンクに布団を持って行かれ、強制的に目を覚まさせられるようにペチペチと叩く。
「オイ起きろエージ!死ぬぞ!?」
「えっ俺死ぬの!?」
「冗談だ」
冗談で済まないような、まるで最終回のような緊迫感を持って言われたのでエイジはすっかり目を覚ましていた。
エイジがコウガミファウンデーションの跡取りということを思い出させてくれそうな見るからに高価な時計を見ると、そこにはミッド語で7:00と映っていた。
「まだ七時じゃねえか!?んでこんな時間にアラームセットしてんだよ!?」
「お前がアイツらと一緒に学校行くなんてらしくねえこと言い出すからだろうが。しかもセットしたのはお前だエージ」
アンクにそれを指摘されると、エイジは思い出したように「ああ」と呟きパパッと制服に着替える。
初等部の男子生徒は基本的に短パンとカーディガンを上に纏ったカッターシャツが制服なのだが、大絶賛ひねくれ中のエイジはカーディガンなんて知らねえとばかりにボタン全部外した、見方によれば私服に見える学ランとかなり余裕があってダボンダボンの長ズボンを着用している。
校則面とか怪しそうだが、そこは流石姑息で卑怯で鬼畜なエイジ。自身の立ち位置から職権乱用して強引に学院に認めさせているのだ。
仮にも聖王教会の宗教系学校なのにそれはいかがか、と学院内では物議を醸し出しているが、今の所は理事長が変わらない限りは大丈夫っぽい。
「アンク、指定ポジション」
「はいよ」
最早いつものこととなったアンクin鞄。一緒にバックルと教科書類を詰め込んでさっさと家を出る。
エイジの朝は、いつもより早かった。
◆◇◆
「ちーっす、なのはさん」
「あっ、エイジくん久しぶり。いつぶりだったっけ?」
ミッドチルダ某所、高町家にて。エイジは逆にヴィヴィオに待たせている気分でも味合わせてやろうという子供っぽさの残るイタズラとも言えない思考で高町家へとやって来た。
「あー……親父とお袋が死んで一年くらいまでは来てたんで、多分一年ぶりくらいっすね」
「そっかー。もうそんなに経つんだ……時間の流れって早いねぇ」
二人して空を眺めていると、エイジは不意に四年前と数百年前に空に上がった聖王のゆりかごのことを思い出し、ポツリとそれっぽい言葉を口にする。
「そーっすねぇ……特に、欲望剥き出しで楽しいことやってる時なんか酷いくらいに早く感じるもんっすね」
「にゃはは。変な例え方だねぇ。ちょっと待っててね、すぐ呼んで来るから」
ヴィヴィオの義母、高町なのははヴィヴィオに似たような……というかヴィヴィオが似たような笑い方なのだが、そんな特徴的な笑い方をしながら家の中へと入っていく。
「ヴィヴィオー。エイジくんが来てくれたよー」
暫くなんの反応もない静寂の時が続いたのだが、突然ドタバタと慌ただしい音が響く。
「えぇっ〜!?なんでなんで!?なんで私が行かないと起きようともしないエイジくんがなんで!?」
「……アイツ、俺にケンカ売ってんのか?」
事実とわかっているからこそエイジはヴィヴィオがケンカ売ってるようにしか思えなかった。
八つ当たりっぽいが、男だったら一発殴ってやりたいくらいだった。
「お待たせエイジくん!行こ!」
「あっ、おいヴィヴィオ!まだ時間あるからゆっくり歩け!なんかあっても遅い……っていねえ!」
エイジが止める間もなくヴィヴィオは走り去って行った。
エイジは「アイツスピード狂なのか……?」なんて思いながらヴィヴィオを追いかけて行く。
「すみませんなのはさん!また今度!」
「うん。また今度ね」
なのはは手首を軽く振って二人を送り出す。
すると高町家からもう一人、金髪の女性が現れる。
フェイト・T・ハラオウン。ヴィヴィオのもう一人の義母と言っても過言ではない人物だ。
「あれ、エイジ来てたんだ」
「うん。さっきヴィヴィオが急いで走って行ったのを追いかけて行ったよ」
なのははエイジとヴィヴィオが走って行った方向を指差し、ニッコリと笑いながら家の中に入っていく。
「えーっ……私も久しぶりにエイジと話したかったな……」
「いいのいいの。わざわざヴィヴィオの迎えに来てくれたってことは、今回は来てくれるってことだと思うよ?」
「ああ……そっか。そうだよね。ヴィヴィオからエイジのことはある程度聞いてるから、合宿もエイジにとって損はないと思うしね」
◆◇◆
「ここの学院も坊ちゃん嬢様学院とはいえ初等部中等部だな……うるさい」
「エイジくんは偶に小学生と思えないくらいひねくれてる時があると本気で思ってるんだけど」
魔法学院にやって来てエイジは早々このセリフだった。
「……あ!アインハルトさん!」
そうこうしていると、ヴィヴィオは不意に一人の中等部の制服を着た女子に声を掛ける。
「はい」
振り向いた少女は左右で色の違う瞳が特徴的だ。今エイジが会いたくない人ぶっちぎりナンバーワン。
「ごきげんよう、アインハルトさん!」
「ごきげんよう、ヴィヴィオさん……それと、コウガミさん」
「……ちっす。ストラトスセンパイ」
やはり、互いに先祖の記憶を持っていて、その先祖同士がどうしようもなく敵対していたからなのか、エイジも関係ないことはわかっているが、どうしても少しだけ距離を置いた話し方になってしまう。
「……コウガミさん。私は一応、貴方とあのオーズが別人であることはわかっているつもりです」
「で?それがどうかしたんすか、センパイ」
「ですが……やはりオーズとクラウスは色々とありましたから、難しいですね……」
「……そっすね。んじゃ俺はもう行くんで。そこのアホヴィヴィオは好きにしといてください」
アインハルトさんがー、アインハルトさんがー、と謎の惚気を発揮するヴィヴィオを完全放置しながらエイジはアインハルトと別れて初等部校舎に消える。
その後、エイジが「なんでおしえてくれなかったの」とヴィヴィオに若干理不尽な仕打ちを受けたのはご愛嬌である。
◆◇◆
「あん?旅行?」
「うん、この一学期前期試験が終わったら土日合わせて四連休でしょ?だからみんなで、勿論コウガミくんも一緒に行くことになってるの」
「はぁ?なんだそれ。俺は聞いてねぇぞコロナ」
「だってエージは誘ったら適当に理由付けて断るでしょ?だから強制にした!」
「ふざけんなリオ!まだ新生Bigining Fantsy XⅣの接続期間残ってんだぞ!?この4日でどれだけ育成しようと思ってたのかわかってんのか!?」
ビギニングファンタジー、通称BF。決して重火器のネット対戦とかそういうのではないが、ミッドチルダで有名なデルタエニックスという会社制作の二大RPGの一つである。もう片方はワイバーンクエストなるもので、後者はRPGらしさを全面に押し出しているもので、前者は十一作目からいわゆるアクションRPG、もしくはMMORPGと呼ばれるゲームになっている。
ビギニングファンタジーは次元世界ネットに進出して大成功しており、多数のBF廃人と呼ばれる人間達を作っている。エイジもまだマシな方だがBF廃人である。
「まだあるぞ!パケットモンスターの次元世界大会のミッドチルダ予選にも出るつもりだった!ウメウラのアスリートファイター対戦講座にも出席するつもりだった!遊戯皇のミッド大会も!バトルソウルズなんて最新パックの先行販売に行くつもりだった!ゴッドテイカーの次元ネットプレイでマルチプレイ一緒にやるって言ってた!他にも他にも───」
「エイジくん、落ち着いて落ち着いて」
「これが落ち着けるかぁ!組んだ予定片っ端からキャンセルしなきゃならねえじゃねえか!」
「……ていうかコウガミくん、それたったの4日で全部消化できた内容なの?」
「予定では」
ただまぁ、なんだかんだ言いながらも予定をキャンセルすると言ったこの少年は友達想いの少年である。
「ところでエージ、さっきからなに読んでるの?」
「ん?これか。パケットモンスターの大会でよく見られるパケモンの対策表だ。対策法割れるからあんまし人に見せたくねえんだが、もう出場できねえんだし、見るか?」
「マジ!?見る!」
リオは意外と丁寧な字で書かれた対策必須パケモンの早見表と対策方法が適切に10パターンくらい書かれたノートに目を通す。
「パケモン廃人だからね、リオは」
「それ以上に格闘技の方が好きなんだろ」
まあともかく、エイジの予定していた四連休は友達が勝手に組んだ予定で一から十まで崩されてしまったのだった。
◆◇◆
そんなこんなで見事に予定が潰れた四連休の前日。
学院から帰宅すると、何故か玄関に後藤がいた。
「おまわりさんもしくは管理局員さん不法侵入者です助けてくださいーーー!」
「待て落ち着け若様!俺は若様が不測の事態で家に帰って来れない時のためにサトナカさんにスペアキーもらってるんだよ!」
「……なんだそんなことか。で、今日はメダルの徴収日じゃないだろ。なにしに来たんだよ」
「いやぁ、若様のことだから立てた予定がヴィヴィオちゃん達に潰されたんじゃないかと思って」
「エスパーかアンタ……」
エイジへの理解が凄すぎて理解されてる方ですら気持ち悪くなってくる。しかし、それは同時にエイジにとって都合のいいことでもあった。
エイジはキュピンと言いことを考えつき、持っていた紙に少し斜線を引き、後藤に手渡す。
「これは?」
「俺の予定。代わりにやっといてくれ」
「こんなバカみたいな量こなせって言うのか!?」
「だから俺自身出ないと意味ないのには斜線引いてるだろ。ゴッドテイカーのマルチプレイと遊戯皇の大会その他諸々で行けないヤツはやめとくって連絡する。
ウメウラの格ゲー講座はメモってくれりゃいいし、パケモンの予選は次元ネット大会だからな。あとはBFのレベリングとそれと───」
「……若様、この量4日でこなそうとしてたのか?」
「四日間徹夜ならどうとでもなるからな」
流石廃人は格が違う、と言ったところだろうか。
エイジはササッと着替えて旅行鞄の中に簡単な荷物とパケモンのサブROM、そしてアンクとバックルを詰め込んで家を飛び出して行った。
『オイエージ!別に今の状況で俺を中に放り込む理由なんてねえだろ!』
「あーうるさいうるさい聞こえなーい」
『オエージイイイイイイ!』
バタバタと去って行ったエージとアンク。後藤は溜息をつきながらエイジの鞄の中からテストの結果を確認する。一応、保護者として。
フィジカル46/235
筆記成績100・100・100・100・100
とどのつまり、だいたいパーフェクトだった。
「……あんな廃人生活してるのにどこでこんな成績残せる勉強してるんだろ……」
カウント ザ メダルズ
現在オーズが使えるメダルは?
赤 タカ×1
緑 クワガタ×1、カマキリ×1、バッタ×1
黄色 ライオン×1、トラ×1、チーター×1
灰色 サイ×1
青 ウナギ×1
紫 なし
橙 なし
特殊系 なし
まさかの廃人ゲーマー。それでいいのだろうか、ファウンデーションの跡取りよ。