第二回イベントの5日目。
朝起きたら3人は今後のメダル集めについて話し合っていた。
「今、私たちのメダルを全部合わせると12枚で残りの時間が3日間しかない」
「そうだな時間も限られてるし3人で30枚集めようとなると届かないかも知れない」
「そっかぁ〜…」
メイプルが少し落胆した様に言う。
「だからまとまってると効率悪いし俺はこれから1人で探索してみるよ…サリーはメイプルと一緒にいてあげてくれ」
「うんそうだね、もう残り時間も少ないしそれしか無いかも」
「わかった…でも気をつけてねアイスくん」
そしてメイプル達2人と別れ…アイスは上空からの探索を始めた。
森エリア>>>>>草原エリア
「さーて、久しぶりの1人だ…これからどうしよっかね」
森を抜けてひらけた草原を出て移動していた。
すると下から大量の火球がアイスに向けて迫ってきた。
「おっと、あぶないな」
そう言いつつ危なげなく回避するアイス。
火球が飛んできた方向を見ると同じ赤いローブの団体がこちらを見上げていた。
「貴様がアイスだな!我らが炎帝ノ国の王であるミィ様と同じ王を名乗る不届き者!…周囲の者が許してもこの私が許さん!」
「いや、別に名乗ってないけど」
何やら壮年の男性がアイスに向けて豪語する。
「隊長!カッコいいです!」
「隊長!」「隊長!」「隊長!」「隊長!」
「さすがミィ様親衛隊長!」
「ワハハハ!まぁ自称だがな!」
それに釣られて部下らしき者達が男を持ち上げた。
また面倒な連中に目をつけられたと思うアイスであった。
「数はこちらが有利!負ける通りなど無いわ!皆のもの!かかれー!」
〜1分後〜
「数だけの連中だったな…まぁおかげでメダルが4つも手に入ったから良いか」
思わぬ大収穫にアイスも嬉々としている。
哀れ親衛隊…関わらなければ貴重なメダルも奪われる事もなかったのだがアイスを侮ったツケは大きかったようだ。
残り6枚…アイスは再び空を飛ぼうとしたがこちらに近づいてくる者がいた為、それを中断して視線をそちらに向ける。
「ところでアンタも敵?」
「滅相もない私に敵意はありませんよ」
白髪の女性はアイスに対して微笑んだ。
「どうかしましたの?」
「ふふ、いえ何も…それにここで会ったのも何かの縁です…よろしければこれをどうぞ」
白髪の女性はアイスに向けて投げ渡した…それを掴み取って物を確認して見てみるとメダルが2枚もあった。
「メダル?でも良いの?あなたのものじゃ」
「信用の証としてそのメダルは差し上げます…わたしには無用の物でしたし他に目的がありますのでよろしければ差し上げます」
「まぁ、くれるってんなら遠慮なく、えっとアイスって言います」
(なんかすごく見覚えのある人だな…まるであの人みたい…)
「私の名は、えっと…その、何でしたっけ?本名はマズイですから〜…そう!チヒロ!今だけはチヒロと…そう呼んでください」
何やらボソボソ言った後、白髪の女性は名前を明かす。
「あの…それ現実の名前では?」
「心配は無用ですよ、この程度でバレるほど簡単な名ではないと思いますので」
「はぁ………まぁそれで良いなら良いけど、気をつけてくださいねチヒロさん」
「はい…な、アイス、お気遣いありがとうございます」
そうして一時的にパーティとして行動する事となった。
〜30分後〜
しばらく進んでいると人の気が無くなり2人の周囲に濃霧が立ち込めてきた。
「なんだかここだけ霧が凄い気が…」
「何か特殊な条件下で発動する現象のようなものでしょうか?気をつけてくださいアイス」
2人は警戒しながら歩みを進める。
すると次の瞬間…足元に巨大な魔法陣が現れ、2人は何処かへ飛ばされた。
平原エリア>>>>>謎の神殿
「此処は?建物の中?」
「どうやら転移のトラップにかかり、こちらへ飛ばされたようですが」
「っ!来る!」
すると地面が隆起してそこから八つ首の大蛇が姿を現した。
「これは戦い甲斐がありそうですね」
「デカイな…とりあえず【氷帝】【氷槍】【雹雨】!」
アイスは魔法で八つの首と胴体の全てに攻撃した。
だがHPは減っていなかった。
「有効な箇所は無い…二層の大鹿と同じ特殊な条件下でダメージを与えるタイプか…さてどう攻めるか」
そして大蛇は反撃と言わんばかりに八つの首でアイスに噛みつこうとしていた。
「【閃撃】!はぁ!【重撃】!」
するとチヒロはアイスの前に割り込み、双剣で全ての蛇の頭を潰し、更に胴体に重い一撃を入れて4割ほど削った。
「凄い…」(マジか…早すぎて剣が見えなかった)
チヒロの動きには攻撃の起こりが一切存在しなかった…まるで肩から剣の先までが1本の鞭の様だと錯覚するほど鋭くしなやかな剣だった。
だが大蛇の首はすぐに再生してしまった。
「げ、再生能力持ちか…めんどくさ」
「どうやら首を全て破壊しないと本体の方にダメージが入らない仕組みですねアイス…援護お願いしてもいいですか?」
「あ、はい、わかりました【氷槍】×8」
巨大な氷槍で大蛇の首を的確に攻撃するアイス。
するとチヒロは大蛇に向けて走って行った。
大蛇はそれに反応してチヒロに八つの首が襲いかかる。
「チヒロさん!危な…えっ⁈」
するとチヒロは全ての蛇の噛みつきをすり抜ける様に通過して行く。
(上手い!攻撃の打点をずらして避けた)
更に大蛇は強力な風起こしでチヒロの距離を離そうとするが。
「押し通る!【進撃】!」
チヒロは強い向かい風の中を全く影響を受けずに突き進んでいた。
「トドメです!【天撃】!」
2本の長剣が光り輝き、双剣で大蛇の身体を斬り刻んで大蛇に大ダメージを与える。
そして大蛇の残りHPを削り切って倒した。
大した援護をする間も無くチヒロがほぼ単独で倒してしまった。
「あ、メダルが4枚ですよアイス…これで足りますか?」
「あ、はい」
「それは良かった…あ、帰還の魔法陣ですね、行きましょうか」
「あ、はい」
先ほどの光景に驚きアイスはイエスマンと成り果ててしまった。
そして戦闘が終了した2人は元の草原エリアへと帰還するのだった。
〜2日後〜
そうしてその後チヒロと散策を続けるがメダルは見つからず6日目も終了してメイプル達と合流しようとした。
「今日で7日目ですね、貴方と共に戦えて楽しかったですよアイス…それではこれで」
そう言ってチヒロとアイスは別れて行った。
「凄い勉強になったな…動きは十分見れたし、俺も今度試してみようかな」
この2日間の戦闘の光景を反芻するアイス。
「でもやっぱりあの人何処かで見たことが…あ、現実の姉さんにそっくりなんだ…まぁ、いるわけないか……でもまた昔みたいに遊びたいな」
草原エリア>>>>>森エリア
「良かった良かったこれで3人ともメダル10枚ずつでなんとか目標達成かな?」
サリーからメダルが揃ったとメッセージが来て洞窟で合流しようと空を飛んで向かっているアイス。
すると近場の森で戦闘音がするので気になり行って見るとカスミが大勢の敵と対峙していた。
「【氷槍】×10」
アイスはカスミを避けて他の敵を空から撃ち抜いて倒した。
敵の意識はカスミに向いていたため容易に排除できた。
「大丈夫かカスミ…余計なお世話だったか?」
「いや助かったよアイス、礼を言う」
どうやらメダルを集め終えたカスミは身を隠せる場所を探して移動していたらしいが途中で敵に見つかり戦闘になっていたと話した。
それを聞きアイスは提案する。
「良かったら、俺と一緒にメイプル達と合流しないか?」
「ありがたいが良いのか?」
「ああ、メイプルとサリーが喜ぶと思うぞ」
「ありがとう、では世話になる」
サリーにメッセージを送り、カスミと共に合流地点の洞窟へと向かった。
森エリア>>>>>合流地点の洞窟
「【毒竜】〜〜!これで誰も入ってこれないよー」
「ああ…そうだな…」
「ありがとう…メイプル」
「最恐の防衛システムだ」
サリーとカスミ、アイスは苦笑しながら言う。
そして4人は今まで会ったことを談笑しながらイベント終了の時間まで有意義な時間を過ごしていた。
そしてイベントが終わり各々メダルでスキルやアイテムの選択を始めていた。
アイスがメダル交換で獲得したスキルは以下の2つである。
【魔力装甲】
このスキルの所持者の受けるダメージをMPが肩代わりする。
オンオフの切り替えが可能。
使用中MPが0になると効果が消える。
【MPブースター】
このスキルの所持者のMPが2倍になる。
アイス
Lv35 HP35/35 MP16800/16800
【STR 0】
【VIT 0】
【AGI 0】
【DEX 0】
【INT 0〈+90〉×2】
〈装備〉
頭【白夜ノ軍帽】スキル【氷天の静寂】
体【白夜ノ軍服】スキル【氷霜の支配者】
右手【不壊の青薔薇】スキル【青薔薇の権能】
左手【空欄】
足【白夜ノ軍服】スキル【氷霜の支配者】
靴【白夜ノ軍靴】スキル【累の氷結】
装飾品
【絆の架け橋】【スーパーリボン】【空欄】
〈スキル〉
【氷帝】【氷槍】【雹雨】
【氷壁】【氷柱】【氷の鎖】
【氷牢】【氷瀑】【氷結陣】【凍てつく大地】
【召喚・スノーマン】
【魔術王】【魔法の心得Ⅹ】【魔法の極意Ⅰ】【高速詠唱】【連続魔】【チェーンコンボ】
【魔力装甲】【MPブースター】
【大物喰らい】【挑発】【氷耐性・小】
【MP強化・大】【MPカット・大】
【MP回復速度強化・大】【魔法威力強化・大】
〈インベントリ〉
ゴブリンキングサーベル×1
紫晶杖×1
アイスキャンディー×96
〈テイムモンスター〉
フリーダ
Lv7 HP200/200 MP500/500
【STR 50】【VIT 50】【AGI 50】
【DEX 80】【INT 80】
スキル
【吹雪】【オーロラベール】
【ホワイトミスト】
そうしてアイスは自分のステータスを確認し終えた後、メイプル達を見てみるとメイプルは巨大な亀に乗って毒の雨を降らせているところだった。この日、メイプルは要塞から浮遊要塞へと進化したのだった。
第二回イベント終了後…郡家
「1週間、もとい2時間お疲れ様〜!」
「本当に2時間しか経ってない…最近のゲームは凄いのね…」
リビングに戻ると娘の雪奈の間伸びした声が聞こえた。
「それはそうと雪奈!なんですかあの格好はお母さん恥ずかしかったんですよ!」
「えぇー⁈可愛いのに!戦乙女の衣装…よく似合ってたよ千景(センケイ)の千景(チヒロ)さん?」
「現実でその名はやめなさい!」
そう、この親娘…第二回イベントの間だけ中身が入れ替わっていたのだ。
そして何を隠そう母親は超一流の元ゲーマーであった。
プレイヤーネームはチヒロ。
数々のゲームを総なめして伝説を残した謎の多い存在。
人々を魅了するプレイングで幾千もの景色を見せつけゲーマーの心を惹きつける事から【千景】という二つ名で呼ばれる様になった。
だがそれが偶然にも本名となってしまいこれ以上はまずいと人知れず引退して今に至る。
「そういえば凪斗に会いましたよ、凪斗…とても楽しそうな顔をしていましたよ」
「そっか……それなら良かった!なんせ私の可愛い弟だからね」
雪奈は一瞬だけ顔を曇らせるがすぐに笑顔に戻った。
「にしても凄い動きしてたねお母さん」
「お母さん、これでも元勇者だったのよ?」
「何度も聞いたよ〜でもそれ夢の中の話でしょ?」
「そうかもしれないけど、なんだかとても他人事とは思えない程の夢だったわ」
「ええ、いつの時代の話〜?」
「確か神世紀だったかしら?」
(そういえば夢にあの子もいたわね今度会った時にでも話してみようかしら?元気だと良いけど…………高嶋さん)
何処か遠くの時空で戦う彼岸の勇者と夢を繋ぐ時間…それは神のみぞ知る天の気まぐれであったのかも知れない。