「初めてのイベントだしちょっと緊張するなぁ」
「前と同じくらい人がいるよ」
「それだけイベントに参加する人が多いんだろうな」
月末の今日、3人はイベントに参加するために必要な準備を整え、イベントが始まるまで談笑していた。
「あ、クロムさん!」
するとメイプルは大盾使いの先輩でもあるクロムを見つけ、呼び止めた。
「お、メイプルじゃないか、それにアイスも一緒か」
「こんにちはクロムさん」
「敬語はなくていいぞ、アイス」
「わかったこれからはクロムって呼ぶよ」
「おう、にしても久しぶりだな、盾新しくなったんだな」
「はい、【悪食】はいざという時に取っておこうって」
クロムを交えて、サリーの軽い紹介をしていると離れたところから歓声が上がり、そちらに視線を向けると赤髪の少女が演説をしていた。
「このイベントで、我ら【炎帝ノ国】の名をたからしめるのだ!約束しよう…私と共にある限り、勝利の二文字あるのみだと!」
アイスは少女の宣説を見ているとどこかで聞いたことのある声だと思った。
それは現実の泣き虫な従姉妹に似ており…面影が少し重なって見えた。
「まさかな…あんな性格じゃなかったし」
「どうしたの?」
「いやなんでもない」
アイスの呟きに疑問を浮かべるメイプル。
それを大したことではないと話を切りあげる。
「っ!あれは…」
「ミィ様、どうかなさいましたか?」
「いや…なんでもない」
ミィは演説後、従姉弟の顔にそっくりなプレイヤーを見かけて一瞬、驚いたような顔をするがすぐにいつもの厳格な顔に戻った。
「ミィ様、そろそろイベントが始まります」
「こちらへどうぞミィ様」
「ああ、今行く」
(今のって………ナギくん?)
胸中に疑問を抱えながらも仲間の元へ戻っていくミィだった。
「ガオー!まもなく第二回イベントを開始するドラ」
するとドラぞうがイベントのルールを説明してくれた。
「説明は以上ドラ!」
「あれ、ただの記念品じゃなかったんだ」
「俺も9位だからメダルは持ってる、お互い取られないように気をつけないとな」
「奪い合いか…めんどうな予感しかしない」
「まあ私たち3人がいればなんとかなるよ頑張ろうメイプル、アイス」
「うん!」
「おおー」
そして広場にいたプレイヤーは全員、イベントステージに転送された。
第二層広場>>>>>イベントステージ
「行けども行けども草原ばかり…」
「広すぎるよぉ」
「マジでだるすぎる…」
イベントステージに転送されてから同じ草原ステージを歩く事1時間が経過しており3人はうんざりしていた。
「モンスターもゴブリンしか出てこないし、ほらあそこにも…ってあれ?消えた⁈」
前方を歩いていたはずのゴブリンが地面に沈んでくように消えていった。
「なんだろ?【ウインドカッター】!」
疑問が晴れず、サリーは地面に向けて魔法を当てる。
すると地面が霧が晴れたように消え、降り階段が現れた。
「隠し階段?洞窟かな…」
「【蜃気楼】みたいなスキルで入り口を隠してたみたい」
「でもこれで草原ばかりの状況から脱出できそうだな」
3人は階段を降り、奥を目指して進んでいく。
途中で大量のゴブリンが出てきたが3人の敵ではなくあっという間にボス部屋まで到着した。
「ボス部屋到着〜!」
「よし開けるよ」
ボス部屋に入ると部屋の奥にゴブリンキングが待ち受けており、サーベルを持ってこちらに襲いかかってきた。
「【カバームーブ】【カバー】!」
「ナイス、メイプル!」
そうしてサリーはゴブリンキングに向けて走り出した。
「【カバームーブ】!【カバームーブ】!【カバームーブ】!」
「ええ⁈なにそれ⁈」
「お、やっぱり便利だな…その技」
メイプルの奇行に驚愕するサリーとスキルの利便性に感嘆するアイス。
「【カバームーブ】!からの〜【悪食】!」
メイプルは攻撃を当てたがゴブリンキングに殴られ吹っ飛ばされる。がしかし…。
「ふっふっふー、ダメージゼロは何倍かけてもゼロ!」
問題なく無事だった。
「私も活躍しないと【超加速】!【ダブルスラッシュ】【ウインドカッター】【パワーアタック】!」
サリーは速度を上げ、敵を翻弄しながら的確にダメージを与えていく。
「じゃあ俺も【凍てつく大地】」
効果時間を10倍にして発動したため、ゴブリンキングを30秒間凍らせ、その場に固定していた。
そうしてゴブリンキングはなす術なく一方的にボコボコにされた。
戦闘が終わり、宝箱を開ける3人。
「やった、メダル2枚だよー!」
「幸先いいな…ん?なんか入ってるぞ…これはゴブリンが使ってたものとそっくりのサーベルだ…えーと?」
武器
【ゴブリンキングサーベル】
【STR+75】【損傷加速】
「STRが75って、見事な脳筋武器ね」
「でも配分どうしよっかメダルは2枚しかないよ」
「ならこのサーベルを俺にくれよ」
「え?いいの?」
「ああ、これが良い…なんかコイツとはこれからも長い付き合いになりそうな気がしてな…感だが」
「わかったじゃあこの剣はアイスが貰って」
サリーからサーベルを受け取り、インベントリにしまう。
「あ、2人とも魔法陣だよ外に出られるかも」
「そうね、アイテムも取ったしもうここに用はないから出ましょっか」
「意義なし」
3人は魔法陣の上に立ち、地上へと帰還する。
「そうだった…まずはこのめんどくさい草原を抜けないと」
「じゃあ次はあの雪山を目指さない?ずっと草原って事もないはず!」
ゲンナリとする3人、するとメイプルが雪山を指差して提案する。
「そうね草原はもう飽きたし、別の風景も見たいかも」
「なら次は雪山登山だな、行こう2人とも」
メイプルの提案にサリーとアイスは了承し雪山を目指す事にした。
草原エリア >>>>>雪山エリア
「ようやく山頂到着〜!」
雪山の山頂に着くと小さな神棚を発見した。
そしてその前には移動用の魔法陣が展開されていた。
「あれは…2人とも!ちょっと……っ!」
それを見つけたサリーは振り返り、メイプルとアイスを呼ぼうとしたが後ろから4人組がこちらに近づいてくるのが見え、サリーは警戒心を高め、
短剣に手を伸ばしてすぐ抜けるように構えた。
「…………」
「あ、待ってくれ!俺たちに戦闘の意思はない」
どうやらクロム達もここを狙ってきていたらしいが一歩遅かったなと少しばかり悔やんでいた。
するとメイプルは何か言いたそうにアイスの方を見てくる。
「メイプルが決めなよ、俺はそれに従うよ?」
「そうねメイプルが決めるなら私もなんでも良いよ」
「ありがと!2人とも!じゃあクロムさん、どうぞ先に行ってください」
そうしてメイプルのお人好しによりクロム達のパーティに順番を譲ることにした。
そして…。
「コロコロコロっと…」
「大きさはこんなもんか?」
「うん!バッチリ!あとは…」
「いや、何やってるのよ2人とも……」
順番を待ってる間、メイプルとアイスは雪だるまを作っていた。
サリーはマイペースな2人に苦笑する。
雪だるま完成と同時にアイスは新たなスキルを取得した。
スキル【召喚・スノーマン】を取得しました。
【召喚・スノーマン】
不動の雪だるまを生成する。
最大10体まで。
壊すと経験値が0.1貰える
取得条件
氷属性のスキル所持の状態で雪だるまを作る。
「完全にネタスキルね」
「でもスゴい偶然だよね雪だるま作ってただけなのに」
「まあこんな方法でもスキルが取れるとわかっただけでも収穫は大きいな…試しに【召喚・スノーマン】」
すると何もないところから雪だるまが出現した。
アイスとメイプルの合作を超える大きさ。
黒い石で顔を作り、頭にバケツ、鼻に人参、両手に木の枝を装備しており、まさに理想の雪だるまだった。
「俺たちが作ったものより立派だな」
「だよねぇ」
「あはは…」
すると神棚前の魔法陣が発光し、再入場できるようになっていた。
「ほえ?これまた入れるんだよね…どういう事?」
「やけに早いな…」
「可能性は2つ、前者はメダルや宝箱を取るだけのボーナスステージ、後者は強力な敵になす術なくやられたか」
「おそらく後者だろう…アイテム取るだけだったら再突入させる意味がない」
「メイプル、念のため【悪食】の準備しておいてくれる?」
「わかった」
そして準備を整えた3人は、魔法陣に乗り、強敵がいるであろう場所に転送された。