「私」の青春   作:せんせい

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再会の出会い

 諸々の事件が収束してから来るなんて、我ながら気にしすぎだとは思うと彼女は自嘲した。

砂漠化が深刻な問題となっているアビドス、その唯一の高等学校の正門前に立っていた。

 

「ん、入学希望?」

「ふぁ!?」

 

 背後から聞き覚えのある(ない)声を掛けられ、思わずビックリしてしまう。

肩まで伸びた銀髪、獣耳、瞳孔の色が白と黒のオッドアイという特徴的な美少女。

 

「……シロ、コ」

「ん??」

 

 見知らぬ彼女から名前を呼ばれ、首をかしげるシロコと面識はない(・・)

アビドスには度々やって来たことはあるが、意識して彼女とは会わない様にしていた。

彼女に限らず、意識して遭遇を回避している生徒は数名いる。

 アリウスの生徒たちや、今は眠っている……もしかしたらもう起きているかもしれないアリス等は分かりやすい(地雷)だろう

 

 だが、砂狼シロコは少し事情が違う。

 

 ――単純に、どういう顔をして会えばいいのかわからなかった。

 

 先生が諦めず、責任を負って別世界に渡り、最期に託した少女。

悲劇に見舞われ世界に絶望し、反転し世界の敵となってしまったあの少女を、つい思い出してしまう。

 

 自分のモノではない記憶に浸食される様な、不可思議な感覚が彼女を襲っていた。

 

「えっと……大丈夫?」

「うん……えっと、転入はしないんだけど、学校を案内してほしいなって」

「学校を?」

「うん、お願い」

「……ん、いいよ」

 

 疑問は多かっただろうに、優しい少女は受け入れてくれた。

はじめまして(・・・・・・)と改めて挨拶を交わし、彼女の通う早朝の学校を二人で歩き回った。

 

(この子は、違う)

 

 こうやって誰かを案内するのが新鮮なのだろう、どことなく楽しそうなシロコを見て、改めて認識を改める。

過去(記憶)と現実を混合してはいけない。それは、彼女たちに失礼だから。

衝動的な偶然の出会い(再会)は、彼女の中で区別をする丁度いい機会となった。

 

 時間が経ち、お礼を言って正門前で別れようとして、

 

「うへぇ~?珍しい組み合わせだね~」

「あ、ホシノ先輩。おはよう」

「おはよう。ちょっと偶然会ったから、学校を案内してもらってたんだ~」

「……知り合い?」

「ん~、日向ぼっこ仲間、的な?」

「もしくは……」

 

 おもむろにゴソゴソと懐を漁り、ハイっとホシノに封筒を握らせた。

 

「こういう仲的な?」

「………先輩」

「違うよ!?もー、要らないっていつも言ってるでしょ~」

 

 ペシっと投げ返される封筒を受け取りつつ、じゃあとシロコへ流れ作業の様に渡した。

 

「じゃぁ案内代ってことで、はい」

「ん、報酬ということならありがたく」

「……はぁ。今回は良いけど、こうやってしれッとお金を渡そうとしてくるから、シロコちゃん気を付けてね~」

 

 なお、受け取らない時は募金箱に突っ込んでいるため、その警戒は無意味だったりする。

 

「にしても、校舎に来るのは初めてだったっけ?」

「うん、色々あったみたいって聴いてちょっと気になって」

「あ~……まぁ、うん。先生のお陰でね、色々丸く収まったよ~」

 

 にへ~と緊張の感じられない笑みを浮かべるホシノと、うんうんと頷くシロコを見て、彼女もようやく心中が落ち着いた。

知っていたのに、何もしなかったをした(・・・・・・・・・・)以上、ある程度の責任を感じていたのだ。

 

「よかった……じゃぁ、そろそろ」

「うへ~、ゆっくりしてていいんだよ~?」

「ん、みんなを紹介する」

「アハハ……実は面識ないのシロコだけだったり」

「!?」

 

 他のメンバーはバイト先だったり買い出し先でばったり出会ったり、そもそものアビドス人口が少ないというのも理由ではある。

勿論、一番の理由はシロコのルーチンであるサイクリング等のルートを避けていたからであるが。

 

「まぁ、これからよろしくね」

「ん、よろしく」

 

 彼女はこうしてまた一人、友人が出来た。

その日から時折、シロコのサイクリングに付き合ったり、お仕置き(賞金首)が必要な子を一緒に捕まえたりと、それなりに色々起こったのだが……またそれは違う話。





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