※作中に不自然な英文が登場しますが、文法や訳の正しさなど、気にせずに流していただければ幸いです。
「みなさん、無事で良かったです」
喜ぶみふゆに、ねむはアンディのドックタグを見せた。
みふゆの鑑定によると、高値で取引されている地下迷宮の不思議アイテムとのことだった。
最寄りの村や町にテレポートできるアイテムで、身につけていると好きなタイミングで一度だけその効果を発揮できる。使用するとタグは消滅する。
命を落としそうなタイミングで使われることがほとんどで、モンスターに今にも殺されそうな時や、迷宮で罠にハマった時など、使い時には事欠かない。
市場では500万チップほどで取引されている。
「なるほど、苦労して手に入れるだけの価値はあったみたいだね」
ねむが手の平のタグを見つめていると、背後から言い争う声が聞こえてきた。
「ちょっとすなお、ちはる様はどこなの?」
「静香こそ、ちはる様をお守りするのが役目ではなかったのですか?」
「まぁまぁ、二人とも」
ねむは静香とすなおの間に入ってなだめた。
ふと、ねむは静香の背中のハンマーに気づいた。
「そのハンマーは、フェリシアの武器かな?」
「うん、牛さんのモンスターを倒して手に入れたの。学校から脱出する時に使ったんだ。すなおさんが背負ってる盾は、さなさんの?」答えたのはういだった。
「ああ、さなをモチーフにした敵を倒したら、大盾だけが残ったんだ」
「キーアイテムなのかな?」
「いえ、恐らく、アリナの作品です。それも売ればいい値段になると思いますよ。それよりも・・・・・・ねむ達も出会ったのでしょうか、灯花のゾンビに・・・・・・」みふゆが言った。
ねむは頷いて肯定した。
「大した脅威では無かったけれど、インパクトの強さだけは認めるよ」
「灯花ちゃんは無事だよね?」
「灯花は大人しくモンスターにされるような冒険者じゃないよ。ういだって分かっているはずだ」
「そうだよね!」
「では、ワタシ達はこれからどう動きましょうか。灯花とちはるさんを探そうにも、どこに居るのか・・・・・・」
「北養区にある施設で、アリナが知っていて、灯花が居そうな場所。そう考えると自ずと居場所は絞れるはずだよ」
「里見メディカルセンターか、ホテルフェントホープですね。ですが、恐らく本来の北養区とこのダンジョンでは地形も建物の配置も大きく異なると思いますよ。現に、聖リリアンナ学園の校門前には道も無く森が広がってますし」
「・・・・・・他にヒントになりそうなものを見たりしていないかな?」
「役に立つか分からないけど、このノート・・・・・・結局使わなかったんだけど」
ういは『フェリシアの学習帳』を取り出してねむに渡した。ねむはパラパラとノートをめくる。やがて、最後のページで手を止めた。
「このメッセージは・・・・・・」
「私達が噴水で見たものと同じですね」すなおが言った。
『Go and tell aunt Yatchan All intruders are girl・・・・・・』
「でも、この注意書きは始めて見るよ」
フェリシアの学習帳には、上記のメッセージに加えて、教師からのコメントが添えられていた。
『残念、スペルミスがあるわね』
「スペルミス?」ねむは首を傾げた。
「まぁ、メッセージについては焦らずじっくり考えましょう」みふゆが言った。
「灯花ちゃんとちはるさんは一緒にいるのかな?」ういが言った。
「えぇ、ワタシ達の状況を鑑みると恐らく・・・・・・」
「不安だわ」静香が言った。
「同感だね」ねむが言った。
北養の森が、風も無いのにざわめいた。