ぐだアースSS 作:ウヤムヤ
ええ、そうです。花の匂いです。
先日お花見をやったから?
……いえ、確かにしましたが、それは先日のことでしょう? なにより、これは桜の匂いではありません。
マスター、何か心当たりは?
……はい。先程、レディ・アヴァロンと廊下で会って少し談笑をしたと……。
…………貴方の交友関係に口を出すつもりはありませんが、彼女とはあまり親睦を深めない方がよろしいかと。
あの手の者に、もし気に入られでもすればロクな未来しか待っていませんよ。
え? それでも仲間だから無碍にはできない?
……貴方という人は、どうしてそう……。
いいえ、怒ってはいません。ただ、呆れ返っているだけです。
忠告や進言は聞き入れるものですよ。
……そうすると私とも関われなくなる?
それは……確かに。魔術の知識を持つ者なら、おおまかにでも私がどういうものはわかりますから、彼等の言葉を鵜呑みにすれば貴方は私を避けていたかもしれませんね……。
…………そういう別け隔てないところは貴方の美点ではあるのでしょう。
とはいえ……。
……わかりました。貴方のスタンスについてもう口を出すことはしません。
ですが、代わりに貴方の交友事情を教えてください。
流石に彼女よりも質の悪いものはそういないとは思いますが、貴方は多くのサーヴァントと関係を持っていますから、私でも把握し切れていないものもいそうですので。
……どうして知りたいのか、ですか?
貴方は危機管理が足りませんから、迂闊な選択をしてバッドエンドに一直線……という可能性も捨てきれません。予めどういったサーヴァントと関わりがあるのか知っていれば対処も出来るというもの。人間だけでなく神霊のサーヴァントもいるのです、彼等の価値観は人間のそれとは違いますから、慎重に徹するのは当然でしょう?
……心配してくれているのか? 当たり前です。貴方は“私の”エスコート役です。
勝手にいなくなるなど言語道断だと知りなさい。
……ですので、もう一度言います。
貴方の交友事情を、包み隠さず、私に申告してください。
「う~ん」
「どうした、新しき姫」
「いやね、この前過去のわたしとカルデアくん、お花見デートしたじゃない?」
「ああ、したな(……ん? デート?)」
「それで少しは進展したと思ったんだけど……」
「どうした?」
「……うん、我がことながらわたしって独占欲強いのかしら……」
「今更か」
「今更よ。思った以上にあの子に固執する姿を見たらそう感じたのよ、悪い」
「いいや、別に悪いとは思わん、事実だからな。我らは姫だぞ、欲しいものを欲しいと思い、手に入れようとするのは道理だ」
「……そこまで開き直れるとある意味尊敬するわ」
「ああ、喜べ、最も理想に近い貴様だぞ」
「皮肉で言ったんですけど……」
「む……」
「でもそうね、アレもわたしならそういうことなのよね。独占欲というか執着というか……悪い方に転ばないといいんだけど」