あの日から一週間の時が流れた...
世界でも同時多発的に彼らは現れ人類を襲った
蜂だけではない、多くの虫たちが人間を蹂躙し始めたのだ
しかし人類も負けてはいない、即座に反撃を開始した
徹底的な武力攻撃
だが異常な生命力、そして繁殖力により人類は追い詰められていった
「おはようございます...本日のニュースです...」
ラジオの音で意識が現実に戻される
まだ人類が生存している事を確認できる唯一の手段
このラジオが止まったら...俺は...
ガチャと目の前の扉が開く
「おはよー」
そこには千絵が立っている
教室での出来事の後、何とか千絵の家に逃げ込むことに成功していた
「おはよう」
外を見れば朝日が昇っている
しかしそこに人の姿は見えない
鳥の声が響き渡る、異質な空気が町を包み込んでいた
簡素な食事を二人で済ませ、一息つく
幸いライフラインはまだ生きているので飲み物などには困っていないが
腹は減る、それはどの生物でも同じであり、それは耐え難い欲求だ
つまり何が言いたいかといえば、もうほとんど食料がない
元々こんな事態が想定できるわけがないので当然の成り行きではある
「食料がないな...」
そう呟いてみるが、当然事態が好転するわけもない
考えれば考えるほど、例えようのない不安が膨らんでいく
「お隣さんに分けてもらうとか?」
千絵がそんなことを呟いた
「いや無理だろ」
この極限状態の中、他人を頼るのは不可能に近いだろう
無視されるだけならいいが、最悪殺されかねない
重く静かな空気がその場を支配する。
すでに何をすべきなのかはお互いにわかっているのだろう
救助の可能性はほぼ0、待っていてもそこに待っているのは死
選択の時だ。
「外に出よう」
俺は決断する。どうせ死ぬのであれば
少しでも生きることができる可能性にかけよう
「うん...わかった」
まるで分っていたように千絵が答える
「動き出すなら夜がいい」
その言葉を皮切りに互いに準備を始める
考えたところで答えは出ない、ただ今を全力で生きるために...
決行の日時は、明日の晩に決まった
互いに案を出し入念にルートの確認を行う
向かう場所は近くにある大型のショッピングモール
一通りの作戦を練った後、眠りについた
コンコンとドアが鳴る。
「ねえ起きてる?」
ドアの外からは千絵の声
その声はあまりにも弱く、かすかに震えていた
俺はベットから起き上がり、ドアを開ける
「少し話すか」
「うん」
お互い黙って向かい合う、
視線を前に向ければ、不安であふれた顔
生きるか死ぬかの瀬戸際、むしろよくここまで弱音を吐かなかったと褒めてやりたいくらいだ
「ねえ...あたし達明日死んじゃうのかな...」
震えながら絞り出した言葉、俺はそっと抱きしめる
「大丈夫、何があっても俺が守るから」
堰を切ったように泣きじゃくる千絵
流れる涙、俺はそっと抱きしめることしか出来なかった
どれだけ時間が流れただろうか?
すうすうと寝息が聞こえる
今まで我慢してきたのだろう、そっと抱き上げベットに寝かせる
空が明るくなり始め、太陽が顔を出す
済んだ空には、奴らが徘徊している
俺はキッチンに向かい料理を始める。
千絵が目覚めたとき少しでも安心できるように
新しい一日が始まった。