やばいって!!誰か助けて!
俺は心の中で叫んだ。だって目の前に主催者であるリーングランデ公爵様がいるんだよ!俺、何かやらかしましたか?
……やらかしているんだよなぁ…多分昨日の件だよねー、怒っているのかな?
「………」
何この無言の威圧感!?父さんとはまた違った怖さを感じるよ!
どうする?そうだ!味方…味方を集めよう!公爵様に挑む勇敢な仲間を!
俺は閃き咄嗟に辺りを見渡した。
アルは…昨日の子とまた喧嘩をしている、ダメだ次!
父さんは…貴族のお嬢様たちに囲まれている!羨ましい。ダメだ次!
母さんは…ああっ!貴族のお嬢様たちを見ながら黒いオーラが溢れている、とても味方になんて出来ない!
終わった…どうやら単身1人で公爵様に挑まなければならないようだ。
「周りを見渡してどうしたんだ?リーフよ」
公爵様が尋ねてきた。
「いえ…父や母の所ではなく僕の所に来てくださったので少しびっくりしてしまいまして」
ここは嘘偽りなく本当のことを言おう!
「何、普段交流会に来ないノルドとその息子が来ると言うんだから挨拶ぐらいは必要だろう」
公爵様はそう言う。そして俺は気づく
「あっ!挨拶が遅れてしまい申し訳ございませんでした!」
「まぁ…いいさ。ところで、昨日の件なんだが」
昨日の件…絶対エールのお話ですよね!?話題を変えなきゃ!
「さすが公爵様ですね!色々な飲み物、食べ物が揃っていてすごく楽しいです!」俺は全力で話を逸らす。
「ふん、公爵家として当たり前のことをしているまでだ。そして、リーフよ、今話を逸らそうとしたな?単刀直入に聞く、昨日のエールはどうだった?」
公爵様が尋ねてきた。
「大変不味かったです!」
と答えたら多分殺されると思うので当たり障りのない感じの感想を言うことにした。
「今までに飲んだことのない不思議な味でした」
「そうか…ではなぜ「俺はこれをエールとは認めない」と言ったのだ?」
ですよね。やっぱり聞いていましたか…
「昨日…生まれて初めてお酒というものを飲み、1番最初はエールにと決めてました。理由としては僕たちが住んでいる村の村人たちが美味しそうに飲んでいるのかエールだったからです」
村人がエールを飲んでいるかなんて知らないけど、いい感じに誤魔化すぞ!そして俺は話を続ける。
「美味しそうに飲んでいるのでてっきり甘い飲み物なのかなとずっと思っていまして、いざ飲んでみるとすごく苦かったので驚いてああいった声が出てしまいました」
どうだ?いい感じに理由を言ったぞ!これで通用しろ。お願いします!
「……そうか。「今は」その理由で良しとしよう」
公爵様は話を続ける。
「お前はまだ15歳だ。それに、エールは庶民から貴族まで幅広く飲まれる酒だ、お前に合うエールもきっと見つかるだろう」
あれ?公爵様って意外にいい人?
「あ…ありがとうございます」俺は礼を言ってお辞儀する。
「ちなみに、昨日お前が飲んだエールはエルン醸造所が作ったエールだ。醸造所は王都にあるから気が向いたら行ってみるといい」
と公爵様は言う。
「ありがとうございます!明日にでも飲みに行こうと思います!」
まさか、醸造所まで教えてくれるなんて怖いなんて思ってしまってごめんなさい!
「お前もお前の弟も何か面白いことをするのではないかと俺も娘も期待している。期待を裏切るなよ?」
公爵様は、そう言って他の貴族の所に歩いて行った。
「い…生き残ったぞ」俺は呟く。
しかし、公爵様は俺とアルに期待しているって言ってたな…アルはともかく俺は何も面白いことなんて出来ないぞ?そんなことを思っていると…
「率直に言おう、アルフリート=スロウレット!俺と決闘しろ」
ん?なんだなんだ?
俺は声のする方に顔を向ける
するとそこには、14.15歳ぐらいの男の子がアルに決闘を申し込んでいた。
おお!理由はよく分からないが、いいぞ!いいぞ!どこの貴族か知らないけどよく言った!頑張れよ。
俺はそう思いながら、果実酒に口をつける。
「決闘ならリーフ兄さんが適任だと思います!」
とアルがこちら側に指を刺して言ってきた。危うく口の中の果実酒を吹き出しそうになる。
「はぁ?アル!お前ふざけんなよ!俺を巻き込むなよ!ちょっと待ってろ」
俺はそう言って果実酒を一気飲みしてアルの所に向かった。
もちろん果実酒の味を吟味している余裕はありませんでした。
主人公は転生してまだ半月ほどなのに順応が早いですね。