「これは…どうするんだ?」
俺は頭を抱える。今日は抱えてばっかだな。
「リーフ兄さんよくあれを避けられたね」
「……!!ってことは俺ごと葬ろうとしたのか!?お前本当に人間か!?」
こいつ!とんでもないことを考えていたのか!避けられて良かった。
「違うよ!リーフ兄さんなら避けられると思ってとった行動なんだよ」
本当かよ…
「や…やっちゃった、どうしよう」
ブラムに魔法を当てた女の子がオドオドしている。まぁブラムも伯爵家のご子息、魔法で気絶させましたってなったら体裁が悪いだろう。
「これは、シェルカ嬢が介抱するべきだろう」
エリック君が口を開く。彼女はシェルカというのか。
「そうだね」
アルフリートが続く。
「何ヘラヘラ笑っているのよ!?」シェルカがアルに怒る。
「真顔なんだけど!?」
「ま、まぁとりあえず今はブラム様をなんとかしよう。シェルカ嬢は馬車かな何かで来たのかな?」
俺はとりあえず仲裁に入る。
「ええ。もうすぐ迎えが来るはずだわ」
そう言ってシェルカは胸を張る。迎えが来るということはやはりそこそこの貴族なのかな?
「彼女はミスフィード家の長女だよ」
アルが俺の心を読んだかのように言ってくる。
ミスフィード…ミスフィード…あ!魔法の指南書に名前が載ってた気がする。
「なるほど…どおりで魔法に長けているわけだ」
「リーフ兄さんも生きているってことはシールドを上手く発動することが出来たんだね」
「シールドを使えなかったら間違いなく黒焦げだったからね。本当に使えて良かったよ」
2人で話をしていると馬車がこちらに向かってきた。
いかにも貴族らしい高級そうな馬車だ。そこから1人の女性が降りてくる。
「この度はシェルカ様、ラーナ様がご迷惑をおかけして申し訳ございません」
ミスフィード家のメイドであろう人が謝罪する。シェルカは分かるけど、ラーナとは誰だろうか。
というか、そんな事よりも向こうが頭を下げているのだからこちらも頭を下げなければいけないだろう!
「スロウレット家長男のリーフ=スロウレットです。この度は弟のアルフリートがご迷惑をおかけしました」
俺はそう言ってアルと一緒に頭を下げる。
「ちょっと!?リーフ兄さん!俺は悪くないよ」
「悪くても悪くなくてもとりあえず謝れ!頼むから」
俺はアルに懇願しなんとか頭を下げさせる。
その後、メイドらしき人にシェルカは叱られ、ブラムもそのメイドが担いで馬車に押し込んだ。
なにやら、馬車から覗き込んでいる女の子がいるな…あの子がラーナという子だろうか?あ、手を振っている。それに対してアルとエリック君が手を振り返えしている。
「あれがラーナ嬢なのかな?」俺がアルに聞く。
「うん。そうだよ、可愛いよね」
アルが可愛いと言うなんて意外だな。
「ちなみにこいつの婚約者ですよ。リーフ殿」
「なに!?俺の知らないうちそんなことが…」
7歳でもう婚約者だと!?いや、でも、この世界なら普通のことなのか?
「リーフ兄さん!こいつの話は気にしないで!婚約の話なんてないから」
アルが否定する。
「そうか…本人が言うからにはそうなのだろう。ロリフリート」
「ロリフリートはやめて!!」
「何2人でふざけあっているのよ?」
アルと戯れていたらシェルカが口を挟んできた。
「そうそう…帰り道気をつけなさいよ。フリード、リーフ様?」
シェルカはそう言って馬車に乗り込み去っていった。
「フリードって誰だ?」
「さぁ…でもリーフ様とも言っていたから俺のことなのかな?」
うーん、分からないな。
などと話していると遠くから声が聞こえた。
「いたわ!あの子達だわ!」
「ああ!あの気だるげな目、まさしくフリード様ですわ!」
遠くからそう言って近づいてくる女の子達。なんだろう嫌な予感がする。
「アル…エリック君…逃げるぞ」
「えっ?リーフ殿なぜ逃げるのですか?おい!アルフリート!服を引っ張るな!」
「うるさい!ここは何も言わずに逃げるんだよ!」
3人でこの場から逃げ出そうとする。
「フリード様がいるということは、シオン様もいるのでは?」
シオンとは誰だろうか。俺は走りながら考える。
すると偶然女の子達が持っている本が目に入った。
アルに似ている目の死んだ子が金髪の男の子に手を差し伸べている。そしてその2人を優しそうな目で見る人…うん?どことなく俺に似ている?
「待って!?フリード様と一緒にいる方ってもしかして…」
『リーフ様!?』
女の子達が一斉に声をあげる。
ああ…なるほど理解した。
フリードがアルで、あの金髪の男の子はシルヴィオか…で真ん中にいる優しそうな目をした男は…俺なんだと。
そして俺は気づいてしまった。
「俺だけ本名じゃねぇか!?」