「あら?あれは何かしら」
ミスフィリト王国第三王女のレイラはそう言った。
子供が空を飛んでいる?いや、シールドで足場を作っているのかしら?でもシールドを足場にしての実験は失敗したと聞きましたけど…
レイラは再び視力強化で飛んでいる彼らを見る。どうやらシールドを展開しているのは真ん中にいる子供らしい。そしてうずくまって震えている子供と、景色を眺めている青年がいた。
「あの2人…どこかでみたことがあるような…」
その瞬間、シールドを展開している男の子が手を振ってきた。
あの場所からここまでかなりの距離があるはず…シールドといい彼はものすごく魔力量が多い子なのかしら?
私も興味本位で手を振りかえす。
「私もあんなふうに空を自由に飛んでみたいな」
レイラは不自由な足を見ながらそう言った。
「お前!?何手を振っているんだよ!?」
「え?向こうが俺たちのこと気づいたからね。そりゃあ手ぐらい振るでしょ?」
「…いいか、よく考えろ。あの城で座って優雅に窓をみていられる人間なんてそう多くはいない。つまりは…」
「王族ってこと!?」
アルが食い気味に言ってきた。
「そういうことだ。ここで俺たちスロウレット家のことがバレてみろ、お前は城に召喚され、お前の求めているスローライフが壊れる可能性だってある」
「リーフ兄さんどうしよう!?」
アルが怯える。そりゃ自分のスローライフが壊れるってなったらそうもなるよ。そして俺も例外ではない。
「…まずはお辞儀をして顔を隠しながら下に降りよう」
「そうだね!今すぐ降りよう!」
そう言ってアルと俺は向こうにいる女の子に向かって深くお辞儀をして一目散に地上に向かって降りた。
「リーフ兄さん…何かあったら助けてくれるよね?」
「一応兄だからね…守ってみせ…」
守ってみせると言おうとした瞬間、今日のことが一気にフラッシュバックした。
そうだ…今日アルは決闘をすっぽかし俺は生贄にされたんだった。守ってやる義理はあるのか?
俺は自問自答する。そして…
「……少し考えさせてくれないか?」
「リーフ兄さん!?」
アルが絶望する。
そうこうしているうちに俺たちは民家の屋根に降り先を見て地上に降りようとする。
「俺が先に行く」
と言うのはエリック君だ。存在を忘れていたよ、ごめんね。
「俺たちも続こう」
俺がそう言ってエリック君に続く。
無事3人とも地上に降り立つ。
「リーフ兄さん、俺たちこれからドラゴンスレイヤーの劇を観に行くんだけど、リーフ兄さんもどう?」
アルが誘ってくれる。
「うーん、遠慮しておくよ。俺はこれからエールを飲まなきゃいけないからね」
考えてみれば今日の目標であるエルン醸造所にまだ行けていないのだ。誰かさんのせいで。
「リーフ兄さん、まだ飲めてなかったの?」
アルのその言葉を聞いて俺の怒りが頂点に達した。
「お・ま・え・の・せ・い・だ・ろ・う・が!」
俺はアイアンクローをアルに放った。
頭を抑えるアルと礼儀正しいエリック君と別れ俺は今日の目的地であるエルン醸造所に向かう。
見覚えのある街並みなので多分俺はメインストリートにいるのだろう。
俺はそう思い歩き出した。
そして数分後エルン醸造所と書かれた看板を見つける。
「はぁ…やっと飲めるよ!」
俺はスキップしながら店に近づく。すると、何やらお店の前が騒がしい。
「なんだ?」俺は首を傾げる。
「あ!あの人ですよ!!先程魔法を使っていたのは」
そう言って俺の方を指差す人がいた。
すると貴族だろうか、上質な服を着た青年が俺の前に現れる。
「妹のシェルカの魔法を防いだというのはお前か?」
「違います。人違いです」
俺は知らない顔をしてエルン醸造所に入ろうとする。しかし、
「そこの店主がお前だと言っている。それにシェルカが言っていた容姿と同じだ」
貴族様はそう言って俺の肩を掴む。
「シェルカの魔法をシールドで防ぎ身体強化を使い見事シェルカから逃げ切ったお前に非常に興味がある。屋敷に来い!」
め…めんどくさい!
「私はこれからエールを飲まなきゃいけないので…また後日伺わせていただきます」
「ダメだ!今すぐ来い!」
くっ!?わがままな貴族様だな!それに肩を強く掴むな!痛いだろ!
「エールなら屋敷にもある。勿論エルン醸造所以外のエールもな!」
貴族様は誇らしげに語る。なので俺は…
「喜んで行かせていただきます」と頭を下げた。
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