「リーフ兄さん!朝だよ」
…誰だ?俺の安眠を邪魔するやつは。
昨日、魔力切れのせいか帰ってきてすぐ寝てしまったのだ。あー、このぬくぬく感久しぶりだー。
「あと5分…」
「この世界は1日に鐘を5回鳴らすだけだから5分なんて時間は存在しないよ」
なんと!どうりで時計とか見かけないわけだ。
「なら…後もう1鐘鳴ったら起きる…」
そう言って俺は再び深い眠りへ…「エール」
「エール!?」
俺は勢いよく起き上がる。
「リーフ兄さん、おはよう!俺より遅いなんて珍しいね!」
「アル…エールはどこだ?」
近くにエールがあるのか?朝から飲めるとは俺はツイている!
「エールなんて無いよ?エールって言えばすぐ起きるのかなぁって思って言ってみた」
こいつは…朝から俺をバカにしやがって、
「我は求める…」
俺は魔力強化をしたアイアンクローをくらわすため詠唱を始める。
「あわわわ!?ご、ごめんなさい!」
アルはそう言って逃げていった。
「とりあえず…失った魔力は戻ってきているようだな。寝たら戻るのかな?」
それにしても…エールを飲ませてくれるって約束だったのに…あいつは。
忘れていた俺も俺だが…馬車に乗る前に思い出せばよかった。
「結局、ギデオンに魔法を見せただけだったな」
なんか損した気分だ。これからはギデオンのことを魔法バカと呼ぶことにしよう。約束を反故にしたのだからな。
そんなことを思っていると、「リーフ兄さん!」とアルがドアを開けてきた。
「そういえば、今朝ミスフィード家から荷物が届いてたよ!もしかしたらエールかもしれないね」
「なんだって!それを早くいえよ」
「そういえば、今朝ミスフィード家から荷物が届いてたよ!もしかしたらエールかもしれないね(早口)」
「早口じゃねぇよ!?」
そんなやり取りをしながら俺たちは1階に向かった。
「あ!おはようございます。リーフ様」
そう言ってくるのはメイドのミーナだ。久しぶりに会った気がしないでもない。
「おはようございます。俺に荷物が届いていると聞いたのですが、どこにありますか?」
「それでしたらロビーに置いてありますよ」
「ありがとうございます」
俺はお礼を言ってロビーに向かう。
「リーフ兄さんはまだミーナやサーラに敬語なんだね」
「まぁ…目上の人に敬語を使うことに慣れていると…ね」
そろそろこの世界にも慣れなくちゃいけないのだが、なかなか難しい。
「それにしても公爵家からの荷物かぁ。リーフ兄さん、本当にエールだといいね」
「俺もエールだと嬉しいのだが、あの魔法バカのことだからきっと「この本を読んで魔法を会得してさらに俺を楽しませろ」とか言って魔導書とか送ってきそう…」
「魔法バカって…」
アルが苦笑する。
そして俺たちは荷物があるロビーに到着する。
「さぁ魔導書でもなんでも受け取ってやらぁ!そんでもって全部売ってその金でエールを飲んでやる!」
「おはよう、リーフ。ミスフィード家からエールが届いたんだけど何か心当たりはあるかい?」
俺は父さんの言葉を聞きながら送られてきた荷物を見る。
そこには王都中にある醸造所の作るエールが置いてあった。
「…ギデオン様ぁ♡リーフは信じていました!!」
とんでもない豹変振りを見た、ノルドとアルであった。