転生して田舎でエールが飲みたい   作:高校ジャージ10年目

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遅くなりました、44話目です。よろしくお願いします。


さぁ、村に帰りましょう!

「リーフ兄さん。いい買い物だったね!」

 

アルは火の魔道具を買ってもらえて相当喜んでいるようだ。

 

「そうだな!この魔道具で唐揚げを作ってそれをエールで流し込む…くううう!!」

 

俺はそう言ってガッツポーズをする。俺の異世界生活が唐揚げ一つでこれほどまでに豊かになるとは!早く、食べたい!

 

「そして、エールという言葉を言ってしまったせいで思い出してしまいました」

 

俺はため息をつき空を見上げる。

 

「ルンバだってあの量は飲めないよ。きっと残ってるから元気出して」

 

アルが慰めてくれる、優しいなぁ。

 

「そうだね。過度な期待をしないで宿に戻ろうか」

 

そう言って俺たちは宿に向けて馬車を走らせる。

 

 

 

 

 

「おお!リーフにアルか!すまんな。エールは全部飲んじまったぜ」

 

「うおおおお!!我は求める!魔力よ屈強な盾となり我を守護せよ!」

 

ルンバの予想していた言葉を聞いた瞬間俺は魔法を唱えて走り出していた。

 

予想はしていた…予想はしていたけども!やっぱり許せない。

 

「おお!さすがエルナの子供だな。すごい魔力だ、悪かったな。今度コリアット村で好きなだけ飲ませてやるから」

 

「マジですか!?」

 

エールを飲ませてくれる。その言葉を聞いて冷静さを取り戻す。

 

「今度は約束守ってくださいよ?」

 

「ああ!もちろんだ」

 

ルンバは笑顔で言った。

 

「はいはい、くだらないことしてないでさっさと荷物を運んでちょうだい」

 

母さんが呆れながら言ってくる。

 

「リーフ様こちらの空の樽はどうされますか?」

 

そう聞いてくるのはメイドのサーラさんだ。

 

「あー…少し待ってもらっていいですか?」

 

俺はそう言って空っぽになった樽の中を覗き込む。

 

「良かった…まだ残ってる」

 

「サーラさん。樽は俺が処理しますので大丈夫ですよ」

 

「そうですか?何かあったら言ってくださいね」

 

そう言ってサーラさんは母さんが購入した荷物のほうへと行く。

 

「リーフ兄さん、空の樽をどうするつもり?」

 

「アル。底を見てみて。泡があるだろ?」

 

俺は樽の底を指差す。

 

「ルンバが全部飲んだって言っていたけど底にはまだエールが残っているんだよ」

 

「それでも量は少なくない?」

 

「ああ。だからこの泡…いや、酵母と呼ぼうか。この酵母を再利用しようと思う。村に帰ってからのエール作りのね」

 

エールを作るにあたって酵母は重要だからね。手に入れられて良かったよ。

 

「はい!というわけで、アル。空間魔法でこの樽を保存して」

 

「へ?何言ってるの?」

 

アルは首を傾げる。

 

「お前、母さんが土産物を選んでいる最中、自分のお金で買った物こっそり空間魔法の中にしまっていただろ?」

 

そう、俺は見ていた。母さんが見ていない間こっそりとブラックホールみたいな穴に自分の土産物を投げ入れていた所を。

 

「リーフ兄さん、お願い!誰にも言わないで!!」

 

あれ?なんでそんなに狼狽えてるの?もしかして、家族やメイドには内緒だった?

 

「大丈夫だよ。別に誰にも言わないから。その代わり…ね」

 

俺はウインクをする。我ながら酷い兄だ。

 

「分かったよぉ」

 

アルはそう言って空間魔法を唱える。すると黒い空間が現れた。

 

まじでどんな理屈だよ。

 

「この空間は時間が止まっているから食べ物ならいつでも新鮮なままだよ」

 

「転移といい空間魔法といい…羨ましい」

 

謎の空間に樽が収納されていくのをみながら俺は呟く。そして納得した。

 

「確かに母さんにこの魔法がバレたら、アルは今後一生母さんの小間使いになりそうだな。そりゃ隠すわけだ」

 

「リーフ兄さん…嫌なこと言わないでよ」

 

今後も使わせてもらいたいな…と思うリーフであった。

 

 

 

 

〜次の日〜

 

 

今日はいよいよ村に帰る日だ。俺は今馬車に揺られている。  

 

遠ざかる王都を見ながら王都での出来事を回想する。

 

「色々なことがあったなぁ…」

 

「次来るのは10年後ぐらいがいいな」 

 

「何言ってるのよ。これからはノルドの代わりにあなたが王都に行くのよ?」

 

「……はい?」

 

なんて?よく聞こえなかった。

 

「そうだね。長男としてこれからは僕の代わりに色々やってもらわないとね」

 

母さんに続いて父さんまで…

 

「…母さん。魔法勝負をしませんか?勝ったら今の話は無かったことに」

 

今思うとなんで俺はドラゴンスレイヤーのパーティにいた母さんに勝負を挑んだのだろう。

 

「リーフから勝負なんて珍しいわね。いいわよ」

 

馬車を降り俺と母さんは距離を置く。

 

「いつでもいいわよ」

 

何か策があるのだろうか、余裕そうな母さん。それでも負けるわけにはいかない。

 

魔法には詠唱が必要だ。だから高速詠唱で母さんより先に魔法を出せれば…勝機はある!

 

「我は求める!真紅で鋭利な…え?あれ?母さんなんで詠唱なしで魔法が?」

 

「詠唱ってめんどくさいわよね」

 

母さんはそう言って水魔法を俺に向けて放った。

 

「む…無詠唱だと…」

 

ずぶ濡れになり仰向けに倒れる俺。

 

「エルナ母さんって俺と同じぐらいめんどくさがりだから、俺が教えたらあっという間にいくつかの魔法は無詠唱で使えるようになっていたよ」

 

いつから居たのかアルが耳元で囁く。

 

「お前が元凶か」

 

「さぁ!スロウレット家長男としてこれから気合いを入れていきなさい!」

 

仁王立ちする母さんを見て俺は…

 

「分かりました」

 

そう答えるしかなかった。

 

転生して最高のエールを作る…そう、俺の物語はまだ始まったばかりだ。

 

てか、作る時間なんてあるのかなぁ?

 

 

 




王都編終了です。次回からエール製造編に続いて、カグラに行く予定です。

拙い文章ですが、これからもよろしくお願いします。
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