リーフ=スロウレットは労働力が欲しい
「人手が足りない!!」
リーフ=スロウレットは苦悩していた。
村に帰っていてエールを作るぞ!と息巻いても肝心の材料がなければ始まらない。そして人がいなければ作るのにも時間がかかってしまう。
本来なら時間をかけてゆっくり作るのがお酒というものだが、俺は今すぐにでも自分で作ったエールが飲みたい。じゃあどうするか…
「人手が足りない!!」
結局ここに行き着くわけである。
「リーフ。いきなり声を上げてどうしたんだい?」
「父さん…エールが作りたいです…」
「あはは、作る前に早く僕が渡した仕事終わらせてね」
「もう終わらせました!あとここ間違ってます!」
バンっと書類を父さんの机に置く。
俺の仕事は他の貴族に向けてリバーシや将棋のルールを紙に書くことだ。前世で遊んでいたのだからそう難しくない。
「えっ!?もう終わったの?すごいね」
「褒めてくださりありがとうございます!なのでこの時間をエール作りに割いてもよろしいでしょうか?」
鬼気迫る俺の言葉に、「い、いいよ」と父さんは言った。
さて、これからどうするか。
エールに必要なものは…水、麦、あとはホップ…ホップなんてこの世界にあるのか?なければ代用品を…香草か…あとで植物図鑑を借りよう。
あとは、材料を投入する鍋だな。まずは20リットルぐらいので作りたいから後で厨房から借りようか?…そうだ!俺は土魔法が使えるからそれで作って、フリスビーの時みたく魔力でコーティングすればいけるかも。
「リーフ兄さん?何ぶつぶつ言いながら歩いているの?」
「ん?アルか。あれ?俺いつの間に廊下に出てたんだ?」
エールについて考えていたらいつの間にか廊下に出ていたようだ。
「どうせ、エール作りに材料も人手も足りないからどうしようって考えていたんでしょ?」
「!?なんで分かったんだ?まさか心を読める魔法まで覚えたのか!」
「違うよ!リーフ兄さんが独り言言う時は大体エールのことだからね。それぐらいお見通しだよ」
そうだったのか…独り言を言うぐらいまで俺は考えていたのか…
「材料もそうなんだけど、人手が足りないんだ」
「バルトロには声かけた?」
バルトロとはこの屋敷の料理人だ。
「ああ、手伝ってくれるって。でも向こうも仕事があるからあまり頼りにしちゃいけないからなぁ」
「それなら俺が手伝うよ!」
「アル、何か手伝ってくれるのは嬉しいけど…何か企んでいるな?」
「な…何も企んでいないよ!?ちなみにエールを作るってなったらどの時間帯で作るの?」
「そうだなぁ、父さんの手伝いもしつつだから…朝から夕方全部使うかもしれないね。だから剣の稽古とかは行けないかも」
剣の稽古よりエール作りの方が大事だ。だってエールの方が飲めるし、売れる。
「そうなんだね!それならますますリーフ兄さんのエール作りに手伝いたくなったなぁ!」
やっぱり何か企んでるな。
「アル?本音は?」
「稽古に行きたくないからです」
急に真顔になるな。この家の剣の稽古はどれだけ厳しいんだ?
「ま…まぁ手伝ってくれるのなら、稽古を休ませてくれるように父さんに取り合ってみるよ」
「本当に?ありがとう!」
「と言っても、まだ2人だからなぁ。どうせならシルヴィオ、エリノラにも声をかけるか」
「シルヴィオ兄さんも一緒にやろうよ」
ん?シルヴィオはここにはいないだろ?急にどうしたんだ?
「兄さん。僕でよかったら手伝わせてよ」
「!!シルヴィオ?お前いつからそこに?」
「執務室からずっといたよ…というより一緒に父さんの手伝いをしていたよね」
そういえば一緒に父さんの手伝いをしていた気がする。
「ご…ごめんよ。ということはいままでの話全部聞いてくれたってことだな!よし!これで2人。あとはエリノラだけだ!行くぞ!兄弟たち!」
そう言って俺は先頭に立ちエリノラの部屋を目指す。そして…
「さぁ!エリノラ!一緒に…
「絶対嫌!!」
そこには剣を磨きながら拒絶するエリノラがいた。
俺まだ何も言っていないんだけどな。
新章突入です。