転生して田舎でエールが飲みたい   作:高校ジャージ10年目

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47話目です。


エールを造ろう!

エリノラとの大激闘から1日が経った。

 

「うーん…いい天気だ!」

 

俺は自分の部屋の窓を開け呟いた。

 

さぁいよいよエール造りが始まるぞ…この日をどれだけ待ったことか!長かった…本当に長かった…やっと行動に移せる。

 

俺は体から溢れ出す高揚感を抑えずにはいられなかった。

 

「よし…始めるか!」

 

 

 

〜スロウレット家厨房近く〜

 

「弟たちよ!集合!」

 

俺はそう言って手を叩く。すると素早く俺の近くに集まる弟たち。

 

…ん?素早く?

 

「リーフ兄さんどうしたの?」

 

「シルヴィオはともかく、アルがこんな素早く動くなんて意外だった」

 

「あはは…稽古が休みだからかな?」

 

「約束したからね。手伝いをしないと中庭で自主稽古をしているエリノラ姉さんの餌食にされちゃうよ」

 

「餌食って…」

 

俺は父さんからエールを造る間稽古を休ませて欲しいと懇願し父さんはそれを受け入れてくれた。

 

そしてアルは大の稽古嫌いとのこと、つまりWin-Winの関係だということだ。

 

「兄さんはどうしてエールを造ろうと思ったの?」

 

「いい質問だ」俺はシルヴィオの質問に答える。

 

「俺が飲みたいからだ!!」

 

『………』

 

あれ?反応が薄い?手を広げ嘘偽りのない気持ちを声に乗せたつもりだったんだけど…

 

「…ゴホン。それとスロウレット家の新たな収入源になる可能性があるからだ」

 

「収入源?」

 

シルヴィオは首を傾げる。

 

「ああ。今スロウレット家は、アルが開発してくれたスパゲッティ、リバーシ、将棋などで相当儲かっている」

 

父さんの手伝いを始めてから財政関係の書類をみる機会がありそこで知った。

 

「そんなに儲かっているの?」

 

「父さんはあまり話したがらないけど結構すごいよ」

 

ドラゴンスレイヤーことノルド父さんは意外にも庶民の出だという。どうやらドラゴンを倒した功績で男爵の位を貰ったとのこと。お金についてあまり話さないのは、子供たちにお金の話はまだ早いといったところか?それとも子供のうちから贅沢を覚えさせないためか?俺にもまだ分からない。

 

「なら別に造らなくてもいいんじゃない?」

 

「正直…アルがこのままこの家に居続けて料理や娯楽を開発すればこの家は安泰だと思う…」

 

俺は話を続ける。

 

「でも…アルにばかり頼るのも長男としてどうなんだ?そう感じるようになった…そこで!兄妹で何か作って収入源を得られればスロウレット家はさらに盤石なものになるのでは!?と考えたわけだ!」

 

「すごい!!さすが兄さんだね!」

 

どうやらシルヴィオの中で俺の株が上がったようだな。

 

「そこでまずは王都で飲んだエールが不味かったのでここで造ったエールを流通させ大金を得てさらに違うエールを造る!…シルヴィオがエールを飲める頃にはスロウレット家は更なる成長を遂げているだろう」

 

「兄さん!」

 

お?これは尊敬の眼差しかな?

 

そして俺は再び両手を広げて声をあげる。

 

「さぁ!エールを造ろうか!」

 

 

 

 

 

「楽しそうだね。リーフ兄さん」

 

シルヴィオに聞こえないようにアルは俺に声をかけてくる。

 

「異世界に転生っていったら勇者になって魔王を倒したりするイメージが強かったけど、この世界は争いごともないし平和だから自分の生活をよりよくするために色々なことが出来る…それってさすごく素晴らしいことだよね」

 

そして俺は自分の手を見て言う。

 

「そしてこの世界には、魔法という前世では使いたくても使えなかったものが存在する。水、火、土…どれも生きていくうえで必要になるものだ。それを俺は今持っている。だったら!これを使わなきゃ勿体ないよね。自分のスローライフのためにさ!」

 

「…リーフ兄さんがリーフ兄さんで良かったよ」

 

その言葉の真意は分からないが、多分いい意味なのだろう。

 

「俺も、アルがアルでよかったよ。これからもよろしくね」

 

スロウレット家に転生できてよかった。いい家族に巡り会えてよかった。話のわかる転生者がそばにいてよかった。リーフ君のためにもリーフ=スロウレットとして楽しく有意義な人生を歩んでいこう。

 

俺は再び決意する。

 

 

 

 

「じゃ!長男としてリーフ兄さんにはこれからも俺のスローライフのために生贄になってもらわないとね!よろしく!」

 

「…俺の数少ない(予定)感動シーンなのに、お前ってやつは」

 

俺はため息をつき歩きだす。それでも…

 

俺はこの体の底から湧き上がる高揚感を生涯忘れることはないだろう。

 

そして手を空に上げ再び声に出す。

 

「さぁ!エールを造ろうか!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 




最終回ではありません。まだまだ続きます。

これからもよろしくお願いします。
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