転生して田舎でエールが飲みたい   作:高校ジャージ10年目

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54話目です。よろしくお願いします。


本当にエールを造った

 

 

まさか、エールを造るにあたって1番欲しかったホップがこんな近くにあるなんてな…

 

これで条件が揃った!今こそこの世界に来た最大の目的である本物のエールを造る時だ!

 

 

 

 

 

「…というわけで造りました」

 

『おお!』

 

まさか、数日で出来てしまうとは思わなかった。まぁ、香草の代わりにホップを入れただけだからそりゃそうか。

 

ちなみに今いるメンバーは、バルトロさんとルンバさんだ。アルは中庭で剣の稽古をしている。

 

「さっそく飲ませてくれよ」

 

「分かりました!!」

 

俺はさっそくタンクからシャンパングラスにエールを注ぐ。前回造ったエールよりも遥かに透明度は増している。

 

そしてなにより、ホップを投入することで泡がまろやかでクリーミーになっていることだ。

 

これにはホップの苦味成分がタンパク質と複合してなど色々あるらしいが今は置いておこう。

 

「おお、雲のような泡だな!」

 

「まるでエールの炭酸をこの泡で抑えているようにもみえるな」

 

さすがバルトロさん。鋭い。

 

「バルトロさんの言う通り、泡で炭酸が抜けるのを防いでいます。そしてこの泡こそ今回大活躍したホップのおかげでもあるのです。そもそもホップとは…」

 

「そんなことより早く飲もうぜ?それこそ炭酸が抜けちまうぞ?」

 

む、一理ある。まさかルンバさんにそんなことを言われるなんて…まぁ詳しい解説は飲んでからでも遅くは無いかな。

 

新作エールが2人に行き渡りいざ試飲の時!もちろん乾杯の音頭は俺。

 

「では!乾杯」

 

『乾杯』

 

チーンと3人のグラスが音を奏でる。

 

王都のエール、前回のエール、そして今回のエール、

材料は揃っているはずだ。前世の味を完璧に再現は出来なくともせめて似たような味になっていて欲しい!

 

俺はそう願いながらエールを流し込んだ。

 

 

…無言の時間が続く。そして最初に言葉を発したのはルンバさんだった。

 

「かぁぁ〜そうだよ!この苦味!この苦味が欲しかったんだ!リーフよ、良くやったな!」

 

ルンバさんはそう言うと俺の頭を撫で始める。

 

「これは、想像を超えるくらい美味いな…ホップとか言ったか、あれを入れるだけでここまで変わるとはな…これはこれに合う料理を考える必要がありそうだ」

 

バルトロさんもどうやら褒めてくれているようだ。

 

「それで、お前はどうなんだ?リーフ」

 

「……」

 

「お?まさか美味しくなかったって感じか?」

 

ルンバさんに聞かれたので俺は素直に答える。

 

「まだまだですね。確かに俺が飲みたかったエールに近づいたとは思いますが、麦の主張もホップの香りもまだまだです」

 

「お…おおそうか。でも本当は嬉しいんだろ?」

 

「え?嬉しい?」

 

ルンバの質問に疑問を浮かべる。確かにエールが造れて嬉しいがそれは顔には出ていないはず。

 

「そんな顔しながら、まだまだですねって説得力ないぞ」

 

「ああ、バルトロの言う通りだ。だってお前…」

 

『泣いているじゃねえか』

 

2人の言葉を聞いて俺は頬を触る、確かにそれは流れていた。

 

まったく、この「美味しいものを食べたり飲んだりしたら涙が出る」この身体は使い勝手が悪いなぁ。これじゃ、ポーカーフェイスが使えないじゃないか。

 

「…これは欠伸です。なんだって最近は徹夜続きで「なわけあるか」ですよね」

 

一瞬で嘘を見破られてしまった。

 

「ああ!もう、確かに美味しかったですよ。でもまだまだ美味しくなる余地が多分にあるんです。だからこんな所で満足する予定ではないんですよ!」

 

そうだ。俺はまだまだエールを造る、最高の1番美味いエールを造って酒浸りのスローライフを送るん「そういえば…」

 

俺の独白にルンバさんの横槍が入る。

 

「そういえば、あのタンクもエールなのか?」

 

そう言って指をさす先には部屋の隅にひっそりと置いてあるタンクだ。

 

そのタンクの周りは氷で囲ってある。ルンバさんはそれに気づいてしまった。

 

…今あれを飲まれるのはまずい。ここはなんとか誤魔化すしか、

 

「あれは別に新作のエールとかそんなんじゃないですよ」

 

「新作のエールなんだな」

 

いや、もう…逆に聞きたいわ、この場面でどうやって誤魔化すのさ。

 

「あんなの「キンキンに冷やしてますよ!」って言っているようなもんじゃねえか。頂くぜ」

 

そう言ってルンバさんは氷を退かしタンクに近づく。

 

「あ、ああ!もう。後でいくらでも飲んでいいので!これは1番に飲んで欲しい人がいるんです!」

 

「なんだと!?」

 

ルンバの手が止まる。

 

「女か?」

 

「そんなんじゃないです」

 

俺の即答にニヤニヤするルンバさん。本当だからマジで。

 

「じゃあ誰なんだ」

 

「中庭にいる父さんですよ」

 

「だからこれから中庭に行くんでそこで飲みましょう。我は求める…」

 

俺はそう言ってサイキックを唱えタンクを中庭に運び出した。

 

このエール、いや「ラガー」を飲むのは今の父さんにぴったりなんだ。




あけましておめでとうございます。


今回のエールのモデルは、ヤッホーブルーイングさんのよなよなエール
サントリーさんのプレミアムモルツ香るエールです。

スーパー、コンビニに売ってますのでよければ飲んでみてください。
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