転生して田舎でエールが飲みたい   作:高校ジャージ10年目

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61話目です。よろしくお願いします!


カグラへ!

「もう…朝じゃねえか」

 

ふらふらになりながらふと窓を見ると太陽が顔を出していた。

 

「出発前に徹夜って、俺はこの旅でやっていけるのだろうか」

 

本来なら出発に向けて体力を温存する為に睡眠を取るべきなのだが、エールの仕込みや麦ジュースの仕込みやらで徹夜をしてしまったのだ。

 

「とりあえず仕込みは終わったから、10分…いや5分だけ仮眠を取ろう。移動中に倒れるなんてしたら周りに迷惑だからな」

 

俺はそう決心し、あらかじめ敷いてあった布団にダイブする。

 

ふぁぁ…このまま意識を飛ばして「リーフ兄さん朝だよ!」

 

「…」

 

よく聞き慣れた声が聞こえた気がしたが…まぁ気のせいだろう。俺はこのまま夢の世界に…「冷た!?」

 

突如首筋に冷たい物が当たった。それのせいで一気に現実世界に引き戻された。

 

「な、なんだ?これは、氷?」

 

こんなことに貴重な氷を使うなよ。使うならエールに使えエールに。

 

「おはよう。良い天気だね!」

 

そこにはいい笑顔でこちらを見てくるアルがいた。

 

「普段は昼近くまで寝ている癖に今日は元気だね。アル」

 

「なんだって今日は念願のカグラだからね!それに剣の稽古も無いし!」

 

左様ですか。

 

「俺はちょうど今仕事が終わったんだ。少しだけ寝かせて欲しいな」

 

「もう荷物運び込まれているけど大丈夫なの?」

 

な、なんだと?

 

俺は急いで外に出る。するとそこには商会の方々が馬車に荷物を運んでいる途中だった。

 

「やばい!アル、サイキックでここにあるタンク全部運ぶぞ!」

 

「リーフ兄さんってエール関係になると周りが見えなくなるよねー」

 

アルはそんな事を言いながらひょいと数個のタンクを持ち上げる。

 

「まさか出発がこんな朝早いとは思わないじゃないか!?ちくしょう!詠唱破棄羨ましい。我は求める…」

 

俺もサイキックを使いなんとか馬車にタンクを運びこむことができた。

 

タンクの他にも生活用品などが次々に馬車に運ばれて行く。

 

「リーフ、土産期待しているぞ!」

 

後ろから声をかけられたので振り向くと、バルトロさんがいた。わざわざ見送りに来てくれたようだ。

 

バルトロさんにはこの旅の最中、麦ジュースとエールの管理をやってくれるとのことだ。本当にありがとうございます。だから、

 

「任せてくださいよ。お酒は絶対持って帰って来ます!それとあと…」

 

俺はバルトロさんに近づき小声で話す。

 

「もし、限界だと感じたら醸造所にある机の1番上の引き出しを開けてください。そしてそこにあるブツを麦ジュースに…」

 

「…分かった」

 

バルトロさんは神妙な顔で頷く。

 

「あの人は一度痛い目を見ないといけないんで「また何か企んでいるのかしら?」

 

やはり、現れましたか。母さん。

 

「リーフ、麦ジュースに何か入れてみなさい?分かってるわね?」

 

母さんはそう言って何かを潰すジェスチャーをした。

 

マジで俺の何を潰そうとしているの?

 

 

 

「今回の旅は期間が長いから周りの人の言うことを聞くんだよ」

 

見送りに来た父さんのありがたい言葉に俺はしっかり頷く。

 

「あとお金は使いすぎないように!」

 

確かにお金は大事だからな、エールが売れたお金で色々買ってみたい気持ちもあるが、売れなかった時のためにも衝動買いをしないで買い物は計画的にしていこう。

 

「わかりました」  

 

「わかった」

 

2人で返事をする。

 

「なんだが怪しいわね」

 

母さんが疑いの目を俺たちに向ける。そんなに信用ないですか?

 

「カグラにある食材を使ったら、美味しい料理やお菓子が作れる気がする」

 

アルはまたそんなことを言って…そんな安請け合いしていいのか?

 

「白金貨1枚までならトリエラ商会から借りて使っていいわ。それ以上買うならリーフの売り上げから使いなさい」

 

「はぁ!?」

 

今なんて言った?売り上げから使いなさいって言った?

 

「わかった!」

 

「わかるな!!」

 

何納得しているんだ!?この弟は!?

 

「嫌なら白金貨1枚に収めなさい。いいわね」

 

確かに、白金貨1枚に収められれば俺に被害はない。ということは…

 

ここでアルと約束をすれば!

 

「白金貨1枚までで収めようね。アルフリート君」

 

俺はとびっきりの笑顔でアルに向かって語りかける。

 

「にこっ」

 

あ、ダメなやつだこれ。

 

「にこっ」

 

「わかったからにこって喋るな」

 

こうなれば、

 

「ドラゴンスレイヤーの名前を前面に押し出して高値で売りつけるしかないか」

 

「あれ!?昨日リーフ個人で頑張りたいって言ってたよね!?」

 

はて?そんなこと言ったかなぁ?

 

それにしても…俺これからやっていけるかな。

 

俺が今後についてどうするか唸っていると…

 

「こちらの人達が冒険者『銀の風』っすよ!」

 

トリーさんの声で我に帰る、もう出発の時間か。

 

そうだ、同行者の銀の風の方々に挨拶をしなくちゃ…

 

「リーダーのモルトです!今回はよろしくお願いします」

 

モルト?モルト…だと?

 

「ちょ!?アル聞いた?モルトだって!!麦芽だよ!麦芽!やべえ、俺この人と仲良く出来そう!」

 

「痛い!リーフ兄さん、分かったから叩くのやめて!」

 

不安だらけな旅になると思っていたがこれはこれで少し楽しくなりそうかもと感じるリーフだった。




キャラの名前を覚えるのは苦手でしたが、モルトさんはすぐ覚えられました笑
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