転生して田舎でエールが飲みたい   作:高校ジャージ10年目

62 / 73
62話目です。よろしくお願いします


カグラ 道中①

 

「行って来ます!」

 

俺は見送りに来てくれた家族にそう言い馬車に乗り込んだ。そして、

 

「エールに直射日光は毒!暗幕の準備!」

 

「ラガーの周りには氷を準備!」

 

「そして、家から持って来た枕を敷いて…」

 

出来た!エール保存場所兼睡眠場所!

 

こんな真っ暗闇の中で寝られるなんて最高!というわけで、

 

「おやすみなさい!」

 

俺はそう言って枕にダイブする。が、何故か睡魔が襲ってこない。

 

身体が緊張している?なぜだ?

 

そうか!いつも物事が上手く行く時に限ってあいつが現れる、つまりこの緊張も…そろそろやつが現れる前兆ということか。

 

俺は身体を起こしあいつが来る瞬間を待つことにした。

 

いつもやられているからな、今日はアイアンクローの一発でも食らわせてやる。

 

「…」

 

今か、今かと俺は機を伺う。

 

「…」

 

臨戦態勢に入って数分はたっただろうか、あいつはまだ姿を見せない。

 

どこだ?どこから来る?転移で背後からか?いや、俺以外にも人はいるから転移は使えないはず、なら正面からか?

 

脳をフルに使いあらゆるパターンを想像した。そして、

 

 

「あれ?リーフ兄さん寝るんじゃなかったの?」

 

俺はアルたちがいる馬車に行くことにした。

 

「寝付けなくてね」

 

勝手に疑心暗鬼に陥っていたためアルのせいとは言えなかった。

 

「ところで何をやっていたの?」

 

アルの周りをモルトさんとアーバインさんが囲んでいるため気になった。

 

「リーフ様!聞いてくださいよ!アルフリート様のポケットから卵が出たり消えたりするんですよ!」

 

目をクワッと開けて俺に言ってくるのはモルトさんだ。

 

「さっきは石ころを出したと思ったら次は卵…一体どうなっているんだ?」

 

ぶつぶつと何かを呟いているのはアーバインさんだ。

 

「アルフリートはこういったマジックが得意なんですよ」

 

俺はそう言い終わると同時に右ポケットに違和感を感じた。

 

ポケットに手を入れると丸い球体…おそらく卵だろうか。

 

「証拠に今、アルフリートが持っていた卵がこちらに移動してきました」

 

そう言って俺は右ポケットから卵を取り出す。

 

『何だと!?』

 

2人して驚く。

 

本当に便利ですな、空間魔法というものは、これだけで将来安泰だろ。

 

「頼む!もう一回だけ見せてくれ!次で見極めるから」

 

すごいな、2人して興奮している。タネが魔法って知ったらどう思うんだろうな。

 

「あと一回だけだよ」

 

アルはそう言ってポケットから…

 

「はい、ここに麦芽があります」

 

麦芽…を取り出した。

 

「麦芽って何だ?」

 

2人して困惑する中、そのやりとりを見ていた約1名、というか俺は声を上げた。

 

「おお、お前!?何勝手に麦芽盗んでいるんだよ!!」

 

「盗んでないよ、頂いたんだよ」

 

「それを盗むって言うんだ!」

 

「麦芽ってそのまま食べても甘くて美味しいよねクッキーみたいで」

 

そう言ってアルはボリボリ麦芽を食べ始めた。

 

「それな!今度すり潰してクッキーでも作ろうかなと考えているところ…じゃなくて、材料を食うな!麦汁よりタチ悪いぞ!」

 

材料を食われたらエールどころじゃないぞ。

 

「アル、持っている麦芽全部よこせ!」

 

俺は、アルに向かって飛びつく。

 

が、

 

ちっこいからなのだろうか簡単に避けられてしまい…

 

「じゃ、俺は馬車の先頭に行ってるね〜」と言って逃げられた。

 

あいつ…覚えてろよ。

 

「それにしてもリーフ様って王都での噂と全然違いますよね?」

 

そう聞いてくるのはモルトさんだ。

 

「確か、「沈黙の騎士様」ってあだ名がつけられるぐらいには無口だって聞いたことがありますけど…」

 

また、懐かしい名前を言ってくるなぁ。身体が一瞬震えたぞ。

 

「そうか?俺が聞いたあだ名は「おしゃべり騎士様」だったからそんなに驚かないぞ。むしろ噂通りと言うか、最初にこのあだ名をつけた奴はかなりのファンだと思うぞ」

 

…アーバインさん、そのあだ名つけた奴は今馬車の先頭でボリボリ麦芽食ってますよ。

 

なんて話をしていると、

 

「おい!リーフ。エールを飲ませてくれ!」

 

大きな声で馬車に来たのは、ルンバさんだった。

 

「え〜良いですけど、商品なんでお金取りますよ?」

 

「なんだと!?俺とお前の仲じゃないか!?ホップとかいうやつも俺のおかげだろ?」

 

確かに!!確かにそうなんだけど!ルンバさんにエール飲み放題なんてことをしてしまえば…

 

カグラに着く頃には何も残っていない気がする。

 

「親しき中にも礼儀ありです。安くしますんで、どうかよろしくお願いします」

 

「そうか、分かった。なら、いくらだ?金ならあるぞ?モルトとアーバインも今日は奢ってやる」

 

ルンバさんは懐から金貨1枚を出し見せびらかす。

 

「ルンバさん!ありがとうございます!」

 

2人して喜んでいるが、仕事はいいのだろうか。

 

そういえば、エールの値段か…考えていなかったな。どれくらいが適正なのだろうか。

 

「うーん。とりあえずエール1杯…」

 

俺は指を立てて、

 

「き…金貨1枚とか?」

 

『高すぎるわ!!』

 

総ツッコミであった。

 

どうやらこの世界の貨幣価値から俺は勉強し始めなければいけないらしい。

 




大好きなビールメーカーさんのグラウラー(ビールを保存するボトル)が当たったので、ここで自慢します。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。