村を出て2日目の早朝、俺は気持ちよく起きることが出来た。
「徹夜した後の睡眠ってなぜこんなにも気持ち良いのだろうか…」
俺が寝ている場所はラガーを冷やしている氷があるため比較的涼しい。だからこそ気持ち良く寝られたのかもしれない。
「目が覚めちゃったな」
外にでも出るか、もしかしたら誰か起きているかも。
俺はそう思い、トリーさんや銀の風がいる馬車に向かった。
「おはようございます。リーフ様」
俺が馬車から出た瞬間声をかけられた。
「あ、アリューシャさんにイリヤさん、おはようございます」
アリューシャさんは魔法使い、イリヤさんは伯爵家のご令嬢だとか。そして2人とも銀の風の冒険者である。
護衛として雇われているからだろうか、どうやら2人は外で寝ていたようだ。
そして俺は2人の枕元に視線を向けた。
「寝心地はどうですか?スライム枕は?」
そうなのである、なんとこの馬車では今スライムを使った枕が流行している。
それはなぜか。
「あのスライム、洗って滑りを落としたらいい枕になりそうだな」
どこぞの弟が発した一言から全ては始まった。
「スライムが弱いからといってよく枕に出来ますよね、一応魔物ですよ?」
動きが遅く、負けるのは赤子ぐらいと言われている程危険度は低いらしいが魔物は魔物、万が一を考えると怖くて寝られないと普通は思うんだけど。
「スライムなんかに負ける私たちじゃないですよ、何かあったら火魔法で一発ですからね」
そう言うのは魔法使いでもあるアリューシャさんだ。さすが、昨日のスライム狩りで先陣を切っただけはある。
「そういえば、リーフ様って剣の腕はよく聞きますけど魔法はどうなんですか?あのエルナ様から色々教わっていそうですけど」
「あー最近は剣よりも魔法を頑張ってますね。特に火魔法は…「スラリン返事をしろよ!」
イリヤさんの問いに答えている途中アーバインさんの声が聞こえた。
何かあったのだろうか。3人でアーバインさんのいる馬車に向かった。
「アーバインさん。どうかしました?」
馬車に向かうとそこには…
謎の液体に涙を浮かべるアーバインさんとアルがいた。
「スライムに餌をあげなかったら死んじゃったみたいだよ」
「ああ、あの液体はスライムの亡骸なのか」
アルの説明でなんとなく状況を掴んだ。
「お前…スライムキングになるのが夢だって言ってたじゃねえか」
アーバインさんは声を震わしながらスライムに声をかける。
へえ、そんな壮大な夢をスライムは持っていたのか。少しは同情も…
「スライムは喋らないけどね」
なんだよそれ、まんまとアーバインさんの演技に騙されたわ。
というか、そんな大声あげて大丈夫か?
「まだ、寝ている人もいるから静かにした方が…」
「いつか多くの眷属を従えて、スライムだけの住処を作るんだって…言ってたじゃねえか!」
話を聞いてくれ…
「うっさいわよ!寝ている人もいるんだから静かにしなさい!」
「!?」
『すいません!』
後ろからのアリューシャさんの怒声に声が出なかった…すごい迫力。
…てかなんでアルまで謝っているの?
「リーフ様、俺のスライムがなんか変色しているのですが何か分かりますか?」
あと少しでキッカという町に着くらしい所でモルトさんから相談を受けた。
「確かに赤くなっていますね。変色する香草をエサにでもしたんじゃないんですか?」
魔物に関しては俺よりアルの方が詳しそうだし後で聞いてみるか。
「それと、変色だけじゃなくてなんだか良い匂い…というかつい最近嗅いだ匂いもするんですよね」
「魔物が食べると変色する香草に良い匂いがする?俺にも嗅がせてもらってもいいですか?」
俺はモルトさんから赤いスライムを借りる。
変色はともかく、本当に良い匂いがするならエールにも使えそうだな。
俺はそう思いスライムの匂いを嗅いだ。
なるほど。なるほど。これは中々…
「モルトさん…スライムがこうなった原因がわかりましたよ」
「本当ですか!?それは一体」
俺は腰を上げ外に出る。
「ちゃんと説明しますんで少し待っててくださいね」
俺はそう言って、「エール」が置いてある馬車に向かって走り出した。
気温も上がってビールが美味しい季節になってきましたね。(年中美味しい)