「火魔法にしますか?水魔法にしますか?そ、れ、と、も、風魔法?」
俺は赤く変色したスライムに向かって魔法を唱えようとした。
「リ…リーフ様!何をするつもりですか?」
「何ってこのスライムにお仕置きをしようとしているんです。離してください」
俺はモルトさんの腕を振り払い魔法を唱えようとする。
そして肝心のスライムは、酔っているのか気持ちよさそうにプルプルしてるじゃねえか。
決めた。
「よし、おまけにサイキックもプレゼントしてあげよう。まずは火魔法からだ!我は求める…」
「ちょ…アルフリート様!」
モルトさんはアルに助けを求めた。
「リーフ兄さん、馬車まで燃えちゃうからやめた方がいいと思うよ」
「大丈夫だ。エールばかり造りすぎて火魔法の威力の加減ぐらいは出来るようになったから。スライムだけ綺麗に燃やすよ」
「あっ…うん。すごいね」
「あれ!?アルフリート様!止めてくださいよ!アリューシャ!お前もリーフ様を止めるのを手伝え!」
モルトさんはアリューシャさんにも助けを求めようとするが…
「火に水に風に、おまけに無属性まで…さすがエルナ様のご子息!」
「ダメだ!味方がいねえ!!」
モルトさんが項垂れるのと同時に俺は詠唱を終えた。
あとは、馬車を燃やさないようにこいつに焦点をあてて魔法を放つだけ。
このスライムめ、俺の造ったエールは美味かったか?一言美味いと言えば許してあげないこともないぞ?大体なんで赤くなっているんだ?本当に酔っている人間のようだ…な…あれ?
そもそもなんで赤くなっているんだ?
人間がお酒を飲んで顔が赤くなるのはフラッシング反応だかなんだかによるものだから理解できるが、スライム…魔物も酔ったら赤くなるのか。
自問自答している間に俺は1つの仮説に辿り着く。
もし、もしスライムがアルコールに反応するのなら、反応しなければノンアルコール…つまりあれが造れるのか?
「モルト!今だ!」
「!?」
アーバインさんの掛け声に俺は我に帰る。
「よし、スライム救出だ!」
…しまった。考え事をしている間にモルトさんの元にスライムが戻ってしまった。これじゃ魔法は打てないな。
「リーフ兄さん大丈夫?」
アルが珍しく俺に気を使ってきた。
「大丈夫だよ、少し考え事をしていただけだがら。それにだんだん怒りが収まってきたよ」
思わぬところで新作エールの閃きが得られるとは思わなかったな。だが、エールをスライムに飲まれたのも事実…なので。
「アリューシャさん、モルトさんのお給料からスライムが飲んだエール分天引きって出来ます?」
「リーフ様?」
モルトさんの顔色が変わっていくのが分かるがそんなの俺の知ったことでは無い。
「分かりました。トリエラ様から頂くお給金から引いておきます」
話が分かる人がいて良かった。
「おお…おお」
うめき声をあげながらスライムと睨めっこしているモルトさん。
俺はモルトの肩に手を置き…
「安心してください、流石に金貨は頂きません。銀貨でどうですか?」
「だから高いんですって!!」
モルトさんの叫びが馬車中に響いた。
こんなビールだらけの2次創作を書いていますが休肝日は週2日です。