転生して田舎でエールが飲みたい   作:高校ジャージ10年目

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65話目です。よろしくお願いします。


キッカ到着

スライムにエールを飲まれるといったハプニングもあったが、無事三日目の午後キッカに到着した。

 

「キッカ…ねぇ」

 

ええと確か西に行けば王都があって北に行けばアルドニア王国?があるらしい。そしてここキッカはその二つの国を結ぶ中継地点だということだ。

 

となれば必然的にここには様々な物資が行き交うことだろう。つまり、様々なエールも存在する可能性だってあるわけだ。想像するだけで唾液が量産される。

 

非常に楽しみだ。

 

 

 

キッカに到着し、俺は馬車を降りた。

 

荷物の整理や宿はトリーさん側がやってくれるとのことで、俺、アル、ルンバさん三人で町を歩いてみることになった。

 

「思っていた以上に人が多いな…」

 

流石二つの国を繋ぐだけの町だけのことはあるな。これは色々と期待出来そうだ。

 

なんてことを考えていると…

 

「あれ!?アルとルンバさんは?」

 

おいおい、勝手にいなくなるなよな。人探しで時間食われたらたまったもんじゃないぞ。

 

いや、でも、アルの方にはルンバさんがいるはず…となると、迷子なのは…

 

俺?

 

「…いやいやいや、こんな真人間の俺が迷子なんてなるはずないじゃないか。宿の場所だって知っているしいざとなれば戻ればいいし」

 

自分で自分を肯定し気持ちを落ち着かせる。

 

そうだ、逆転の発想だ!アルとルンバさんがいないんだから俺は俺で好き勝手動いていいということなのでは!?

 

うん。そうだな。それがいい。いや、それしかない!

 

俺は心の中で結論を出し歩き出した。どこにだって?そりゃもちろん…

 

「エール屋さんだろ!」

 

 

 

 

人混みの中歩きながらエール屋?酒屋?を探す。が、自分が今どこにいるのか全く分からない。

 

こんなことならトリーさんに聞いておけばよかった…

 

なんてことを考え人混みに身を任せていたら、声が聞こえた。

 

「エールはいかがですか?」

 

「!?」

 

ふっ、やはり俺はエールに愛された男だったみたいだな。身体が勝手にエールがある方に導いてくれる。

 

ふっふっふと心の中で笑っているといつの間にかエール屋の前についた。

 

「あっ、リーフ兄さんだ」

 

「ほらな。俺の言った通りだろ」

 

人混みから抜け出し顔をあげるとそこにはアルを肩車したルンバさんがいた。

 

てか、でけえなおい。

 

「良かった。探したんですよ二人とも!急に迷子になる…「リーフ兄さんでしょ?」

 

やっぱり俺が悪い感じ?

 

「リーフのことだからエール屋の前にいれば会えると思ってな」

 

さすがルンバさん。俺のことよく分かってますね。

 

「うーん、もしかして俺って結構分かりやすい?」

 

「エリノラ姉さんよりは分かりやすいと思う」

 

まじか。そんなに?

 

「ま、まぁこうして再び会えたことですしエール飲みましょうよ」

 

俺は話を晒して店員さんにエールを注文する。

 

「エールは銅貨五枚ですね」

 

なるほど、エールは銅貨五枚…そのぐらいの価格設定が妥当なのか。

 

銅貨五枚を支払い木製のコップを渡された。どうやらセルフで注ぐらしい。

 

「セルフ式だと?やるじゃないか」

 

セルフならいちいち店員が注がなくてもいいし回転率も上がるつまりは売上もあがる。

 

「お?買ってきたな。さっそくアルに冷やしてもらえよ」

 

「冷やす?」

 

よく見るとルンバさんが持っているコップには冷気が纏っている。

 

「リーフ兄さんもどう?」

 

非常にありがたい申し出だが…

 

「俺はいいよ。常温で飲むエールの方が味が分かるからね」

 

「なんだぁ、冷やして飲んだ方が美味しいに決まっているだろ」

 

これだから何も考えずにエールを飲む人は…

 

「はぁ…いいですか?エールってのは古来より常温で飲まれて来たんですよ?それに常温で飲むことにより麦の香りや甘味をしっかり感じとれ「ぷはー」…聞いちゃいねえ」

 

はいはい、話を聞かないなら聞かないでいいですよ。俺はちゃんと常温でこのエールの良さを身体で感じてやる。

 

俺はそう思い、王都以来の他人が造ったエールを飲む。

 

「こ…これは!?」

 

「お?リーフのやつ、すごい顔をしているな?これはまさかあれが出るのか?」

 

「あれが出るかもしれないね!」

 

二人してニヤニヤしているがあれってなんだろう。

 

『これがエールだなんて俺は認めない!』

 

「…」

 

あの場にルンバさんは居なかっただろ。なんだ知っているんだよ。

 

「必殺技みたいに言わないでくれますか?大体あれは思っていたのと全然違うから出たのであって決してマズイと言っているわけでは」

 

「でも認めないんだろ?」

 

「…否定はしないです」

 

「あの決め台詞は今ではコリアット村でも大流行しているからね」

 

「使う場面そんな無いだろ?なんで流行らせた?」

 

仮に使うとしたらエールを飲む時ぐらいしか…もしかして俺の造ったエールを飲んで村人が言うのか?「これがエールだなんて俺は認めない!」って、それは結構傷つくなぁ。

 

「それよりどうよ、王都以外のエールの感想はよ?」

 

ルンバさんに聞かれたので俺は答える。

 

「そうですねえ、少なくとも冷やして飲んだ方が正解だったかもしれません」

 

「だろ?こういうのはな冷やして飲むのが正解なんだよ!お前もまだまだエールが分かっていないなぁ」

 

ルンバさんは気分が良くなったのか嬉しそうに残りのエールを口に含むが、俺も俺でタダで負けを認めるわけにはいかない。

 

「いやいや、冷やして飲んだ方が味も知らず何も考えずに飲めたなぁってことですよ?」

 

「どういうこと?リーフ兄さん」

 

「あぁ、簡単に言うとこのエール…傷んでいる「ぶっふぁ!!」

 

傷んでいると聞いた瞬間ルンバさんが口に含んでいたエールが外に吐き出された。

 

よし!一泡ふかせたぞ!と思った矢先飛び散ったエールを被ることまでは想定していなかった…

 

「リーフ!お前、知っていたなら先に言えよ!もう飲んじまったじゃねえか!」

 

「その前にびしょびしょの俺に一言ないんですか?」

 

そろそろ暑くなってくる季節、夏らしいイベントの最初は、「男が飲んだエールを全身に浴びる」だった。

 

くそっエールを冷やしてもらっていたからなのか全身がすごく涼しいのがイライラする!

 

 

 

 

 

 




風呂上がりのビールも美味しいのですが、それまで待てないので風呂の中でビールを飲んでいます。うまい
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