転生して田舎でエールが飲みたい   作:高校ジャージ10年目

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69話目です。よろしくお願いします。


サイキックで決める!!

 

「では確認をしましょう。まずは俺がサイキックであの扉のカギを開けます。そしたら」

 

「俺とモルトで突撃って感じだな。やってやるぞ」

 

カギを解除したところでアルはすぐにサイキックをかけてくるだろう。しかも無詠唱で、だがその無詠唱をも打破するために二人が必要なのだ。

 

あの扉はこちらから見て内開き、だから二人による体当たりは効果的だ。

 

それぞれが持ち場につく、そして、

 

「我は求める、意思に従い念道せよ!サイキック!」

 

俺がサイキックを唱えることで作戦が開始された。

 

目的はサイキックで扉のカギを解除すること、俺にはそれが出来る!!

 

だから…届いてくれ俺の魔法!

 

願いは届きガチャという音が聞こえた。

 

「解除出来ました!二人ともあとはお願いします!」

 

自分の役割を終えモルトさんとアーバインさんに思いを託す。

 

「行くぞ!」

 

「おう!」

 

モルトさんとアーバインさんが同時にドアに突撃する!さすが同じパーティーなだけあって息が合っている!

 

ドアが開く…俺は勝利を確信した。

 

がその瞬間!!

 

『ぐあああぁ』

 

悲痛な声をあげながらモルトさんとアーバインさんが吹き飛ばされた。

 

宙を舞う二人を見て俺は思考する。

 

なぜだ?作戦は完璧だったはず、サイキックでロックも解除出来た。二人の突撃でドアも開いた。なのに、なぜ二人は吹き飛ばされているんだ!?

 

そしてさらに厄介なことは吹き飛ばされた二人が俺に向かっているということ。

 

全てはお前の策略というわけかアル!

 

だが、俺はこんなところでやられるわけにはいかない!すぐにシールドの詠唱を…

 

「我は…」

 

詠唱をする間もなく俺は吹き飛ばされた二人の下敷きになってしまった。

 

二人分の体重を受け止めてながらこの事態の原因についてあらかた推測できた。

 

多分あいつは開いたドア全体にサイキックをかけて、ドアで二人を吹き飛ばしたんだろう。

 

あとは…詠唱か。俺は魔法を使うたびに詠唱をする必要があるのだが、あいつは無詠唱だ。わかっていたことだがこんな速さで魔法を唱えられてしまってはどうしようもない。

 

「おい!ドアを開けたと思ったらいきなり吹き飛ばされたぞ!どうなっているんだ?」

 

「どうやら作戦は失敗のようだな。たがなんとしてもアルフリート様の部屋に侵入して安眠を得たい、そのためにもリーフ様!もう一度サイキックを…あれ?リーフ様は?」

 

「反省会は終わりましたか?終わったのでしたらどいていただけると嬉しいのですが…」

 

さすがにこれ以上乗られていると意識が…

 

「リーフ様!?す、すぐ退きます!」

 

意識がなくなる寸前で二人はどいてくれた。

 

「で、リーフ様次の作戦はどうしますか?」

 

アーバインさんに聞かれたので答える。

 

「そうですね、また同じ作戦を…いやまた無詠唱でやられるだけか…」

 

なかなか良い作戦が浮かばない。

 

「うーん」

 

「あの、リーフ様少しいいですか?」

 

俺とアーバインさんで次なる作戦を練っていたらモルトさんが割り込んできた。

 

「アルフリート様が完全に寝てからリーフ様のサイキックで侵入すればいいのではないのでしょうか?」

 

『あ…』

 

モルトさんの正論で、俺たちは我に返った。

 

その後、他の人の迷惑だからと従業員に注意され仕方なくルンバさんが寝ている三人の部屋にお邪魔させてもらった。

 

「いびきすごいですね」

 

「だからアルフリート様の部屋にお邪魔させてもらいたかったんですよ。ルンバさんのいびきは本当に酷いんで」

 

部屋中に響き渡る爆音に俺は耳を塞ぎたくなる。

 

「これからどうするよ、アルフリート様が寝るまで何するよ」

 

「そうだなぁ…リーフ様何か案はありませんか?」

 

俺に振るのかよ。まぁ弟が迷惑をかけているのも事実だし何か…

 

「なら、アルフリートが寝るまで酒屋で貰ってきた干し肉なり野菜とエールをご馳走しますよ」

 

干し肉はともかく野菜は日持ちしないし早く食べた方が良さそうだからね。

 

『マジですか、リーフ様!!』

 

二人の声がハモる。そこまで嬉しかったのか。

 

「いや、待て、「エールをご馳走する」と言っていたぞ。と言うことはラガーやIPAは金を取るということなのでは!?」

 

なるほど!そんな手があったのか、今度使ってみよう。

 

「さすがに今回は迷惑をかけたんでタダで良いですよ。むしろそろそろ傷み始めるラガーから優先的に飲んで欲しいくらいですよ」

 

そうなのである。コリアット村を出てそろそろ一週間、俺の見立てが正しければラガーはそろそろ傷みだす頃合いだ。傷んだ状態で飲んで体調でも崩されたらこっちの信用問題でもある。

 

「ならラガーをお願いします!あれは本当に美味いですからね」

 

「俺も俺も!」

 

二人してラガーを所望するあたりよっぽど気に入ったのだろう。二人も喜ぶし俺もラガーを減らせてwin-winだ。

 

「なら俺もラガーにしようかな。とってくるんで少し待っていてください」

 

俺はそう言ってラガーを取りに倉庫に向かった。

 

 

 

「さぁ!ラガー持ってきましたよー野菜干し肉で楽しみましょう」

 

「しゃあ!来たぜラガー!」

 

「ラガーを一気に飲むのがたまらねえんだ!!」

 

ラガーをなみなみ注ぎ三人で一気に飲み干す。

 

「うめー」

 

「一気に飲むのがたまらねえ!」

 

「思っていたより傷んでなかったな。温度管理を徹底していたおかげか?」

 

三者三様の感想が出たところで三人は二杯目に移行する。

 

「しかし、いいんですか?リーフ様。こんな美味いラガーをタダで飲ませていただけるなんて」

 

モルトさんが申し訳なさそうに…いや嬉しそうに聞いてくる。

 

「元々旅の道中で飲み干す予定でしたので、それに三日目あたりで傷むと思っていたので大丈夫ですよ」 

 

「そんな傷んでいる感じがしねえけどなぁ…」

 

首を傾げ二杯目を飲むアーバインさん。

 

「そうなんですよね。本来なら傷んで酸っぱい味になっていてもおかしくはないんですが…」

 

前世のような冷蔵庫や缶といったものがない世界、どんなに温度管理に気をつけても傷むものは傷む。それにしても想像しているよりも傷む進行が遅い。まぁ、これもこの旅で得た経験かな。

 

俺も二人に続いて二杯目を飲む。

 

「干し肉とラガーって合いますね…まさに夜のお供って感じですね」

 

「ふふふ、リーフ様。その夜のお供に加えたい仲間がいるのですが…」

 

なんだが悪い顔をして俺に提案をしてくるアーバインさんだが、とりあえず聞くことにする。

 

「ラガーの仲間であるエールも干し肉に合うと思いますがいかがでしょうか?」

 

いかがでしょうか?じゃねえよ。ただ飲みたいだけだろうが!

 

ただ、エールと干し肉は合う…かどうかは分からないけど、何事も経験が大事だよね!決して俺が飲みたいとかそんなんじゃないから!

 

「一人一杯までですよ」

 

『よっしゃー』

 

二人が喜ぶ姿を見ると不思議と悪い気がしないなと感じた。

 

 

「いいですか?そもそもエールっていのは上面発酵という製法で造られていてラガーのような冷やして飲むよりも常温で飲んだ方が香りが…『カンパーイ』…聞いてます?」

 

俺のありがたいエール談義を聞かず勝手に飲み始める二人。

 

「はぁ…あんまり飲みすぎないでくださいね。明日は朝早いらしいですから」

 

「わっかりましたぁ!」

 

あ、これは聞いてないやつだな。

 

まぁでもこんな日もあってもいいのかもしれないな、それに二人は冒険者、酷い飲み方はしないだろう。

 

「よし!俺も飲みます。混ぜてくださいー」

 

そう。夜はまだ始まったばかりだ。

 

 

 

〜早朝〜

 

「朝まで飲んでしまった!!」

 

俺は動く馬車の中で頭を抱えた。

 

あと一杯だけを十回近くやっていたら朝になっていたよクソが!

 

「これもそれも、俺のエールが魅力的すぎるから…うぅ」

 

「昨日はお楽しみでしたね」

 

ニヤニヤしながら隣にアルが座ってきた。

 

「元はと言えば、お前が部屋で籠城するから…」

 

「でも、俺が寝てからリーフ兄さんのサイキックで鍵を開けて寝られたよね?」

 

ごもっともである。

 

「それに勝手に飲んで今潰れているのは俺のせいじゃないよね?」

 

ごもっともである。

 

「ねえ、ねえ、俺悪くないよね。リーフ兄さん」

 

「うぷっ…分かったから、揺らさないで。もう喉まできてるから!!」

 

こいつ…いつか必ず!だが、今日のところは勘弁してやる…うぷ。

 

俺は笑いながら肩を揺らす弟を見てそう決意するのであった。

 




遅くなりました。ごめんなさい!
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