デッドマンズの嘘と復讐 作:かな推し@同担歓迎
個人的にアイが死ぬことによって始まる物語だからアイが実質生きてるこの話はアンチ・ヘイトだよなあと思いました(KONAMI)
私は知っている、死は終わりではない。
魂は流転し再び現世に舞い戻るのだ。
命の繋がりは連綿と途切れずに続いていく。
私は生まれた時に世界を知っていた。知っている範囲は私の尺度でしかなかったが、それは一から価値観を形成している同年代と比べれば大きな利点として働いた。
私の
私が知る世界の常識。
違いはいくつもあったが概ね相似と言って良いだろう。
これをひけらかしたならば排斥されるだろうことは目に見えていたので、私の常識をひた隠しにして私は成長していった。
その道程で私の秘密とは無関係に誘拐によって妹が行方をくらまして死に、母が死に、父が死んだ。
二人の生命保険の保険金により、一先ずは生きるに困らない程になった私は生きる上での目標に困ることになった。
私は一度死んでいる。さらに言えば満足して死んだのだ。悔いの無い良い人生だった。
再び生を得た私が感じている感情は困惑だった。
「私にはしたい事などない。全てやり尽くした。私は何をすれば良いのだろう」
その理由を考える為にマンションを借り、一年を猶予としてひとまず生活をはじめることにした。
ただ目的も無く生きるよりも、生きる理由がある方が後悔なく人生をやり尽くせると知っているからだった。
ある、私にとっては何でもない日に、胴間声が聞こえた。閑静なマンションに似つかわしくない異質な声だ。少なくとも私は聞き覚えがなかった。
次に強く廊下を踏み荒らす音、そしてナイフの落ちる音が聞こえた。
そして。
ゴーストルールが隣の部屋に振り向く。人が死んだ、ないしは瀕死の重症なのだ。
ふと気づけば隣にいた私のゆうれい。
他のゆうれいを捕らえ、閉じ込め、従えるしきたり。
腹部に檻を埋め込んだ白い人型の怪人。
その特性から、半径50メートルほどの死を感知することができる。
一瞬の硬直の後、私の体は私が意識するよりも先に動いた。
救急箱を手に、外に出て隣の部屋に駆け出す。
目を離した隙に居なくなった妹の無惨な姿を思い出す。
母が私の目の前に落ちてぐしゃぐしゃに潰れたことを思い出す。
父が倒れた私の目の前で酷く叫び助けを求めながら首を吊って死んでいったことを思い出す。
まだ間に合うかもしれない。
医療を学んだ。学んでいれば、もしかしたらこれまでのうち誰か一人でも助けられたかもしれなかったからだ。
私が、今度こそ死から救ってみせたい、そう思って開いたままの玄関を踏み抜けて見たのは、子供を搔き抱いて血まみれで倒れた母親だった。
「大丈夫か!意識は!」
私の声に僅かに目を動かした。まだ息がある……が、もう間に合わないだろう。
医療を学んだが故にわかってしまった。
この出血は……明らかに致死量だ。
瞳から光が消え落ちようとしている。
子供は母親の名を呼び掛け続けている。泣き声から察するにドア奥にもう一人居るようだ。
アイ、そういう名らしい。
「アイさん!気をしっかり持て!」
繋がったまま転がっていた119をスピーカーにして置く。
私は服を脱ぎ、出血している傷に強く圧迫するように当てて、気道を確保し、心臓マッサージを始める。
「救急です!腹部をナイフで刺されて瀕死の重症!場所は〜」
これほど私の能力が超常的現象によって傷を治すことができないのを悔やんだことはない。
母親の魂が肉体から剥がれ始める。
私は処置の為に移動させた子供の顔を見た。まるで世界がひっくり返ったような、きらきらと輝いていた一番星が消えたような。人生の目標を失ったような顔をしていた。
ゴーストルールが魂を掴み捕える。
せめて、せめて後数分早く来ることができていれば、と思わざるを得なかった。
どうか届いてくれと叫ぶ。
「大丈夫、だ!必ず!助かる!必ずだ!」
ゴーストルールが魂を檻に捕らえる。
しかし既に母親は事切れていた。
私は間に合わなかった……が、
一縷の望みを託して心臓マッサージを続けながらも、ゴーストルールがしきたりを敷く。
肉体が救えなくとも……魂だけでも私は救ってみせる。
復讐だ。代償でもある。救えなかった私のこれまでの全てへの、だ。
劣化し形を損なわぬよう状態を保護し、意識の連続性を保ち、世界に負けないように
ゴーストルールはゆうれいのあらゆるを支配するスタンド。
一般的な幽霊の常識を無視して強化改造することができる。
この悍ましく冒涜的な能力を応用すれば、必ず助けられるはずだ。
何故なら、私はナイフでリンゴを剥くことができると知っているからだ。
救急車のサイレンが聞こえる。
駆けつけた救急隊員にマッサージを代わり、私は倒れ込んだ。
ゴーストルールの檻からは、母親の混乱したような光を失った瞳が覗いていた。
母親は死んだ。
葬式は関係者だけで粛々と行われた。子供の様子が気になると言って、私も何とか参加することができた。
魂は救えども、肉体を救うまでには私は至らなかった。
手錠を付けた母親のゆうれいが、棺を前に固まる双子に寄り添う……が、しかし、触れられないし声も届かない。ゆうれいとはそういうものなのだ。これはゴーストルールでは変えることが出来なかった、抗えない法則だった。
女児が子供らしくない憤怒をみせ、母親の死を嗤う者たちを、子供とは思えない程豊富な語彙で罵倒していた。母親曰く、うちの子は天才らしい。流石にちょっと早熟にすぎるとは思うが、そういうものと納得した。アダルトチルドレンってこういうことなのか……。
反面、男児はまるで抜け殻のように呆然としていた。
私は寧ろこちらの方が危険に思った。
二人に目線を合わせるように私はひざまづく。
「すまなかった。私が至らぬばかりに助けることができなかった……」
敢えて、ワタシを悪し様に言った。
私を悪者に見立てて、憎むことで感情を引き出すことができればという思いからだった。
だが、双子はまるでそれすらも見通したように、貴方が悪かったことなど無いと私を許した。
恐るべきことだが、彼らは既に常人以上の視座を持っているらしい。
彼らの瞳には、子供らしくない、大人と遜色無い理性の光があった。
私にはその瞳に既視感があった。
昔の私だ。
「アイさん、恐らく君の子供は前世を呼び覚ましている」
葬式の後、私は彼女に告白した。前世のある子をこれから自分の子として見守って行かなければならないというのは、惨いのではないかとおもったからだ。自意識を得ている魂を子供とするのは、本来の子供とすり替わっているようなものだと自認していたから。しかし彼女は私の予想に反して、少しも揺るがなかった。
「それでも私はアクアとルビーを愛してる。例え前世がどうだとしても、何があっても、二人は私の可愛い子だよ。愛してる。これは決して嘘じゃない」
彼女は瞳にまるで生前と見紛う程の光を取り戻していた。
ゴーストルールによる影響があるとはいえ、信じられない程魂が輝いている。
私は瞠目した。彼女は……
私は覚悟した。彼らの人生を背負う覚悟だ。私の人生を彼らに捧げる覚悟だ。
「君は私から離れられない。だが私は君に彼らと寄り添うように生きて欲しい。そこで提案だが、私に彼らを引き取らせてもらえないだろうか」
名案だった。彼女はどうやら親族がおらず、どうやら彼らの扱いは宙に浮いているようだったからだ。彼らは賢いから、子育てで付きまとう諸問題は概ね無視できるだろうというのもあった。
「いや無理だよ。たしか二人の戸籍、社長に移してたと思うし」
なお名案は崩れ去った。
二人を隠すためだったらしい。何とびっくり生前はアイドルだったのだとか。子供ができるというのはアイドルにとってはスキャンダルなのだそうだ。
社長夫妻とは葬式で顔を合わせたきりだった。連絡先など交換していない。アイさんは電話番号をよく覚えていなかった。SNS社会の弊害だ。私とアイさんは頭を抱えた。
一体どうやって彼女と二人を引き合わせれば良いのか……。
私はかけらも良いアイデアを思いつかず、日々が過ぎてしまった。
覚悟は風化し、私は荒ぶれたように思えた。
幸いと言っていいが、アイさんとは良好な関係を築けている…と思う。
未だに彼女は私の趣味であるピアノに良い顔をしないが、まあいずれ慣れるだろう。
そんなある時、ふと、テレビを見ると彼が……アクアが少しだけ映っていた。映画の番宣だった。端役で、少し映っただけだった。ちなみにアイさんは寝ていた。
私には彼の目が見えた。
ギラギラ、ギラギラと彼の瞳は復讐の炎に燃えていた。
私は目が覚めたような思いだった。
魂は救えても、それは彼ら二人の為だったはずだ。復讐を選択に入れさせない、私と同じ道を辿らせない為なはずだった……。
早急に会わねばならない。
理由は違えど私とアイさんの心は一つだった。
「気合いで幽体離脱すれば一緒に彼らの元までいけるんじゃないか!?」
行けた。
学生になって大人びた二人を見たアイさんはテンションぶち上げMAXだった。
ついに宙で回転し始めたアイさんを連れて私は体にもどる。
私の体は限りなく生命活動を停止しており瀕死の重体となっていた。
リハビリに3ヶ月かかった。
何とか別の方法を考えなければならない。でなければ私が死ぬ。あの二人が天寿を全うするまで死ねないのだ。
「そういえば、社長の奥さんに引き取られたみたいだったし、苺プロに顔出してみたら?」
アイさんはこともなげに言った。どうやら理性を全部飛ばしていたわけではなかったらしい。
私は気づかなかった。負けた気がして少しショックだった。
ネットで調べて苺プロに電話をかけてみると、艶のある女性の声が聞こえた。
社長夫人の声だ。
「あの後、二人はどうでしょうか。どうしても心配で……」
二人を心配する私に対して、社長夫人は私に同情的だった。もちろん残された彼らにも、被害者のアイさんにもそうだ。世界の法則のような無情さに打ちのめされた人の声だった。
付け込むようでちょっとだけ悪く思ったが、二人に合わせて欲しいと懇願した。
実際最近アイさんがうるさくて敵わないので、切羽詰まっているのは本当だった。
そして。
「どうぞ。まぁあがって下さい」
歳を重ねた社長夫人が玄関で私を出迎えた。
「あれから、どうなったか心配でね……」
成長した二人に対面したが、私は上手く言葉が出なかった。
なおアイさんは感極まっていた。
「私たちの様子を見に…ですか。そうですか…」
「私たちを心配して…へぇ……」
二人は不審がっていたが、私の言葉に嘘が無いと見たようで話だけは聞いてくれた。
どうやらスキャンダル狙いのバンピーと警戒していたらしい。
そもそも私はアイというアイドルを知らないから、そうしたスキャンダルにさほど興味がない。そう伝えると、二人だけでなく社長夫人までヒートアップしてアイさんの魅力を語り始めた。アイさんは感激してテンション爆上げMEGAMAXレボリューションだった。怒涛の勢いで私はアイさんを布教された。
「元気なようで良かったよ」
帰り際、私は彼に言った。
アイさんはルビーさんと斉藤さんにひっついている。今がチャンスだった。
「そう……ですね」
アクア君はどこか引っかかったように言った。
「誰に復讐するんだ?」
私はまるで平然と、ただの世間話のように話題を振った。
アクア君は凍りついたように硬直し、鋭い瞳で、暗い意志を宿した瞳で私を見た。
「貴方には関係ないだろう」
「復讐そのものには関連はないが、しかし。君が復讐をするということそのものは関係している」
私は彼に目を合わせた。
「復讐の先に君の納得はあるのか?」
彼は、前世があるとは思えない短慮さで、ある、と短く告げた。
ならば。私は覚悟した。
「手伝えることはあるかい?」
そう言った私を、彼は驚いたような目で見た。大方止められると思っていたのだろう。そういう、優しく誠実な人間に見えるように振る舞っていたからだ。
だが、私も前世では復讐した身だ。彼の気持ちはわかる。
先達として助力したいと思うのは、まあ当然の帰結と言ってもいい。
が、しかし、それだけでは無いのだ。私は代償に救わなければならない。肉体は救えず、魂だけでは片手落ちだ。救う理由を履き違えず、この二人を救う為であれば私は血を流そう。
いや、私が血を流すのだ。
「もし君が復讐の対象を殺すことを躊躇うのであれば……代わりに私が殺してやろうと思うくらいには、君たちに情が湧いているんだよ。私は」
彼は何も言わなかったが、連絡先の書かれた短いメモの切れ端を私のポケットに突っ込んだ。
子供に会えた喜びの余韻に飛び回るアイさんを横目に、帰途に着く。
私は覚悟している。
ならば、再び道は開けるはずだ。
再び手を汚す覚悟を胸に、私は家の玄関を閉めた。
・主人公:ジョジョ→推しの子
スタンドは持ち込み。
ジョジョとは関わっていない野良のスタンド使いだった。生涯を賭けて復讐を遂行し、満足して死んだ。
世俗に疎い。
危害には応報する性格。
手のうちにあったはずの者全てを失い、取り戻せなかった人間。
魂だけでも取り戻す能力を我が物とした時には、全てが遅かった。
しかも魂だけでは、片手落ちなのだ。
・ゴーストルール
破壊力ーゆうれい次第
スピードーゆうれい次第
射程距離ーゆうれい次第……感知能力のみB
持続力ーA
精密機動性ーゆうれい次第
成長性ーD
元ネタはボカロ曲。友人に布教されてハマりました。
ゆうれいを捕らえて改造し操る能力。
ゆうれいは遠隔操作でき、素体によっては強力な能力を発現するが、強力であればあるほど遠隔操作すればするほど同時に霊体エネルギーを燃焼しボロボロに朽ちる。
ゆうれいとゴーストルールは感覚を共有しておらず、一方的に敵に攻撃できる。
ゆうれいは何体かストック可能。
強力だが、下準備が必要なタイプ。類似スタンドにレッドホットチリペッパーがある。
明らかに悪役の能力。
・星野アイ
ゴーストルールによりその魂を損なわないようにゴーストルールの一部を用いて改造を受けた。その為ゆうれいの法則から若干外れた存在になっており身体が朽ちることはない。しかしその代わりに、主人公からあまり離れられないようになっている。
その為主人公からあまり離れられず、アクアとルビーに近づくために苦心することになった。
成長した二人を見ることができてテンションMAXFEVER。虎視眈々と授業参観に行くタイミングを狙っている。
なお主人公が乱入したのはアイが愛してるを言えて直ぐくらいなので本当に手遅れだった。
・星野愛久愛海(アクアマリン)
早めに助け出され、冷たくなっていくアイを感じなかったことで原作よりはねじくれていない。
しかし同じプロセスで復讐を計画。同胞の匂いを嗅ぎ取った主人公に突然入れ込まれる。怖い。
はじめは親切な第三者くらいに思っていたが、徐々に主人公をやべー奴と認識。
最後のカミングアウトで完全にやばいと思っている。
なお利用してやろうとは思っている。が、その思いが同情から来ていると思っている為、主人公を利己的に利用することに罪悪感があるようであまり積極的に利用しようとは思っていないようだ。
今はメル友くらい。
・星野瑠美衣(ルビー)
原作とほぼ変化なし。
主人公には懸命に救命してくれたことに感謝してはいる。しかしもっと早く来てくれていればという感情が拭いきれず、ぎこちない返答しかできずにいる。
・斉藤ミヤコ
最近斉藤壱護と連絡がつかず、不安なところに主人公から連絡がかかってきたので思わず出てしまった。結果としては二人とも仲良くなれたようだから良かったと思っている。