なんかカードゲーム型eスポーツのある世界に転生したんだが   作:九十九もちもち

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書いてる途中でちょっと不便に感じてきたので、各ユニットカードの表記を少し変えます。
具体的には[リントの戦士]から[リントの戦士 クウガ]みたいな感じです。
他にも製作進行の為に様々な変更をします。


第四話

【ウマ娘】ベテランニキ達教えてくれ【もっと欲しい】

 

1:名無しプレイヤー

最近ウマ娘を別のスタイルで運用するのが流行ってるらしいやん?

 

2:名無しプレイヤー

まさに今俺がやってる最中や。ウマ娘に限らず、本来とは違う形の運用を模索すんの結構楽しいで?

 

3:名無しプレイヤー

昨日動画で見た[影追い少女 マンハッタンカフェ]凄かったな。

[東隊隊長 東春秋]や[誤射姫 台場カノン]と一緒に支援射撃してるとこ見たんだけど、色んな銃器使ってる姿が違和感ないどころか、元からこんなユニットだったんじゃねって思うくらい堂に入ってた。

 

4:名無しプレイヤー

[北米の怪鳥 エルコンドルパサー]もやべーぞ。

こないだ流れてた配信で[赤きサイクロン ザンギエフ

]をアーツカードの[パワーボム]で倒したの見た時は震えたわ。

 

5:名無しプレイヤー

話変わるけど、市民カード化させて一緒にすごすのめちゃくちゃ充実するぞ。でもそうするとバトルに出したくなくなってくるんよな……

 

6:名無しプレイヤー

え、俺全然そんなことないんだけど。寧ろ両方きっちりやるとより深く「相棒になった!」て感じにならない?

 

ーーーーーー

 

[かげうち]の効果は、言ってしまえば不意打ちだ。相手の背後に瞬間移動し、強力な打撃を与えるというもの。

しかしミキシオンのシステムの性質上ーー

 

「文香、カウンターするぞ!」

 

「はい!」

 

アーツカード[水月の構え]コスト30%

社築残りコスト5900

 

と、このように見てから対処されやすいテレフォンパンチでしかない。

更には『使用者の足元から影が向かってくる』という、わかりやすい視覚的な前兆のオマケ付き。

 

ーーだが、これでいい。

 

そのままじりじりと歩み寄り……

 

まだ、

 

まだ、

 

まだ、しない。

 

「……?……」

 

当然、文香と社は訝しむ表情になる。

 

「! フェイントだ!」

 

構えを解き袈裟斬り。

 

流石に気付かれた、しかしもう遅い。

[かげうち]の使用は完全なる布石。

本命は確実な接近だ。

ミキシオンのカード使用表示のシステムと、影が向かうという特性を逆手に取り、社の意識を『かげうちへの対処』へ絞り込んだ。

その結果は見ての通り。まんまと接近に成功したというわけである。

 

迫る刀身の横っ腹を打ち払い、顔面にフックを浴びせる。

 

「!」

 

が、何か硬いものに阻まれた。

結晶体でできた板のようなものが、罅割れながらも拳を受け止めている。

 

(防がれたか!)

 

これも動画で見たことがある。トリガー使いがよく用いる防御手段だ。

形状を任意で変えられるので広く応用が利く。

 

「がっ!」

 

僅かに動きが止まった隙を突かれ、顎に蹴り上げ。

体勢を崩したところに刀の追撃が来るも、跳躍で回避。軽く飛び越す形で後ろに回り込む。

互いに背を向けた状態から、裏拳で先制。

しかしまたも結晶体の板で止められた。

 

「シールド捌きも結構なもんだろ?」

 

得意げに話す社。

嫌味は感じない。純粋な技術と研鑽に裏打ちされたものと分かるので、不快感よりも憧憬が先に来る。

 

そこからは更なるデッドヒートが始まった。

こちらが打撃を決めたかと思えば、瞬時に刀での洗礼を浴びせてくる。

クウガの白い鎧には夥しい数の傷跡が付き、文香の方も全身の至る所に穴やへこみが穿たれている。

条件は互角……ではない、やはりトリオン体によるアドバンテージがここにきて大きく響いていた。

 

「く……うあっ!」

 

(まずい、五代さんは消耗が大きいぞ……)

 

これまでのダメージが祟り、遂に限界が来てしまった。

少しずつ動きが鈍くなり始める。

当然、それを見逃す二人ではない。

 

「文香、そろそろ決着(ケリ)つけっぞ!」

 

「はい!……勝ちは貰いますよ、凄腕ルーキーさん達」

 

ラストスパートとばかりに、刀の猛攻を一段と激しくする。

 

(まずい……どうすりゃいい)

 

全神経を駆使して剣撃を凌いでいるが、このままでは時間の問題だ。

かといって回復系のカードを使うのも悪手だろう。

各種カード使用時は基本的に各プレイヤーの目の前に表示が出る上、ログなどにも残る。

そして一度使用すると最低5秒は使えず、別のカードも使えない。

つまり"カードの使用"自体にわかりやすい前後隙があるのだ。

 

(よしんば回復できたとしても、その後の5秒間で高火力カードやコンボを差し込まれたら意味がねえ)

 

[ワープ]などの脱出系カードも論外。また突撃銃の間合いに逆戻りとなる上、脱出の妨害をされない保証もない。

 

(だったら、押し切るしかないな)

 

下手な小細工はするだけ無駄。ならいっそ攻めに転じてしまおう。

 

「五代さん、ここで勝負に出ます!」

 

「……うん、わかった!」

 

僅かな沈黙の後に返答が来る。それは単に消耗からか、それとも別の要因か。

 

アーツカード[スリッピングカウンター] コスト30%

ヤス残りコスト5800

 

「! 文香、止めろ!」

 

「っ!」

 

カウンターという単語から脊髄反射で手を止める二人。

そして流れるような動きのバク宙で距離を取り、突撃銃に切り替えた。

実に見事な対応だ。

が、

 

(今の俺にはそんだけあれば充分!)

 

どうせこれが決まらないのは読めている。故に最初から迎撃体勢は取らず、全力疾走を決め込んでいた。

 

難なく至近距離へと肉薄し、忌まわしい突撃銃を引っ掴む。

 

(にしてもコイツ全っ然顔色変えやがらねえ、肝据わりすぎだろ……)

 

既に全身がボロボロだというのに、動揺する様子が全く見られない。

トリオン体の恩恵で苦痛がないから、というだけではない、恐らく彼女自身の胆力によるものだろう。

 

暫しの引き合い押し合いの後、文香は躊躇なくそれを手放す。

またも距離を取る気だ。

 

「逃がすか!」

 

このままこちらのペースに持ち込み、勝負を決めてやる。

 

アーツカード [バーニングアロー] コスト20% ヤス残りコスト5200

 

これは炎を纏った蹴りで突進するシンプルな技だ。

 

右脚に焔が灯った。

 

「その技は知ってるぜ!」

 

社と文香は余裕をもってシールドを展開。大きさは掌程度だが、その分頑丈なのだろう。

作戦に変更はない。

この一撃で押し切ってみせる。

 

軽く腰を落とし、両腕を広げて構える。

本来のバーニングアローの動作ではない。

ただなんとなく、直感的に、クウガというユニットは『こうした方がいい』という思考に至ったのだ。

予感は大当たり。

『力み易さ』が他のアーツカードとは段違いに『噛み合って』いる。

右脚の焔が爆発的に膨らみ、膝辺りまで覆い尽くす。

 

「……おぉぉりゃああああっっ!!!!!」

 

クウガの烈哮。

そして必殺の威力を孕んだ蹴りを繰り出し、一瞬にも満たない時間で文香へ肉薄する。

 

 

爆発。

そう形容できる程の轟音と衝撃が巻き起こり、視界が瞬間的にホワイトアウトした。

 

「五代さん!!」

 

「文香!!」

 

社とほぼ同時に相棒の名前を叫ぶ。

 

結果はーー

 

 

 

 

 

 

 

 

[文香 戦闘不能 ヤス WIN]

 

 

 

 

「……すみません、築。負けてしまいました」

 

彼女は冷静ながらも、悔しさを滲ませた声で敗北を告げる。

 

クウガは見事シールドを打ち抜き、勝利をもぎ取ったのだ。

 

「…………」

 

勢い余って彼女のトリオン体を貫通し、十数m程超低空飛行したところで強引にブレーキをかける。

 

システムメッセージが視界から消えても尚、その状態から微動だにしない。

まるで勝利の余韻すら感じていないように。

 

 

文香はすぐさまシステムで強制的に社のカード内へと戻され、試合は完全に終了した。

それに伴いクウガも同じようにカード内へ戻される。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

試合が終わったことで、周りの風景は再び無機質なものへと戻る。

 

「だぁーーちくしょー!」

 

頭を掻き毟りながら軽めの怒号を上げる社。

されども言葉とは裏腹に、程よい疲労感と爽快感に満ちた表情だ。

 

「対戦ありがとうございました!」

 

「あいよ、対ありー」

 

彼はそのまま『あー終わった終わった』といった感じで背を向け、ログアウト。

それを見届けてつい気が緩んでしまい、大の字に倒れてしまった。

疲労感でいえば正直こちらの方が深刻である。

初陣であったことに加え、後先考えずのペース配分。

流石に神経が悲鳴を上げている。

表面を取り繕うので精一杯だ。

 

「けど……楽しかった」

 

本当に楽しかった。

安っぽい言い方しかできないが、五代さんと息を合わせての攻防や、社との息が詰まるような駆け引きは、何物にも代え難い充実感を齎した。

 

「あ……ごめん五代さん、自分のことばっか考えてて」

 

最大の功労者への労りを忘れていた。

真っ先にやらなければいけないことだというのに。

彼はカードの中で戦士クウガから元の好青年の姿になっていた。

カードに戻れば一瞬で治療されるシステムだが、その記憶や精神的な負担までは対応していない。

故にアフターケアがどれだけできるかというのも、ミキシオンプレイヤーとしての指標となる。

 

「気にしないで、俺は平気だから」

 

手元から、五代は笑顔でサムズアップ。

けれどもその仕草には、どこかよそよそしさがあった。

 

「うん……だとしても、ありがとう五代さん、俺みたいな下手くそに付き合ってくれて」

 

自分の技量不足のせいであんなに傷だらけにしてしまったのだ。

次からはせめて基本を押さえた動きを習得したい。

 

そんなことを考えながらログアウトを済ませ、ゴーグルを外し直ぐにベッドへ突っ伏した。

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