なんかカードゲーム型eスポーツのある世界に転生したんだが 作:九十九もちもち
大して技量も根気もない癖に欲張ったクソ作者の、悪あがきの形跡と笑ってやって下さい。
もしかしたら、将来的に何らかの形で取り入れる可能性はありますが。
それと、原作での五代の性格を考慮した結果、やや冗長な下りを入れることになりましたが『五代雄介』という存在を描くにあたって、この部分は避けては通れないと判断しました。
初対戦を終えた翌日、ヤスは暇つぶしと実益を兼ねミキシオンのサイトを閲覧していた。
といっても公式のそれではなく、プレイヤー側の有志によって作られたファンメイドのwikiである。
ヤスはこの手のサイトを巡回するのが半ば日課と化していた。
「……」
それも先日ゲーム機本体を、クウガを手にしたことで少し変わる。
それまではただ気紛れに項目から項目へ飛んでいるだけだったのが、自身も
「……やっぱ五代さんの、戦士クウガの情報は無いなぁ」
先程からカードとしてのクウガの情報を探しているのだが、どうにもそれらしい項目は見当たらない。
「てことは、今クウガを持ってるのは世界で俺一人か」
ミキシオンの性質上、別段おかしなことではない。
〝現状一枚しかないユニット〟を所持しているプレイヤーなど、確認できるだけで無数にいる。
更にいえば、今後ガチャなどで別個体のクウガがどこかのプレイヤーの手に排出される可能性も十分あるのだ。
よって、珍しさの観点でいえば、取り立てて何もないのが現状である。
「そんなら、類似したユニットを参考にした方が建設的だな」
幸い分類としては簡易な方だ。
純粋なフィジカルに任せた格闘型。
シンプル故に応用が利きやすい。
一つ特徴があるとするなら、あの時トドメに使った蹴り技の相性がとても良かったくらいか。
まず格闘型、と検索をかけただけではまだまだ絞り込みが足りない為、もうひと工夫要るようだ。
ならばと『素手』『武器なし』といった具合で
これに関しては純粋にロボット系では参考にしにくいほか、実際にクウガを操作してみた感覚として、魔法や気功の素養は無いのではと判断したのだ。
「となると、プロレス技とかも選択肢に入ってくるかあ?」
そんな感じで暫く考察を進めていく途中、ある情報を思い出す。
「……そうだ飛蝗男だ」
「あれについても調べないと」
記憶を辿り、関連する情報を頭に浮かばせる。
『飛蝗男』
今まで見た動画でも比較的よく目にするユニットだ。
他には『始まりの男 仮面ライダー1号』という呼び方も見られた。
そういえばあの試合でも、文香が『飛蝗男』と口走っていたような気がする。
確かによくよく思い返してみれば、共通点は多い。
外見や戦闘スタイルだけでなく、蹴り技が強くなる特性まで同じだ。
しかしこれで直接の関連性があると断定するのは早計だろう。
飛蝗男のページを閲覧してもクウガに関する情報は見当たらなかった。
「んー、これは……準共通因子……か?」
単なる“並行世界の別人”とは違う。
一部の因子が共通しているだけの、別世界の赤の他人。
それがこの世界の技術者達の見解である。
そして、そういった特性に対して便宜的に付けられた名称が準共通因子であり、俺は五代さんがこの分類に入ると判断した。
「いや待て、戦闘スタイルだけでも同じなら参考にする価値はある」
それこそ準共通因子でなくともだ。
とりあえず後で飛蝗男も含めた格闘系ユニットの試合動画を漁ろう。
そういえば、飛蝗男の方は専用のバイクが存在するのが普通だった。
五代さんにもそれに該当するものがあるのだろうか。
こちらは後々検証でもするとしよう。
「……あーそれと、五代さんちょっといい?」
スマホを取り出す要領で彼のカードを手に取り、呼びかける。
「どうしたの?」
イラスト枠にあたる部分に、五代さんの顔が表示された。
「昨日の試合のことなんだけどさ」
僅かに間を開け、切り込む。
「……もしかして、試合するのが嫌だった?」
試合中での彼の言動や挙動を自分なりに分析した結果、その結論に辿り着いたのだ。
「……………………」
彼の顔が僅かに硬直するのを見逃さなかった。
朗らかさや愉快さとは無縁な険しい表情。
無遠慮な事を聞いてしまったと申し訳なさが込み上げてくるが、ぐっと堪える。
ここで彼の不具合?の原因を特定できないことには、何も始まらない。
「……うん、闘うのは、あんまり好きじゃない……かな」
拷問でも受けたかのような声色で、重々しく吐露した。
「すみません五代さん」
聞かれたら嫌な事を無理矢理聞き出すような真似をした事に謝罪する。
だがこうでもしなければ事態は進展せず、ズルズルと引きずってしまうだろう。
更にいえば、五代の思考については薄々勘付いていた。
召喚してから初対面の時点でどこかよそよそしく、表面を取り繕っているような仕草は何度か見られたのだ。
「けど、ありがとうございます。正直に話してくれて」
兎に角一歩前進。
いざ試合の時あの白い姿になったのもそれに由来しているのだろう。
原因は発覚した、次はそれにどう向き合うかだ。
「とりあえず、当分の間は試合に出さない方針でいいですね?」
「いやちょっと待って」
「?」
なぜ、と聞く前に五代は続ける。
「……実を言うとさ、自分でもよくわかってないんだよね」
「えっと……それってどういうことですか?」
それから五代さんは、彼らしくないたどたどしい口調で話し始めた。
「要するに、相反する感情がせめぎ合ってるってこと?」
「そんな感じだね」
五代さんの言葉を整理すると『暴力沙汰は死ぬほど嫌』な感情と『試合楽しい!相棒と一緒に戦うの楽しい!』という感情がごちゃ混ぜになってしまっているらしいのだ。
前者は純粋に五代さん自身が抱えている思考で、後者はカードユニットとしての“個体差”と思われる。
どちらか一方だけならまだ良かったのだが、よりによって試合中に後者の感情が湧き始めたせいであのような事態になったとのこと。
(その上で心配かけさせまいと振る舞えるなんて、ホンっとに人ができてんだなぁ)
自分だったらもっと無様に慌てふためいてただろう。
「でも話を聞いてくれてありがとねヤス君、かなり楽になったよ」
人に話せばスッキリするってやつか。
自分がその相手になれたのなら重畳だ。
「もう大丈夫。明日には気持ちの整理はついてると思う」
眩しい程の笑顔だ。
今度は偽りのない、こちらも釣られて破顔しそうな笑顔だった。