R-18、気になる人は見ていってね。
「よっしゃぁぁぁぁ。おい祐治いるか!!」
セザールとの意見交換の後、特にやる事がなかったのでアリーナに戻り永遠と最大難易度で標的を撃ち抜いているとアリーナにに取り付けてあるスピーカーから大音量で良蔵の叫び声が聞こえてきた。
「ちょっと良蔵、そんなに叫ばなくたって聞こえるわよ」
「そうか、すまねぇ。おい祐治ちょっと戻って来い」
「はい」
良蔵とアニーに呼ばれ、祐治はアリーナから研究所へと向かった。
「お待たせしました」
「おう、とりあえず俺達付き合うことにしたからな。体の相性もばっちりだったぜ!!はっはっは」
「ちょ、ちょっと良蔵!!そんな事は言わなくていいのよ!!」
「おーすまんすまん。おい祐治、俺のアニーにてぇだすなよ?」
「良蔵さん先程よりも職人っぽい顔になりましたね」
「な~に?こいついいやがる!!」
そういうと満天の笑みを浮かべ祐治の背中を何度も叩く。
「うんこれで一件落着だね?で、肝心のショットガンの方はどうなの?」
「んなもん出来てるに決まってんだろ、最高の出来栄えだぜ?」
良蔵が不敵な笑みを浮かべ手に持ったリモコンの様な物のボタンを押した。
「アリーナを注目!!」
その言葉につられアリーナを見ると証明が落とされ、スポットライトが中央にある円形の床を照らす。
「あれ?このアリーナにこんな機能あったかしら?」
「俺が頼んだ」
「僕がやった」
「は?この短時間で?」
「いや?朝からずっとこれをやってた」
ずっとPCに向かって何かを打ち込んでいると思っていたらこれのためだった。
「なにやってるのよ....」
アニーがこめかみに手を当て嘆いている。
「さぁさぁ出てくるぜぇ。俺が初めて作ったIS用の散弾銃が」
ガコッ、という音と共にスポットライトに照らされたアリーナの中心から水蒸気のような白い煙が勢いよく噴出し始めた。
「ねぇ、ちょっとやりすぎじゃないかしら?」
「いや、だって暇だったし?」
「カッコいいじゃねぇか」
「デュノア社って社長が行方不明で経営危機で結構やばいのに、どうしてあんた達はそう暢気なのかしら」
「あの、その話初耳なんですけど。私部外者なのにその話を聞いても良かったのでしょうか?」
「ん~まぁ社長がふらっといなくなるのって良くあることだし?いいんじゃない?」
「そうね、それに戦場太郎は我々の仲間よ!!部外者なんて寂しい事みわないでちょうだい」
「は、はぁ....気にしないでおきます」
デュノア社は第二世代機の傑作機でもある<ラファール・リヴァイヴ>を作り出した事で自社の地位を磐石の物としたが、各国各社、第三世代機の研究開発に余念が無く、すでにいくつかの国では独自に第三世代機を開発しIS学園に送り込んでいるという状況。
そんな中でデュノア社の第三世代機の開発は遅れている、というのが世間一般の人々の知るところである。
だが祐治は実際にデュノア社に来て、[皆余裕がある]と感じた。
世間では経営危機だ、国からの援助が打ち切られた、等とデュノア社を危惧する声が多く聞こえている。
祐治もそういった話を聞いていたのでデュノア社の人間は躍起になって第三世代機の開発に打ち込んでいるものだと思っていたが、初日のオフラインイベント、食堂での周りの雰囲気、祐治の専用武器を開発している三人。
これらを見ている限りでは世間一般の経営危機、といったものの気配は一切感じられなかった。
なので社長が不在、もとい行方不明と聞かされても特に大きな問題でもないと思ってしまった。
祐治がそんな事を思っている中、アリーナの中央にある円形の床が円錐状にせり上がり、その中に祐治の専用武器が納められていた。
「よし、祐治あれを取りにいけ」
その言葉に頷き、祐治はラファール・リヴァイヴを身に纏い、円錐状の入れ物の前に降り立つ。
「とりあえず手に取ってくれ」
良蔵の言葉に反応するように、円錐状の入れ物からショットガンが現れ、言われたとおりにそれを手に取る。
見た目はごく一般的なストック付きのショットガン。
銃身の下にチューブ型の弾倉をもち、フォアエンドを前後させて装填、排莢を行うポンプアクション方式のようだ。
フォアエンドには着脱可能なフォアグリップが装着されおり、ISの手でも簡単にフォアエンドを前後させることが出来そうだ。
グリップは<コルティア>の形状に良く似ており、とても握りやすい。
そして祐治が狙いを定めるときにISの射撃補佐を使わないためオープンドットサイトが取り付けられている。
実際に構えてみてとても扱いやすそうなショットガンだと思った。
「どうやら気に入ったようだな」
「えぇ、まさか本物のショットガンを手に取る日が来るなんて夢にも思ってませんでしたから」
「そうかよ、そりゃあよかった。ちょっとそいつの説明をさせてくれや」
「その散弾銃はいくつかのセザールのデータ、グリップ類がいい例だな。それから俺の持つ散弾銃の技術のノウハウを持って産まれた正真正銘の散弾銃だ。
だが問題があって、このセザールが頭のおかしいショットシェルを開発したもんだから、それに耐えるだけの物が中々作れなくてよぉ、まいっちまうぜ」
「そう言わないでくれよ、僕が必死に考えたんだからさ。それにこうやって完成したんだからさ」
「まぁな。でまぁ本当は使いやすいように弾倉方式の、半自動もしくは自動散弾銃にしたかったんだけどなぁ。
なにせセザールの持ってきたショットシェルが4ゲージ4インチ弾でよぉ、こんな馬鹿でかいショットシェルを扱う散弾銃なんて作ったことねぇから大変だったぜ。
その結果がポンプアクション方式と、ISのシールドエネルギーとPIC制御を使うってことなんだが」
「まぁ、簡単に言えば撃つたびにシールドエネルギーが減るってことだね。PIC制御に関しては射撃補佐の演算力を回せば十分に対応できたから気にしないでいいよ」
「んでよ、ISで持ってるから気にならねぇと思うが、それ結構でけぇんだよ。
4ゲージ弾を使うって事で口径が九十九まででかくなっちまったし4インチなんて長さがあるもんだから弾倉も4発入れるために大きくしなきゃいけなかったしよ。
まぁ、色々あったけど完成したもんがそいつ<アギト>だ」
「それじゃ、気乗りしないけど模擬戦と行きましょうか」
良蔵の説明を聞き、<アギト>を構えたり眺めたりしていると、どこからとも無く<ラファール・リヴァイヴ>を身に纏ったアニーが現れた。
「戦場太郎、忠告しておくと、アニーは元代表候補生だから結構強いよ?それに戦場太郎特製射撃補正と偏差撃ちの補助プログラムが組み込んであるから」
「そう言う訳だから、手加減無しよ!!」
「望むところです!!」
所詮補助プログラムだから大した差はないだろうと、アニーの実力のみを気にかける祐治であった。
「あぁ、そうだ。今使えるショットシェルだけど、バックショット、散弾とサボスラッグの二種類と、バックショットプライムとサボスラッグプライムの二種類ね。だけどプライムの方は危ないから使わないでね?一応一つだけ拡張領域に入ってるけど合図するまで使わないで」
「わかりました」
「おい、そのプライムなんとかってのは聞いてねぇぞ?」
「まぁ、研究ついでにね?」
「まぁいい。そんじゃ早速始めてもらおうか」
アリーナ上で向き合った祐治とアニーは試合開始のブザーと共に演習を開始した。
祐治の構えている武器は<アギト>一方アニーは<ヴェント>。
演習開始のブザーと共に<アギト>から放たれたバックショットのベレットは確実にアニーへと命中する。
(このバックショットはベレットの大きさが大きくて広がり方もISの大きさ分だけ縦長の長方形に広がっていくから散弾とはいえ威力は申し分ない)
四発のバックショット弾を撃ち終えた祐治はフォアエンドを前に突き出し、排夾口から手に量子転送されたサボスラッグを一発ずつ込めてゆく。
「凄い威力ね、さっきのでシールドエネルギーが三分一持っていかれたわ」
「まぁ、その距離だし、殆ど全てのベレットに当たったみたいだしね」
どうやら<アギト>の威力を測るためにわざと当たってくれているようだ。
「それではお次はスラッグです」
装填を終えた祐治はアニーへ狙いを定めスラッグ弾を頭部へと放った。
「っ!?」
<アギト>から放たれたスラッグ弾は見事に頭部へ命中、4ゲージという馬鹿でかいショットシェルから放たれたスラッグ弾はその莫大な運動エネルギーをISのシールドエネルギー越しでもアニーの体へ衝撃を伝え、首を大きく反らさせた。
「いっつぅ....」
「それじゃもういっ「やめて!!もう無理」
首が思いっきり後ろに反れ、痛そうだなと思いつつもう一発撃っておこうかと思ったがアニーの悲痛な叫びに中止せざる終えなくなった。
「痛そうだな、あれ」
「実際痛いんじゃない?」
「なに暢気な事言ってるのよ!!どーしてシールドエネルギー越しでこんなに痛いのよ。もう威力は十分分かったでしょ、こっちからも手を出すわよ」
「おうおう、熱くなってるじゃねぇか」
戦闘態勢に入ったアニーの<ヴェント>から放たれた弾丸を祐治は真横に回避する、そして反撃を、と思ったところでアニーの振り向きに追いつかれ何発か被弾してしまう。
「完全に避けたと思ったんだけど...っと」
それでも被弾しないように何度も急激な方向転換を繰り返し被弾を減らして行く。
「予想以上だね」
「あれが射撃と偏差撃ちの補助プログラムってやつの恩恵か?
「そうゆうこと。まぁアニー自身の射撃の腕がシャルロットより高いって言うのもあるけど、それにしてもあそこまでじゃない」
「避けきれないなぁ」
「どうしたの戦場太郎、手も足も出ないのかしら?おーっほっほがぁ!!」
調子に乗って僅かに隙が生まれたその一瞬を逃さず、祐治はアニーへ、スラッグ弾のHSを決めて見せた。
「おいアニー、女の子がそんな声出すんじゃねぇよ.....」
「くくく、あーっはっはっは」
呆れる良蔵とお腹を抱えて大笑いするセザール。
「う、うるさいわね!!」
「アニー、そんな物に頼って戦って万が一勝てたとして貴方はそれでいいのでしょうか?プラネット・フィールドではプレイヤースキル以外は平等です。
それで勝ってアニーは満足するのですか?」
「あー分かってるわよそんな事くらい、セザール、今すぐ補助プログラムを切りなさい!!」
「そうこなくっちゃね。さぁ切ったよ、思う存分戦ってよ」
補助プログラムが切れたことにより、回避行動中に射撃を命中させられる。といった事が無くなったとはいえ、元代表候補生であるアニーの腕前は本物でシャルロットよりも強いと感じた。
「そこだぁ!!」
「あまいわ!!」
不調だったシャルロットと違い、場数を踏んだアニーの巧みな回避行動の前に、流石の祐治も百発百中とは行かず、スラッグのHSを外したり散弾も長方形状に広がるため横移動で回避行動を取られると半分以上が当たらなかったり、アニーの回避行動を読んだ射撃に被弾が増えてきた。
「なかなかいい勝負するじゃねぇか」
「うん、アニーの場合代表候補生だったときより腕が上がってるね」
「そうなのか?」
「うん、思い悩む事も無く、伸び伸びとやりたい事をやってるからかな?」
「なんで俺のほうを向くんだよ」
「べっつにー?」
アリーナをモニタリングしている良蔵とセザールを他所に、祐治とアニーの演習は激しさを増す一方だった。
アニーは祐治の圧倒的な射撃効率を警戒し、辛抱強く隙をうかがう。
祐治もショットガンの装填に慣れてきたのか、隙の大きかった装填中にも回避行動を取れるようになり、時間と共に隙が減っていく。
それ以外にもアニーが四発撃ち切るのを待っているのに気がつき、撃ち切る前に隙を見つけては一発でも二発でも装填をするようになったためお互い相手の隙を作り出すためにに圧力をかけ、隙の探りあいを行っている。
「アニーのラピッドスイッチも極まってんなぁ」
祐治が苦戦している要因の一つにアニーの<ラピッドスイッチ>がある。
本来銃器の装填には弾倉を外す、手に予備の弾倉を量子展開する、弾倉を込めるといった動作が必要なのだが、アニーは二丁の<ヴェント>を使い装填の隙を無くしている。
構えている<ヴェントA>撃ち終えると、<ヴェントA>を拡張領域に量子転送し、それと同時に<ヴェントB>を展開する。
<ヴェントB>を撃ち終えたら、それを拡張領域へ量子転送し、装填された<ヴェントA>を展開すると言うのを繰り返しているため永遠と撃ち続けることが出来るため祐治は中々攻勢に転じられないでいた。
「はぁ、疲れたわ.....」
「おう、お疲れ」
先程の演習を終え、簡単な反省会のようなものを終えアニーと良蔵は研究室で休憩している。
「まさかあそこまで避けられるとは思って無かったわ」
先程の演習は祐治の勝利に終わった。
アニーの<ラピッドスイッチ>には隙こそ無いものの、拡張領域の容量には限界があり、量子転送された弾薬を撃ち尽くしたアニーに祐治が<サボスラッグプライム>撃ち込んで勝負が付いた。
「しっかしあのプライム何とかってのは恐ろしい威力だな」
「そうね....」
弾を撃ち尽くしたアニーに対してセザールからの提案で<サボスラッグプライム>を使う事になったのだが、その時にセザールから「絶対に生身の部分には当てるな」といわれたので腰のスカート部分を撃ったスラッグプライムはシールドエネルギーを無視しスカート部分を根こそぎ破壊するという恐ろしい威力を見せしめた。
「最後に撃ったスラッグプライムって何なんですか?」
「あれかい?んー、企業秘密」
そういいながら研究室に入ってきたのは祐治とセザールとじぃや。
「お疲れ様です」
「ん、お疲れ」
そういって祐治は手に持った飲み物をアニーと良蔵へ手渡した。
「じぃや、何か話があるんだって?」
「えぇ、是非聞いてもらいたいことがありまして」
「社長の居場所でも分かったのかしら?」
「そんな事わざわざ言いに来るわけねぇだろ」
「そ、そうだけど」
「まぁまぁ静かに」
いつもの夫婦漫才が始まったのをセザールが収め、神妙な面持ちをしたじぃやの口が開かれるのを静かに待つことにした。
「わたくしと優秀な協力者の協力で重大な問題が発覚したのでお伝えに参りました」
その言葉に先程まで穏やかだった研究所の空気が一瞬にして張りつめ、皆じぃやの言葉に釘付けになった。
「明日、ドイツ軍IS配備特殊部隊シュヴァルツェ・ハーゼが秘密裏に鉱山を強襲しに来ます」
「え?鉱山?鉱山て何のこと?」
鉱山、という単語に覚えが無い良蔵とアニーは状況が良く理解できないでいた。
「それは秘密鉱山の事でいいんだよね?」
「仰るとおりです」
「しかしいくらなんでもISを持つ軍が他国に侵攻するなんて事は....」
「ですから強襲です。フランスデュノア社内部で極秘に人体実験を行っている、という節の情報を社長夫人がドイツ軍に密告した様なのです」
これは面倒な事になりそうだ。その場にいる全員がそう感じた。