IS 散弾の閃き   作:mizurahi

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14話 廃人の恩返し 中編

「そろそろお目見えのようですね」

 

現在隠れ小屋の中では祐治とじぃやがモニターに表示されているシュヴァルツェ・ハーゼの動きを見ながら作戦開始の頃合を計っていた。

 

「それではそろそろ行きますか」

 

まず祐治が副隊長であるクラリッサをおびき出すために一芝居打つ必要があるため秘密鉱山の入り口へと向かい、二重扉の手前側一枚を開き内部で待機する事になった。

 

「それじゃシノン、いい所で合図をよろしく」

 

「はいは~い、任せて」

 

作戦開始を待つのは祐治とじぃやだけではない。

 

「ん~良好良好。こちらアニー、黒兎ちゃん達を確認後は戦場太郎しだいってとこね」

 

「こちらセザール、アリーナの罠も準備終わった」

 

「こちら黒兎ちゃん歓迎部隊、各員配置に着きまし「野郎ども、黒兎ちゃん達を盛大に歓迎してやろうぜ!!」

      「「「「「おぉぉぉぉぉぉ!!!」」」」

 

「じゅ、準備は万端です」

 

祐治たち黒兎ちゃん歓迎部隊はISのコアネットワークを応用した《直接通信》というものでお互いの状況を密に報告しあう。

この《直接通信》というものは既存の無線技術とISのコアネットワークを使用した通信技術を合わせてデュノア社が開発した新世代の通信技術で秘匿性の高さがずば抜けて高く携帯装備程度での傍聴は不可能なレベルである。

 

「それじゃゆうくん、そろそろ作戦開始と行きましょうか」

 

「よし判った。こちら戦場太郎、作戦行動を開始します。皆さんのご助力を期待しております」

 

高らかに宣言した祐治はじぃやと共に秘密鉱山の一枚目の扉から外へ出るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お姉様、目標から誰か出てきました、ハイパーセンサーを使って会話を傍受します」

 

「頼んだ」

 

(目標から出てきたという事は研究に関わっている可能性が高い。これで有益な情報を手に入れられれば余計なことをしなくて済むのだが....)

 

「お姉様!!会話の傍受に成功しました」

 

その言葉にクラリッサを含むシュヴァルツェ・ハーゼの面々が傍受された会話に集中した。

 

 

 

「それでは、このデータを必ずや社長の下に届けてください。これはわたくしが長い年月をかけて集めたものです、必ずや社長の期待に答えられるでしょう」

 

「......」

 

 

 

 

「よし、あのデータは研究データである可能性が高い!!目標を直接調べる部隊とデータを奪う部隊に分けて作戦を開始する。私が飛び出してデータの持ち主に襲い掛かる、その後は逃げ道を塞ぐように各員展開する事。そしてそれと同時に別働隊として直接目標へと向かい中を調べる部隊を、アリサ、君に任せるぞ」

 

「はい!!お姉様」

 

こうしてクラリッサが重要な研究データと勘違いしたものは特に重要なものでは無いが社長がどうしてもとじぃやに何度も頭を下げて欲しがったデータである。

内容を知っている祐治とじぃやは真面目中をしているが内心では笑いを堪えるのに必死なのである。

 

(祐治様、笑ってはいけませんよ)

 

(わ、判っています。くっ...ふふ、早くしてくれ黒兎、そろそろ我慢の限界だ)

 

「そこを動くな!!」

 

祐治の願いがかなったのか我慢の限界を迎えようとしていた瞬間待ち焦がれていたクラリッサがISを身に纏って現れた。

 

「な、何者だ!!」

 

「そんな事などどうでもいい。その手に持ったものをこちらに渡せ、そうすれば命だけは助けてやる」

 

「まさかこのデータの存在を知るものがいようとは!!三十六計逃げるに如かず、じぃや!!」

 

「お任せあれ」

 

「逃がさん!!!っつ!!?」

 

逃げの一手を打った祐治を追いかけようとしたクラリッサだったがスラスラーに火を入れようとした瞬間強力な閃光を浴び、ISのハイパーセンサーが麻痺してしまった。

 

「何が起きた!?何も見えないぞ、どうなっている!!」

 

「お姉様落ち着いてください、データと目標へは別働隊を向かわせています。こちらで確認したところ、それは強力なIS用のフラッシュグレネードといったところでしょう。生身の人間には殆ど効果が無かった様ですが私のISも一時的に麻痺してしまって援護が出来ない状態.....」

 

「アリサ?アリサ!!返事をしなさい!!通信機能までやられたのか?」

 

ハイパーセンサーの麻痺はほんの数十秒であったがすでに祐治の姿は無く、じぃやもその間に隠れたため秘密鉱山の前には誰もいない状態となっていた。

 

「セコイまねを....」

 

アリサとの通信が回復しない事を疑問に思いつつも信頼している部下なのでこの場は彼女に任せ、自分は祐治を追う別働隊へ合流するためにその場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お姉様!!お姉様!!!どうして通信が....センサーも麻痺どうしよう」

 

デュノア社特製のIS用閃光弾の威力はすさまじ着弾地点のすぐ傍にいたクラリッサだけでなく少し離れた物陰でISを展開してハイドモードで待機していたアリサのISにまで効果が及んでいた。

通信だけならばISを解除しても使えるのだが、見知らぬ土地で視覚を奪われた恐怖でISを解除できなかった。

そんな中でも動ける歩兵部隊二つに命令を下しセンサーが復活しだい自分も向かうという判断をした。

 

「よし、センサーが復活した、このまま目標にっと、あれ?」

 

目標に向けて歩き出そうとするが足が動かない、何事かと下を見ると何か糸のようなものが絡み付いていた。

絡まった糸を外そうと下を向いた瞬間頭上からの襲撃をハイパーセンサーが捕らえる。

 

「もらったわ!!」

 

頭上からの襲撃者はアニー。

右手に《グレート・スケール》を展開し、真っ逆さまにアリサへ急降下していく。

 

「もしかして読まれていた?」

 

《グレート・スケール》から打ち出される杭を受け、絶対防御が作動し、意識が薄れる中アリサはそんな事を呟いた。

 

 

「よし、こっちは終わったわよ。戦場太郎、あとは任せたわ」

 

《グレート・スケール》から空薬莢を取り出すと、意識を失ったアリサを研究所まで運び始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まちなさーい!!」

 

「まてー!!」

 

「ま、まってください~」

 

今祐治は眼帯をつけた非常に可愛らしい三人の追撃者に追われている。

 

「なんだか妙に可愛らしい方達ですね、癒される」

 

「ゆうくん結構余裕だよね」

 

祐治を必死に追いかけてくる三人はドイツ軍に属しており本格的な訓練なを積んでいるはずだが、幼少の頃より体育会系の両親に鍛え上げられた祐治は単純な体力勝負でならば男性隊員とも張り合えるほどなので可愛い追撃者が追いつくことなど元から不可能な話であった。

 

「あの人早すぎだよー」

 

「お姉様が来るまでに捕まえるのよ!!」

 

「はぁ、はぁ、あのっそろそろ体力が」

 

すでに走り始めてから十分が経過していた。

祐治としては朝錬より少し早い程度で走っているのだが可愛い追撃者さん達はすでに息を切らし、すでに限界に近い状態だった。

 

「それじゃゆうくん、そこの建物を曲がったら彼女たちを振り切っちゃおうか」

 

「まかされた」

 

正面に見えてきた建物を指差したシノンの作戦通りに建物を曲がると祐治は足に力を込め、80kgを超える肉体とは思えないほどの加速と速度で一気に三人を突き放した。

 

「なぁ!!?」

 

「はぁ!!?」

 

「あぁ、はるかかなたに~」

 

彼女らが建物を曲がった頃には祐治はすでに100m以上先を走っており、限界だった彼女らは、あまりの実力の差にその場に倒れこんでしまった。

 

「まだあんなにも余力を残していたなんて....」

 

「これは驚き!!」

 

「はぁ、ふぅ....もう、動けな....なにか良い匂いがしませんか?こう、洋菓子的な....」

 

その言葉に三人は鼻を鳴らし、匂いの元を探し始める。

 

「いや~中々上手くいきませんね」

 

「そうだな、ここはその手のプロに話を聞くべき.....ん?」

 

鼻を鳴らし匂いの元を探していると建物の中からエプロンを着け、甘い香りを見に纏った二人の男が出てきた。

そして倒れこんでいる三人をまじまじと観測する。

 

「その道のプロ、というのは彼女らのことを言うのではないか?」

 

「ふむ」

 

(くっ、ばれたか!?こうなったら実力行使で!!)

 

(着剣!(ちょっと待って~、様子が少し変だよ)

 

「よし、君達ちょっと手伝ってくれないか?」

 

(こうなれば罠でも何でもいい、何とかして研究の証拠を掴む!!)

 

(了解!!)

 

(はい~)

 

そんなこんなで黒兎隊の三人はデュノア社員に連れられて甘い香りが漂う建物内へと入っていった。

 

これが罠とも知らず.....

 

建物内に入ると社員に連れられ、とある部屋へと案内された。

その部屋は二十畳ほどの広さがあり、入った正面にはカウンターがあり、奥には厨房が広がっている。

そして白を基調とした清潔感のある内装と、いくつかのテーブルセットが置かれている。

黒兎隊の三人はそのうちの一つに腰掛ける事を促され座ると社員二人は厨房の奥へと消えていった。

 

「い、一体こんな場所で何をされるのか.....」

 

相手の考えがまったく読めず不安ばかりが募る強気な少女。

 

「隊長!!撤退なさいましょう!!」

 

いちいちリアクションが大げさな少女。

 

「ん~、でもいい匂いがします。ちょ、ちょっとお腹がすいてきちゃったかな~....なんて」

 

小さくお腹を鳴らし、警戒心よりも食い気が勝っているロリ巨乳でおっとりとした性格の少女。

 

「はい、おまたせ」

 

期待と不安が入り混じり、そわそわと落ち着かない黒兎隊の三人が一斉に声のする方向を振り向くと、先程厨房に消えていった二人の社員がお盆いっぱいに乗った色とりどりの甘味を持って現れた。

 

「さぁ、これを食べて意見が欲しいんだけど、どうかな?」

 

「食堂にデザート類を増やしたいんだけど、食べる人の意見が聞いてみたくてね」

 

黒兎隊の三人が座るテーブルに置かれた大量の甘味を指差しながらデュノア社の社員が説明するが、三人はケーキ、プリン、クレープ、アイスクリーム、ジェラートといった様々な甘味に釘付けでそれどころではなかった。

 

(い、一体いどういう事だ....そうか毒か、毒を盛ってあるんだな!!)

 

(美味そうだ!!)

 

「そういうことなら、いただきま~す「お、おい!!」

 

「ん~、おいし~です」

 

「美味い、美味すぎる!!」

 

警戒して手をつけるか迷っていた強気な少女とは逆に、言われるがまま適当な甘味を選び、口に運んだロリ巨乳の少女は口いっぱいに広がる甘味の美味しさに幸せそうに顔を綻ばせ、それにつられるようにリアクションの大げさな少女が適当に選んだ甘味を口に放り込むと大げさに美味しさを口にした。

 

「うんうん、反応は上々だね。君は食べないのかい?」

 

「食え、美味いぞ」

 

「そうですよ~、こんなに美味しいケーキ初めて食べましたよ、こっちのプリンも....おいし~」

 

毒が盛られているのではないかと警戒していた強気な少女だったが、目の前で美味しそうに頬張る二人を見て食べたいという欲求が大きくなってきた。

そんな気持ちを見透かしたように甘味を美味しそうに食べていた二人が適当なものを選び、強気な少女の目の前に甘味を差し出し、食べる事を促す。

 

「ん~~~~!!お姉様に叱られても知らないからな!!」

 

そういって差し出された甘味にかぶり付く。

 

「お、美味しい....これ美味しい!!」

 

「うんうん、気に入ってくれたみたいだね」

 

「やっぱりこういうのは実際に食べてもらわないとだね。ここに置いてあるものは好きなだけ食べていいからね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

>黒兎ちゃん歓迎部隊、三匹の子兎を確保。

 

>こちらアニー、IS一機を無力化。

 

「うんうん、順調だね。後はじぃやの鉱山と戦場太郎の副隊長か」

 

 

 

 

 

 

 

 




なんかデュノア社編長くなった、後1~2話と日常話を1話書いて終わりかな。

評価とお気に入りと感想ありがとう。お陰でUAの伸びがかなり良くなった。

やる気が出るよ、ありがとう。
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