IS 散弾の閃き   作:mizurahi

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そろそろ真面目に設定資料を作らないとやばい気がしてきた


19話 女尊男卑の煽り

「よし、お終いっと。おつかれラファール」

 

「ありがとうございます、ご主人様」

 

ここは格納庫の一角。

模擬戦の後、セシリアの発言に関する問題等があったが祐治の機転により代表候補生の立場を追われると言う最悪な結果は防ぐ事ができた。

そしてそんな祐治は現在、点検整備を終えたラファール・リヴァイヴに触れながらコアであるアファールと会話をしている最中である。

こうする事によってコアネットワークを介することなくISコアと直接会話をする事が出来ると言うのを整備中に発見した。

 

 

「さてラファール、一次移行で減ったシールドエネルギー対策の一環としてアギトを使った際に消費するエネルギーの改良案が出来たみたいだ」

 

「えーっと、そうですね先程連絡がありましたよね。少しの間離れ離れで寂しいです」

 

「そう、だからいつもより丁寧に時間をかけて綺麗にした」

 

「はい、ご主人様の愛をいつもより感じました!!」

 

「それはなにより」

 

「それでご主人様、私が留守の間にとあるコアをお願いしたいのですが」

 

その言葉にラファールの専有領域にお邪魔した際に頭の中に流れ込んできたシステムボイスを思い出す。

 

「それはコアナンバー22の事か?」

 

「はい、コアナンバー022。彼女は人間を嫌っている節があるので....見て貰えれば理由はわかると思います。どうか彼女も私と同じ様に愛してあげてください」

 

ISコア、篠ノ之 束以外に製造方法を知る者はいない。

それに不確定、未解析な部分が多すぎてその全貌は闇に包まれている。

だがこうやって人と会話しているのと何ら変わりの無い知性を持っているのだから人と同じ様に好き嫌いがあることぐらい容易に想像できる。

それに全ての人が祐治のようにコアと会話できる訳でもなく、そこらへんに転がっている物と同様にしか思っていない人達だっている。

きっとそのコアナンバー022はそんな人達に扱われてしまったんだろうと祐治は思うのであった。

 

「ラファールの頼みだ出来る範囲で何とかしよう」

 

「はい、お願いします。それでは私は彼らの下へ向かいます」

 

「あぁ、待っているからな」

 

そして祐治が手を離すとラファール・リヴァイヴは光に包まれ一筋の稲妻のように天高く舞い上がった。

 

そしてすぐにセザールから直接通信(チャント)がかかってきた。

 

『あーあー、戦場太郎。なんか今君のラファールがこっちに飛んで来たんだけど』

 

『えぇ、そっちに向かうって言ってましたよ』

 

『ん?言ってた?.....まぁ詳しく聞くと長くなりそうだから後にしておこう。確認が取りたかっただけだから。それと改修はそんなにかからないと思うから』

 

『よろしくお願いします』

 

セザールからの確認の直接通信を切る。

 

「シノン。コアナンバー022の場所って判る?」

 

「うん、判るよ~案内するね」

 

「よろしく、それとISコアと喋る事って普通にしている事なんじゃないのか?」

 

先程の会話でセザールがISコアと会話をしている旨を伝えたときに驚いていたのが気になったのでシノンに聞いてみることにした。

 

「知性があるって言うのは判ってるけど、ゆうくんみたいにコアネットワークの専有領域に呼ばれて対面したり会話したりって言う例は聞いたことが無いかな」

 

「そうか....それじゃさっきの遠隔コールの反対みたいな現象は?」

 

「それもない、と言うか遠隔コール自体前例が少ないからね~」

 

そう言う事ならなるべく黙っていたほうがいいだろう、唯でさえ世界で二人しかいない男性IS操縦者なのにISと意思疎通が出来るだなんて広まった日には世界各国の頭のおかしな研究者達に追い回される日々を送りかねない。

 

そんな事を思いながら祐治は腕に装着してある端末から浮かび上がる立体映像の矢印に沿って目的のコアナンバー022の待つ場所へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これは....酷いなぁ」

 

シノンの案内の下、やって来たのはとある整備室。

この整備室にはISを整備するための工具等が乱雑に置かれており、それらも埃を被っていてしばらく使われていないと言うのが一目瞭然であった。

そしてその部屋の中心に鎮座してあるのがIS《打鉄》。

世界に467個しかないISコアを使った世界で今最も貴重なこのIS、だがここに鎮座している打鉄はそんな事を思わせないほどに汚れ、傷つき埃をかぶっている。

 

「この娘はね、この学園の整備課で使われていたんだけど、そこの生徒達があまりにも酷い扱いをするから自身の専有領域に篭って表に出てこなくなっちゃったんだよ。それを原因不明の一言で片付けて原因究明もしないままここに放置。世界各国で喉から手が出るくらい欲しがってるのに暢気なものだよね~」

 

「女って言うのはこれだからダメなんだよな~。物を手段としてしか見れないからな」

 

全ての女をそうだと決め付けるわけじゃないけど、そういった傾向が強い。

例えば車、女にとって車は移動手段でしかないけど男にとっては違う。

 

苦楽を共にする 《相棒》

子供の頃から憧れ、いつかはこんな車が欲しいと目標であり 《夢》

カッコいい車に乗って自分好みの車にしたい 《浪漫》

これさえあれば生きていける、これ以外は何もいらない 《宝》

車一つとっても様々な思い入れがある。

もしISが『女だけ』ではなく『男だけ』に使えたとしたらここまで世界は歪んだ思想で溢れる事は無かっただろうと、好き勝手に弄繰り回した挙句に放置された目の前の打鉄を見て、そう思う祐治だった。

 

「とりあえず綺麗にする事から始めるか、ではシノン、いつも通り協力よろしく」

 

「あいあいさ~」

 

「では外装を取りはずしていこうか」

 

放置されているとは言え、整備機に据えられていたのが唯一の救いであった。

 

「整備機を起動して、失礼しますよ~っと、痛っ!!」

 

祐治が外装を取り外すために打鉄に触れると、電気が流れたような痛みが走る。

 

「僅かなエネルギーをそんな事に使うなんて強情だね」

 

「それではどちらが先に音をあげるか勝負と行くか!!」

 

そう言うと祐治は二三度深呼吸をし、気持ちを落ち着かせると右手で外装に触れる。

 

「んんんんん!!!」

 

「ちょ、ちょっとゆうくん!!何やってるの!!」

 

シノンの叫び声が響くが祐治は打鉄に触れた手を離そうとはしない。

最初は痛みだったが、それが効かないと判断したのか打鉄から不可視の波動のようなものが発せられ祐治を吹き飛ばそうとする。

だが鍛え抜かれた下半身がそれに負けじと胆力を発揮させ耐え抜く。

それに耐えた祐治は尚も抵抗する打鉄を両手で掴み離すまいと力を込める。

それを待っていたかの様に打鉄は痛みと波動を同時に発生させ、尚激しく抵抗する。

 

「ぐうぅっ!!この程度か打鉄!!」

 

シノンが必死で止めるように懇願するが祐治はそれでも打鉄に食い下がる。

 

一分にも満たない些細な争いであったが、それは打鉄のエネルギー切れで幕を下ろした。

 

「ふぅ、勝ったな」

 

「ちょっとゆうくん!!あんまり無茶しないでよ!!」

 

「え?あぁ、ごめんなシノン」

 

普段陽気で怒る、と言う事を一切しないシノンが声を荒げ怒りを露にする姿にたじろぎながらも素直に謝る。

 

「あのね、ゆうくん自分の腕を見て」

 

シノンに言われた通りに腕を見ると、前腕部を一周するように赤い線が走っていた。

 

「これは....蚯蚓(みみず)腫れ?」

 

「そんな生易しいものじゃないよ。それはコアがシールドを展開しようとした後だよ。残っているエネルギーがとっても少なかったから十分な出力が出せずに助かってるけど。もう少しエネルギーが残っていたらそこから先が切り落とされてたんだからね?」

 

シノンの言葉に赤く線の入った前腕部を良く見てみると、確かに薄皮が綺麗に切れており、段々と血が滲み出してきた。

 

「ごめんシノン、なんだか少し焦っていたみたいだ」

 

「もう、そうやってISコアの事を考えてくれるのは嬉しいけど、もう少し冷静になってよね?」

 

「はい判りました」

 

「それならよし、それじゃ彼女を綺麗にしようか」

 

本気で祐治の事を心配していたシノンだったが、彼が打鉄をこんな姿にした生徒達に怒っての行動だと言うのは良くわかっていたため、しっかりと反省している姿を確認すると、それ以上追及する事はなかった。

 

「ん~、これ交換したほうがいいかも?どうかなシノン」

 

「うん、そうだね。交換した方がいいよ。それから他にも交換したほうがいい部分をリストに纏めておいたよ」

 

「ありがとう、結構な量だな。整備課の奴らに頼むのは御免だし自分でやるか」

 

打鉄は外装自体も酷かったが内部は更に酷い状態で、適当に整備して動かしたためいたる所に歪が発生し内部機関の様々な場所で故障や破損が発生し、打鉄の売りであるナノマシンによる外装の自動修復機能も整備不良でナノマシン自体が駄目になっているという有様だった。

 

「さて、予備の部品は何処にあるのだろうか。シノン」

 

「部品を持ち出すには許可が要るみたい。整備課の人なら結構自由に持っていけるみたいだけど」

 

「仕方ない、整備課の人を探して利用するか」

 

整備をしようにも部品が無いとどうしようもない状態に陥った祐治は、整備課の人を探し利用するために一旦外へ出て整備課の人を探すことにした。

 

「ま、でもそんなに都合よく整備課の人がいるわけ「あ~きりりんだ~」

 

祐治をそのあだ名で呼ぶ人はこの広い世界でたった一人しかいない。

片手を挙げ、必要以上に長い袖を振り回しながら祐治に向かって歩いてくる本音。

そしてその隣には肩辺りで内側に跳ねた水色の髪にメガネをかけ、どこか儚さを感じる一人の女子生徒、簪が並んで歩いていた。

そして祐治はそんな簪の目に全てを見透かされているような不思議な感覚を覚えた。

 

「やぁ本音、一週間ぶりだね。それと隣にいるのは?」

 

「かんちゃん!!」

 

そういって本音はかんちゃんと呼んだ彼女に抱きつき屈託のない笑顔を浮かべて見せた。

 

「.....」

 

だがそんな本音を気にする事無く当の簪は祐治をじっと見据え続けていた。

 

「ん~?どうしたのかんちゃん」

 

「え?ううん、なんでもない。更識 簪、よろしく」

 

「こちらこそよろしく、桐島 祐治だ」

 

簪の自己紹介と共に差し出された手を祐治は同じ様に自己紹介しながら握り返す。

そんなやり取りをみて本音が驚いたような表情を浮かべていたが、特に心当たりもないし急ぎの用事があるため見て見ぬ振りをして本題を切り出す。

 

「本音、いきなりで悪いんだけど整備課に知り合いっていないか?今すぐに欲しい部品があるんだけど」

 

「それなら私が何とかできるよ!!」

 

それは好都合と祐治は、手に持っていた必要な部品を纏めた資料を本音に手渡す。

 

「お、多いね.....」

 

彼女の言う通り数は非常に多く、打鉄を一から作り上げるのと大差無い程。

そんな本音の持つ資料を横に立っていた簪が覗き込むと一瞬表情が驚いたようなものになる。

 

「さ、さすがにこの量をすぐには.....」

 

「これなら私が用意できる」

 

間違いない、彼は整備室に放置されたままの打鉄を修理するつもりだ。時間がある時にやろうかと思って部品だけは用意してある。

ただ私が調べたときよりも部品の数が増えてるからそれを追加しないと。

 

「本当か?いやー助かる。すぐにでも取り掛かりたいんだけど大丈夫か?」

 

「平気。本音、幾つか不足があるから頼める?」

 

「らじゃ~」

 

そう言って簪は資料の中から不足している部品を幾つか選び出し本音に伝えると簪を残してパタパタとどこかへ駆けていってしまった。

 

「付いてきて」

 

短い言葉の中に力強さを感じ、素直に簪の後ろに付いて行く祐治。

この時祐治の中では簪は非常に冷静沈着で口数は少ないが伝えたい事をしっかりと相手に伝える人だと判断したが当の簪は非常に混乱し、取り乱していた。

 

あぁぁぁ、どしようどうしよう。まさか戦場太郎が同い年で、しかも二人目の男性操縦者だったなんて。

ボイスチャットで声を聞いていて若いなと思ってたけど雰囲気とか話し方で10歳以上年上だと思ってたのに。あぁ伝えたい事が沢山ありすぎて纏まらない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここ」

 

簪の荒れきった思考など知る由もなく、祐治は打鉄が放置してある整備室とは違う整備室へとやってきた。

 

「ほう、これは?」

 

簪に連れられて室内に入ると中央にISが一機鎮座していた。

 

「打鉄弐式」

 

打鉄と名が付いている割には打鉄特有の重厚な印象とは真逆の作りだなと感るそれは、不必要な装甲を極限まで減らし軽量、高機動といった印象が強く出ていた。

 

「あそこにまとめてある」

 

だが簪は打鉄弐式には目もくれず、部屋の片隅に山のようにまとめてあるISの部品類を指差した。

 

「貰っていいのか?」

 

「うん、足りない分は本音が取りに行ってるから」

 

「そうか助かったよ。よし、早速運ぶとするか」

 

そう言って祐治は部品の山に近づき部品を幾つか担ぐと部屋を後にし、打鉄の待つ整備室へと向かう。

それを10往復ほど繰り返し、途中で本音が取りに行っていた不足分を受け取り必要な部品を全てそろえた祐治は早速、打鉄の修理に取り掛かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いや酷い。酷すぎるなこれは」

 

打鉄の修理作業は順調に進んでいる。

シノンの的確な助言もあるが、祐治もデュノア社でなんどもばらして点検して組み上げる、と言うのを繰り返していたため、打鉄であっても一度ばらしてしまえば組み上げるのは難しいことではなかった。

 

だが実際に全てばらして一つ一つの部品を点検していると今までどれだけ適当に扱ったらここまで酷くなるのかと思うほどに劣化した部品類をみて苛立ちが隠せなくなっていた。

 

「ほんと女って屑だな、これじゃISを身に纏っているときに不慮の事故で手足の一本ぐらい無くなっても文句は言えないぞ。そうだろ打鉄。

大体、女が男より優れている所ってあるのか?並列処理が得意って言ても男が50の速度で一つの物を処理するのに女は5の速度で4~5個同時に処理するだけだろ。

女は不器用すぎるだろ、なんだよこの適当な部品の取り付け方。フレームが曲がってるじゃないか。

女のほうが対G耐性が高いとか言うけど肝心の操縦技術が天と地ほどの差があるんだから意味ないだろ。

大体あんな情緒不安定な生き物に何をやらしたってダメなんだよ、ふざけやがって佑香を返せよ......」

 

祐治は苛立ちを抑えながらも段々と口調が荒くなり苛立ちをぶつける相手を整備した女子生徒から《女》に対象を変え、次々と祐治の口から女を批判する言葉が飛び出していく。

 

彼、祐治は妹である佑香を失ってから女全てを憎むようになり女性権利者団体の集まりに乗り込み皆殺しにしてやろうと計画していた時期がある。

それは夢に出てきた佑香に宥められ考え方を変えた過去があるが、心の奥底では女憎しの感情が消える事はなく、こうやって何かきっかけがあると感情が剥き出しになり歯止めが利かなくなる事がある。

 

だがその反動か、祐治が《女性》と認めた相手には最大限の敬意を持って接するようになった。

 

そんな怒りを露にした祐治を見つめる二つの影があった。

 

「きりりん.....」

 

「.......」

 

それは本音と簪の二人。

最初のうちは祐治の手際の良さや、本来やらなくても大した問題にはならない細かい手順すら飛ばす事無く丁寧に扱っていく姿に見とれていたが、段々と独り言が増え、女に対する怒りをぶちまける姿を見て複雑な心境に陥ってしまった。

 

「ねぇかんちゃん、きりりんどうしちゃったのかな?」

 

「え?何が?」

 

初日に少しだけしか話した事のない本音であったが、唯一敵意では無く好奇心を向けていたため祐治と普通に会話できていたし、本音から見て祐治はとてもいい人だと思っていたので、この変わりように酷く動揺してしまっていた。

 

簪はと言うと、本音とはまったく別で口では暴言を吐きながらも丁寧さと手際の良さがまったく変わらないところに感心しきっていた。

 

「何がって.....」

 

「あれ」

 

本音が必死で簪に訴えかけようとするが簪の指差した方を見て言葉に詰まってしまう。

 

「このワックス自転車のフレームに使ってるんだけど大丈夫だよね?戦闘機のキャノピーに使うために開発されたやつだし」

 

先程まで女に対する暴言を吐いていた祐治が、独り言を言いながら笑顔を浮かべ、打鉄の外装にスプレーの様な物を拭きかけ布切れで綺麗に拭きあげている最中だった。

 

「いい感じだ。つるつるだこれ」

 

どんな手品を使ったのか祐治が拭きあげた外装部品は拭いていない物に比べて明らかに光沢が出ており、それに驚いている二人を尻目に拭いたそばから組み上がっていく打鉄は今までに見たことも無いくらいに綺麗で美しかった。

 

「うわ~すごいすごい、なんか光ってるよ!!」

 

仕上がった打鉄を見て大げさに驚いている本音をよそに、祐治は打鉄を見上げると満足そうな表情を浮かべ、打鉄の外装に触れると糸の切れた人形の様にその場に倒れこんでしまった。

 

「「え?」」

 

 

 

 




祐治は女尊男卑の影響を強く受けたせいでこんな感じになってます。



お気に入りが200件を超えたので新作を書いていた。

活動報告で二択の簡単なアンケートを取っているから興味がある方はどちらか選んでね
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