IS 散弾の閃き   作:mizurahi

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 やっとできました新作
 前話を覚えてないって人が多いでしょうがよろしくお願いいたします



27話 交差する太刀筋と甲冑の乙女

 

 「緊急事態発生、緊急事態発生。学園内にいる生徒たちは先生の指示のもと速やかに安全な場所まで退避してください。繰り返します.....」

 

 けたたましい警報音と共に流れる避難を促す放送。

 

 「「....」」

 

 まどろんだ世界から現実へと引き戻され祐治と簪はお互いの存在を確かめ合うかのように目線を合わせ見つめ合う。

 

 「行きますか?」

 

 「もちろん」

 

 シノン、ここのシールドバリアー切れる?

 

 まっかせて。ゆうくんは行くんだよね?

 

 あぁ、たくろうもやる気満々みたいだからね。

 

 そう、たぶんゆうくんが行くべき場所は私じゃ手が出せないみたいだから。とにかく気を付けて!!

 

 まかせろ!!

 

 シノンとの短いやり取りが終わると同時に第五アリーナを覆っているシールドバリアーが一時的に消滅し、それを確認した祐治と簪は上空へと飛び上がり、お互いの置かれている状況と学園の状況を把握すべく情報収集を開始する。

 

 「第二アリーナに正体不明のISが襲撃。ISはシールドバリアーを貫通する攻撃力を持ってアリーナに強襲し、アリーナ全体をハッキングしてバリアーのレベルを4で固定。遮断シールド、隔壁の制御も奪われ内部からの脱出は不可」

 

 

 簪は視線をせわしなく動かしIS全周囲視点に学園内で起きている問題に関する情報をありとあらゆる場所から集め、表示させ、信憑性が高く今必要な情報だけを抜き出し解り易く説明する。

 

 「第二アリーナ....そう言えば鈴が今日そこで一夏と決闘すると言ってましたよ」

 

 「うん、今織斑弟と桜井鈴音の二人で何とか食い止めてる状態。でももう持たない」

 

 「作戦は?」

 

 「正体不明のIS、イ-01が侵入してきた場所のバリアーの状態が安定してないから私の夢現と太郎の小太刀で突き破る。そしてイ-01を倒す」

 

 簪から情報共有の申請が来たので許可をすると、簪が呼称した正体不明のIS、イー01と内部で戦っている一夏と鈴音、第二アリーナの方角にそれぞれ赤一つ、緑二つ、白一つが表示される。

 赤がイー01、緑は一夏と鈴音、白は状態の安定していないバリアーの部分だろうと今までの会話で理解した。

 

 「作戦開始」

 

 簪の作戦開始の合図と共に二人は第二アリーナへ向けて空を駆け抜けた。

 

「たくろう」

 

「解ってる」

 

 IS学園の広い敷地内の中でも一際離れた場所にある第五アリーナだがISを身に纏った者なら有って無いような距離だったが、その僅かな時間でも戦況は刻一刻と変化する。

 目の前視界に映る第二アリーナはハッキングの影響か学園関係者の判断か、第二アリーナ全体を遮断シールドが覆ってしまった。

 

 「.....」

 

本物の分子分離機構を備えた小太刀ならばいざ知らず流石に試作型の小太刀と夢現では物理シールドは抜けない。

 時間をかければ何とかなるかもしれないが、一刻を争う上に虎の子の小太刀と夢現がもつかどうかも怪しい。

 

 だが祐治としては全幅の信頼を寄せるたくろう、もとい簪がいる限り必ずや打開策が見つかると信じてレーダーMAPに表示されている一夏、鈴音を注意深く見つめながら簪が口を開くのを待つのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 正体不明のIS、イー01の襲撃を受ける少し前の第二アリーナ。

 

 「鈴のやつ一体どうしたんだ、急に決闘だなんて」

 

 現在ここ第二アリーナの一角では白式を身に纏った一夏が何をするでもなく、手持無沙汰な状態で漂っていた。

 

 そんな一夏に話しかけようと周囲の女子生徒達がお互いを牽制し合っているが、当の本人は独り言をつぶやきながらゆらゆらと漂い続けている。

 

 「待たせたわね、一夏」

 

 「おう、鈴....って何だそれ?」

 

 一夏に声をかけたのは牽制し合っていた女子生徒ではなく鈴音。

 

 彼女ISとは違い、自身の身を複数の金属板を組み合わせた物で覆い、可動部には防弾、防爆、防刃性能を高め特殊な繊維で覆ったパワードスーツ、10式強化外骨格を身に纏い、背中に両刃の長刀を背負い、手にはアサルトライフ程の大きさの武器を持っていた。

 

 「あたしはこの子(甲冑)でどれだけISに対抗できるかって言うのを調べるのが目的」

 

 「それじゃ俺を呼んだ理由って....」

 

 「相手してもらうためよ」

 

 そういってにっこりと微笑む鈴音の笑顔に見とれそうになる一夏だったがせり上がって来た装甲が頭部を覆い、モノアイがあやしく閃くと手に持った武器を構え一片の迷いもなく引き金を引いた。

 

 「うお!!いきなりなにするんだ、危ないだろ」

 

 「戦いの中で待ったやめてが聞き入れられるなんて思わないことね!!」

 

 鈴音の持つ武器から打ち出された青白い光弾は一夏の身に纏う白式に命中し、シールドエネルギーを削った。

 

 「あたしは全力でいくわ。ISの、しかも専用機の性能が有ればそんな腑抜けた態度でも余裕でしょうけど、なめてかかると痛い思いするわよ?」

 

 「どうなっても知らないぞ」

 

 「それはあたしのセリフよ!!」

 

 そうして撃ちだされる光弾はなんども一夏を捉え、ISの攻撃程ではないものの確実にシールドエネルギーを削って行く。

 

 このままじゃジリ貧か、でもこの程度の火力なら一気に突っ込んで倒せるか

 

 「いけえええええ」

 

 鈴音の放つ攻撃は的確に一夏を捉えるが火力が低い、そう判断した一夏は被弾覚悟で間合いを詰め近接戦で一気に勝負をつける作戦に出た。

 

 「かかったわね」

 

 にやりと不敵な笑みを浮かべ、まっすぐ突っ込んでくる一夏へ照準を合わせると引き金を引いた。

 

 撃ち出される青白い光弾が一直線に一夏へと飛んで行くが大した威力がないと踏んでいる一夏は避ける事をせずそのまま光弾に向かって速度を上げていく。

 だが、今までは単発で撃ち出されていた光弾が引き金を引きっぱなしにする事で絶え間なく発射され、それはやがて一筋の光の束となり一夏を貫いた。

 

 「うお!!」

 

 避ける事を考えていなかった一夏はその光の束をまともに食らい、進行方向とは真逆に吹き飛ばされシールドエネルギーの半分を消失した。

 

 「どう?雷電のレーザーは。小型化されてるけど威力は大して変って無いわ。その代わり今の状態じゃ一発でお終いだけどね」

 

 鈴音の持っている武器は桜井研究所で独自に生み出された超高空戦闘爆撃機・雷電に搭載されているレーザーを小型化した物で、威力はそのままだが甲冑自体の出力の問題でレーザー状態は一秒しか維持できないが、その威力は直撃すればISのシールドエネルギーを半分近く削るほどである。

 

 「どうする?降参するなら今のうちよ」

 

 「まさか、ちょっと油断していただけさ」

 

 「その余裕がいつまで続くかしらね?」

 

 一夏は雪片弐型を構えなおし、鈴音は背中にマウントされた長刀を手に取り、代わりにエネルギー切れのレーザ小銃をマウントし長刀を構える。

 

 「それじゃいくわよ」

 

 「望むところだ」

 

 お互いに自分の武器を構え向かい合う二人は同時に距離を詰め一気に斬りかかる。

 

 「んな!?」

 

 「なんだ!?」

 

 だがそんな二人を引き裂くように天から一筋の光がアリーナのシールドバリアーを突き破り地面へと突き刺さると大きな爆発を起こし、周囲一帯を黒煙が支配する。

 

 「緊急事態発生、緊急事態発生。学園内にいる生徒たちは先生の指示のもと速やかに安全な場所まで退避してください。繰り返します.....」

 

 けたたましい警報音と共に流れる避難を促す放送がアリーナ全体に響き渡った。

 

 ----正体不明のISにロックオンされています----

 

 「あの爆風はISが起こしたって言うのか?」

 

 いまだに黒煙を上げ続ける爆心地からのロックオン表示に警戒心を引き上げた一夏は雪片弐型を持つ手に力を込める。

 

 「一夏、決闘は中止よ。あたしが時間を稼ぐからピットから逃げなさい!!」

 

 「女を置いて避難ができるかよ」

 

 「そんなこと言ってる場合!?....っと危ない!!」

 

 一夏と鈴音のやり取りを聞いていたのか正体不明のISは、その隙をついて一夏へ向けて攻撃を開始する。

 

 「っつ、やるじゃないの」

 

 正体不明のISからの攻撃に反応の遅れた一夏を庇うために鈴音は甲冑に備えられた噴進機を吹かし一夏へと近づくと勢いそのままに吹き飛ばす。

 そのお陰で一夏への攻撃は外れたが、その代償に鈴音は直撃を受けISと違いPICや絶対防御と言った機能を持たない甲冑は大きく吹き飛ばされる。

 

 「鈴!!」

 

 「あたしは平気、それよりも早く逃げなさい!!」

 

 「くそおおおおおお!!」

 

 直撃を受けたダメージのせいで身動きの取れない鈴音は一夏に向けて逃げるようにと指示を出すが逆上した一夏は無謀にも正体不明のISへと勝負を仕掛けてしまう。

 

 「何してるのよ、早く逃げなさいよ!!このままじゃ二人ともあの世行きよ」

 

 いくらIS、しかも専用機を身に纏っているとは言え一夏は素人。

 そんな素人が近接武器一つで完全武装した正体不明のISに対して攻撃を仕掛けるが相手はいとも簡単に避け、容赦ない追撃を浴びる白式のシールドエネルギーはあっという間に底を尽きようとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 「タイミング合わせ」

 

 空中投影されたいくつもの映像とキーボードを見ながらせわしなく手と目を動かしていたたくろうが合図を出す。

 

 5

 

 4

 

 3

 

「「今!!」」

 

 タイミングを計ったかのようにアリーナを覆っていた物理シールドが収納されて行き、5から秒読みをし、3で終わったにも関わらず寸分の狂いなく目標地点へと同時に突き刺された小太刀と夢現。

 

 過去にボイスチャットの内容をスパイによってリアルタイムで敵勢力へ流されていたことが有り、それの対策として意図的に暗号(A地点をB地点、B地点をC地点の様に拠点の名前を混ぜる)を使ったり、秒読みや作戦開始時間を中途半端な時間から始める事によってスパイされている事を逆手にとり電撃作戦を成功させた事があり、それの名残がこうやって出ることがたまにある。

 

 簪の計算通り不安定な状態だったシールドバリアーは二つの衝撃によりIS二機が悠々と通ることのできる程の範囲で崩壊し、祐治と簪は第二アリーナへ突入する事に成功した。

 

「そこだぁ‼」

 

 第二アリーナの中央に鎮座するイ-01に対して祐治は突入する勢いをそのままに真上から一直線に斬りかかる。

 

 一夏と鈴音、そして新たに加わった祐治と簪。刻一刻と変化する現状、そしてアリーナ内にいる生徒たちは一直線にイー01へと突貫して行く祐治に誰もが口を揃えた、危ないと。

 

 生徒たちの思った通り祐治の単調な動きにイ-01が反応しないはずはなく、真っ直ぐ向かってる祐治に向けてシールドバリアーを容易く撃ち抜いた腕部ビーム砲を向けるとアリーナを一筋の閃光が煌めいた。

 

 そしてそれを見ていた殆どの人物が最悪の結果を予感したが、そんな最悪の結果はあっけなく覆されることになった。

 

「一夏、鈴、無事か?」

 

「お、おう」

 

「遅かったじゃない」

 

「これでも急いで来た」

 

「そういう事」

 

 アリーナには傷だらけの一夏と鈴音、そして新たに無傷の祐治と簪と片腕を失ったイ-01。

 

 アリーナを覆うシールドバリアーを突破し内部に侵入し祐治を狙い打ち出された高出力のビーム砲を簪が祐治を吹き飛ばす事で避け、勢いそのままに朧月の連続使用で一瞬のうちに距離を詰めた祐治が小太刀で腕を切り飛ばし、僅かに遅れて来た簪がイ-01の反撃を許す前に瞬時加速(イグニッション・ブースト)を使った体当たりで反撃をしてこない距離まで吹き飛ばした。

 

 「それでは」

 

 「本番」

 

 先ほどの一連の流れはイー01が祐治達よりも一夏と鈴音を優先していたために行えた奇襲。

---------新タナ脅威ヲ検出、対象C.DヲA.Bノ上位対象ニ認定スル---------

 

 傷だらけの一夏達よりも祐治と簪の脅威を感じ取ったイー01は祐治と簪を排除するために行動を開始する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「すげぇ.....」

 

 祐治と簪を上位対象と認定してからのイ-01の攻撃は熾烈を極めた。

 重厚な巨体から雨霰と撃ちだされる大小様々なビーム砲の嵐は正確に祐治と簪へと降り注ぎ、アリーナ内部はイー01の攻撃によって壁や地面が抉られ、見るも無残な姿へと変わり最新鋭の設備を揃え、学生たちが授業や練習で使い賑わっていた頃の面影を僅かに残すばかりとなってしまった。

 だがシールドバリアーを貫いた攻撃を封じた事によって観客席には未だに避難しきれていない生徒達が残っているとはいえ、命の危険が薄らいだ影響か、落ち着きを取り戻し誰一人として取り乱す事無く着実に避難を行う事が出来ている。

 

 それに対してアリーナ内部では手酷くやられた一夏と鈴音が残っており、雨霰と降り注ぐ猛攻によって大きな被害が出ているのでは?誰もが思っているが、実際には祐治と簪が突入してきてからの被弾はゼロに等しい。

 祐治の圧倒的な反応速度でイ-01の攻撃頻度、各距離に対する手の内を引きずり出し、簪の持つ情報処理能力によってイー01のコンバットパターンは正確に解析され、一夏や鈴音へと流れ弾が向かわないように意図的に攻撃の間をずらす事によって安全圏を確保し二次被害を防ぎつつもイ-01へ対しての攻撃頻度を高めて行く。

 

 それは口で言うのは簡単だが、実際に行動に移すととてつもなく難易度の高い事であるが、祐治と簪、二人の息の合った動きはそう言った事を微塵も感じさせないものだった。

 

 「予想以上に装甲が厚い、このままだとこちらが押し切られる」

 

 「そう、ですか....」

 

 簪の言うとおりこの戦いはジリ貧。

 

 いくら片腕を落としたとは言え密度の濃いこの弾幕は徐々に二人のシールドエネルギーを削っていく。

 

 しかも身に纏っているISは訓練機の打鉄で、武装はお互いに近接武器一つだけなうえに試作品の小太刀に出来損ないの震える鉄板である。

 

 だが二人はそんな状態でもけっしてあきらめる事無く勝利という結果のためだけにありとあらゆる手段を講じて来た。

 

 その結果観客席にいた生徒達は皆無事で非難する事が出来た上に一夏と鈴音も今のところ無事であった。

 

 だが圧倒的すぎる戦力の差が祐治と簪を押しつぶそうとしている。

 

 「後一撃、持たないかもしれません」

 

 祐治の持つ小太刀は刃こぼれどころかISの力で振るいすぎたために柄から刃の真ん中あたりまで縦にうっすらと亀裂がはしっている。

 

「....」

 

 簪の持つ出来損ないの長刀も刃が欠け、鉄の棒状態で祐治と変らず限界を迎えようとしていた。

 

 「さてどうしましょうかね!!」

 

 満身創痍な状態でありながらも迫りくる攻撃を避け、隙あらば蹴りの一発でもお見舞いする姿はまるで鬼神の如く。

 

 「祐治!!一瞬で良い、俺にでもつけ入れる隙を作ってくれ」

 

 祐治と簪が時間を稼いだお陰か、さっきまで地面に倒れていた一夏がおぼつかない足取りながらも立って武器を構えていた。

 

 さらにイ-01は祐治と簪を脅威と捉えているため一夏が武器を構えていてもそちらに攻撃する事はなかった。

 

 「太郎、それ無人機」

  

 祐治との息の合ったコンビネーション攻撃をしかけながらも頭の中では常にイ-01のコンバットパターンをくみ上げていた簪が一つの答えにたどりついた。

 

 「だったらこの雪片弐型で!!」

 

 「わかった、たくろう!!」

 

 「ん」

 

 こうして祐治は一夏のために隙を作るべくイ-01へと突貫した。

 

 「さぁ、行くぞ!!」

 

 一夏のために無理やりにでもイ-01から隙を作り出すために祐治はさらに集中力を増し、打鉄の飛行速度を最大まで上で、イ-01を中心とした円を描きながら少しずつ距離を詰めていく。

 

 「そこだぁ!!!」

 

 僅かに高度を上げ、地面に立つ一夏に流れ弾が当たらないように注意しながらも小太刀の間合いに入った祐治はイー01へ小太刀を力いっぱい振り下ろす。

 

 「祐治!!」

 

 だがすでに限界を迎えていた小太刀はイ-01の装甲に触れると同時に甲高い音と共に砕け散る。

 

 「一夏!!」

 

 「っ!!いっけぇぇぇ!!」 

 

 ちょうど一夏とイ-01との間に立つような形となった祐治は自身が眼隠しとなり一夏の行動がぎりぎりまでイ-01の目に入らぬようにと引きつけ役となる事で何としても成功させようと試み、なおかつ攻撃をしようものならその一手を封じ込めてやろうという意気込みで極限

まで集中力を高めていく。

 

 そうして板挟みになった祐治は極度の興奮状態になり、砕け散った小太刀の破片が光を反射し重力に引かれて落ちて行く様を眺めながら極限状態でありながらゆっくりと流れる異質な時間に身を任せ周囲の時間の流れが遅くなる程の興奮状態でありながらも取り乱す事無く精神を落ち着かせイ-01が放とうとする攻撃一つ一つを確実に潰してゆく。

 

 迫りくる一夏を解っていながらもその場を動こうとしない祐治に焦りながらも一夏は刻一刻と迫る間合いと自身に許された唯一必殺の一太刀を必ずや成功させる為の心意気が史上最強の姉の後姿をみて育った彼の才能を開花させ始めようとしていた。

 

 祐治、早くどいてくれっ!!

 

 「斬って」

 

 「おおおおおおおお!!」

 

 短く、はっきりと聞こえた声に迷いを捨て一夏は祐治の背中越しに見えるイ-01へと斬りかかる。

 

 そして振り下ろされる雪片弐型は僅かに遅れたて聞こえる爆発音を引っ提げ白式の堂々たる存在感をアリーナに表すのだった。

 

 「はぁ....はぁ,,,,ふぅ~、勘弁してくれよ祐治」

 

 「上出来じゃないか一夏」

 

 火事場の馬鹿力で危機を乗り切った一夏であったが極限状態に長い時間置かれていたため疲労感が押し寄せその場にへたり込んでしまう。

 

 そんな一夏の正面に立つのが所々被弾し黒く焼け焦げた跡があるものの、曇りの無い輝きを放つ打鉄を身に纏い、手を差し伸べる祐治。

 

 「もう少し簡単につけ入れる隙が欲しかったな、はぁ~」

 

 一夏が泣き言を言うのも無理はない。

 

 なにせ一夏の太刀筋に押されたかの様に見える避け方は、横から飛んできた簪によるもので祐治としては、はなから避ける気などなく自分は最後の最後までイ-01の放つ攻撃を引きつけることしか考えていなかった。

 

 簪のタイミングが僅かにでも遅れれば一夏に真っ二つにされるところだったが、そんな心配は眼中に無かったのである。 

 

 「贅沢言うな、専用機持ちだろ?」

 

 「なんか自信無くなって来た」

 

 「頑張れよ少年!!」

 

 そう言って一夏の肩を軽くたたき、同じ歳だろと言う突っ込みを華麗に受け流すと笑い出し、この難題を切り抜けられた喜びに浸るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ちょっとあたしのこと忘れてないでしょうね」

 

 「あぁ、すまないすぐ行くよ」

 

 イー01の直撃を受け動けずにいた鈴音を介抱するべく一歩踏み出す。

 

 「いや鈴は俺が」

 

 「一夏、君は他に心配してくれている人の元へ行き安心させてやることだ」

 

 鈴音の介抱を名乗り出る一夏であったがイ-01に手酷くやられぼろぼろの白式を身に纏う姿を実の姉である千冬がさぞかし心配しているだろうと思いやんわりと断りを入れる。

 

 「いやしかし」

 

 「一夏、まかせておけ。たくろう」

 

 「....」

 

 一夏の発言を無理やり遮ると祐治は鈴音を担ぎあげ、いつの間にか祐治の隣に佇んでいた簪と共にピットへと消えて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

------------------

 

 

 

 

 

 

 

 

 「しかしまぁ、あの甲冑?随分と丈夫だな」

 

 「当然でしょ、特自(うち)の最高傑作の一つなんだら」

 

 「最高傑作がいくつもあるのか、恐ろしい所だ」

 

 正体不明のIS、イー01の襲撃から少したった今、祐治は鈴音を簪に預け、甲冑の除装と体の手当てを頼み、医務室へと運ぶと頃合いをうかがって様子を見に来た所である

 

 「はぁ、祐治にはいきなり貸しを作っちゃったわね」

 

 「いやいや、鈴の行動があったからこそ最小限の被害で済んだんだ尊敬するよ」

 

 アリーナを覆うシールドバリアーを貫通するほどの火力を持った正体不明のISが世界で唯一のISの専門学校であるここ(IS学園)に攻め込んで来たというのに人的被害は避難中に転んだりして手足を擦りむいた程度の怪我が何件かあっただけというのだから驚きである。

 単にここまで被害が少なかったのはISよりも遥かに性能が劣っているのにもかかわらず果敢にイ-01に向かって行った鈴音の功績を抜きには語れないだろう。

 

 「とりあえず鈴は今日一日ゆっくり休んでいるといい」

 

 「とにかくあたしが助かったのは祐治のお陰、感謝してるわ」

 

 ISよりも保護機能が劣っている甲冑で吹き飛ばされた事によって怪我自体は大した事が無いものの、軽い脳震盪と診断された事を知っている祐治は様子を見に来ただけだと言わんばかりに軽く言葉を交わすとその場を後にした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 次は黒兎隊を出すかセシリア強化月間に入るか
 とりあえず原作を眺めながら考える
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