IS 散弾の閃き   作:mizurahi

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前回のお話を特自視点から


31話 対特殊機動兵器自衛隊

 

「反応、消失しました」

 「ふむ、さてアリサ君どう思うかね?」

 「はっ、お兄様はやられていないと思います」

 「では救援部隊はいらない、と言う事で良いね?」

 「はい」

 

 ここは桜井研究所に併設されている特自の駐屯地内にある総司令部作戦室。

 ここには現在特自の最高責任者であるウルセライ陸将とアリサ、そして数人の特自隊員がおり、祐治が本当にウルセライの求める実力を持っているのかを確かめるべく行われているちょっとした試験の真っ最中である。

 

 「そうか、それなら作戦を続けたまえ」

 「了解しました。総司令部作戦室より作戦本部、作戦は第二段階へ移行」

 作戦司令部にいるウルセライの指示が待機中の特自隊員へと伝達され、駐屯地から特自隊員を乗せたヘリと雷電が飛び立つ。

 

 「結局彼は撃墜できたのかね?」

 「はっ、解析の結果が出ました。結果は直撃では無く、直前で誘導弾は迎撃されています。ですが爆風の範囲内にいたため少なからず被害を与えています」

 「ん、御苦労。捜索部隊は彼を補足したか?」

 「いえ、予定地から少しずれた場所に降り立ったため今だ発見には至っていません」

 「そうか....とにかく新しい報告を待とうか」

 

 こうして一段階目の試練を乗り越えた祐治は周囲を知り尽くした特自隊員によって囲まれていく。

 だが幸か不幸か予測されていた降下地点から少しずれた事によって待機していた救出部隊、今では捜索へと変っているが、その捜索部隊が見つけるよりも先に祐治は行動を開始した為、早急な発見に至らなかった。

 だが駐屯地から飛び立った新たな部隊と捜索部隊によって着実に周りを固められ始めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『こちら捜索部隊、降下地点と思われる場所へ到達、これより追跡を開始します』

  

 

 

 「陸将、捜索部隊からの情報をまとめました。お受け取りください」

 「うん、御苦労。どれどれ....」

 

 

 

 目標 -桐島 祐治- は現在ISを装着した状態で落下地点から島中央部の桜井研究所方面へと向けて移動している模様。

 約一時間前に落下地点から足跡を追っているが姿は見えていない。足跡を見る限りISを装着した状態で移動しているのは間違いないが、その移動速度はこちらを上回っている模様。

 こちらの手に入れた情報によれば目標の装着しているISは特殊な一時移行を行っているとは言え、その移動速度は予想以上で下手をすると追いつかない可能性すらある。そのため雷電による上空からの捜索を要請しているが発見には至っていない。

 それに加え数々のトラップを突破しているという点も気になる所である。

 

 

 「....」

 「あの....どうなさいました?」

 

 報告書を読みながら複雑な表情を浮かべ続けるウルセライに声をかけると手に持った報告書を声をかけて来たアリサへと手渡す。

 

 「.....!!....ふふ」

 「嬉しそうだね、アリサ君」

 「い、いえそんな事は」

 「いいんだ、君たちとしてはそちらの方が良いだろうからね。それにしても彼、桐島君だっけ?同じ名字で厄介なのを知ってるけど彼もなかなかだね、予想以上だよ。実はそこまで期待してなかったけどこれは少し期待できそうだ」

 「そ、そうですか」

 

 ウルセライの言葉にアリサは心底安心した表情を浮かべる。

 彼女自身だけでなく黒兎隊の面々は祐治の実力が確かなのはよく理解しているが特自の実力の高さに不安を募らせていたがウルセライに認められた事によって一安心といった所である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「失礼します」 

 「ん?....ラインリッヒ君か、何かあったかな?」

 

 祐治の捜索が始まって数時間、既に日は落ち山岳地帯は暗闇に支配されていた。

 

 「ようやく目標を補足した」

 「やっとか、随分と時間がかかったようだけど」

 「目標の実力が予想を遥かに超えていて手こずった様だ」

 「そうか、それで君がここへ出向いたって事は何かあるって事だね?」

 「えぇ、ぜひ彼と直接戦わせてほしい」

 

 総司令部室の自動扉を抜け、ウルセライの元へ訪ねて来たのは -オストヴィント・ラインリッヒ- 銀色の髪に赤黒い瞳、引き締まった体に特殊なパイロットスーツを着込んだ彼女は雷電Mk-Ⅱの正規パイロットの一人で今回の作戦に参加している。

 

 「ん~....かまわないよ。だけど単騎はだめだ、いくら雷電の性能が優れているとは言え相手は最強のISだからね」

 「もちろん、だが援護は最低限にしてくれ。IS相手にどこまでやれるか試す」

 「行けそうなら援護の手は緩めるから好きにやってくれたまえ」

 「ありがとう」

 

 

 ウルセライと短いやり取りを終えたラインリッヒは入って来た時と同じように自動扉を通り総司令部室を後にした。

 

 「あの、今の方は?」

 「そういえば君たちは初めて会ったかな。彼女はオストヴィント・ラインリッヒ、雷電Mk-Ⅱの正規パイロットの一人なんだけど色々と特殊な生い立ちでね、身体の調整を今までしてたんだよ....そうか、君たちの隊長は確かラウラ・ボーデヴィッヒだったかな。一応、彼女の姉と言ったところかな?」

 「それって、もしかして....」

 「察しはついてるだろうけど、姉だから君たちの隊長よりも様々な処置を受けている、と言っておこうか」

 「!!?....そう、ですか....」

 「色々と危ない所はあったけど見て解る通り今は至って健康そのもの。それにその処置のお陰で数少ない雷電の正規パイロットになってる訳だ。それに彼女の実力は折り紙つきだから手放すつもりもないし彼女自身もここを離れるつもりは無いんじゃないかな?」

 「....」

 「ちょっと言い方に問題があったかな?できればそんな怖い顔で睨まないでほしいな。有能で離したくないのは事実だけど彼女がここを離れるつもりが無いのは彼女を救った張本人がいるからなんだ」

 「す、すみません睨んだつもりは無かったんです!!」

 「いや君たちがボーデヴィッヒ君の事をそれだけ慕っている事がわかったよ、それに今のは僕の言葉選びに問題があったからね」

 「はい!!確かに隊長は我々は拒絶し、つらく当たる事がありますが生い立ちを考えれば当然です。ですが血の滲む様な努力をして今の立場を手に入れた隊長の気持ちを考えれば考えるほど尊敬し、そして支えになりたいと思うばかりです」

 「なるほど、それなら幾つか面白い話があるから聞かせてあげよう」

 

 こうして全身義体で齢90を超える特自の最高責任者と若干14歳のシュバルツェ・ハーゼ隊員が15歳の少女の話題で一盛り上がりしながら長い夜は過ぎて行くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「あの~陸将、目標に動きがあったとの報告が」

 「ん?そうかご苦労。それじゃラインリッヒ君の満足するまでやらせれみようか」

 「援護の方は如何なさいましょうか?」

 「最低限だ」

 「了解しました。通達!対IS戦闘用意!!」

 

 

   

 

 

 

 僅かに時は進み、特自格納庫内部では万全の状態で出撃の時を待っていた雷電Mk-Ⅱにオストヴィントが乗り込む。

 そしてアイドル状態だった噴進機は、その特徴的なエンジン音を響かせながら滑走路へと進み強大な推進力を見せつけるかの如く僅かな滑走の後、大空へと飛び立つのだった。

 

 目指すは 桐島 祐治....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 夜明けと共に山間から飛び出した祐治が身に纏うラファールは対IS用防衛兵器の数々を難なく乗り越え一直線に桜井研究所へと向かっている。

 だがその影を後方から捉えているオストヴィントは何の躊躇いもなく、雷電の持つ最も火力の高いレーザーを撃ちこんだ。

 

「あれを避けてくれるか....」

 

後方からの奇襲にもかかわらずレーザーを避けた祐治の力量に舌を巻きつつ祐治を追い越し、行く手を阻む様に旋回してその場に停止して見せるオストヴィント。

その戦闘機の枠組みから大きくそれた動きは対IS用に昇華された一つの完成系とも言える代物だった。

 

 「こちらラインリッヒ、目標との戦闘を開始する。」

 

 ラインリッヒが送った短い通信の後、人類史上初となるISと戦闘機による一対一の戦いが始まった。

 

 

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