IS 散弾の閃き   作:mizurahi

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6話 デュノア社の秘密

 

「はいはい負け負け。まぁいいわ、このデータを使って太郎の武器をちゃちゃっと仕上げちゃうから」

 

「それでは桐島様、シャルロット様、お部屋にご案内いたします」

 

デュノア社主催のオフラインイベントは戦場太郎とたくろうの圧勝という形で終わった。

そして戦場太郎の八人抜きが凄かったとか旅の宿の変態機動が凄かったなどと先程まで行われていた戦いの熱気楽しみながらそれぞれの持ち場へと戻っていった。

 

「じぃや、部屋に着いたら明かりがあって水を使える場所があれば教えてください自転車が汚れているので綺麗にしたいんです」

 

「かしこまりました」

 

そしてオフラインイベントを開いた建物から出て歩く十数分、日本では中々見る事のないプロバンス風の一軒家が見えてきた。

 

「しかしデュノア社っていうのは広いな、しかもここら辺は自然公園みたいになってるし、あそこにはいい感じの一軒家も建ってるし」

 

「お気に召した用で何よりです。

あそこに見える建物は、これから祐治様とシャルロット様が寝泊りする場所ですので」

 

「え?僕も?」

 

「えぇもちろんです。家族が一緒に生活する、当然のことでありましょう」

 

「そうか、えへへお兄ちゃんこれからよろしくね」

 

「あぁ、楽しくなりそうだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「では桐島様、ここをお使いください」

 

「ここISの格納庫....」

 

祐治はこれから数日間寝泊りする場所を案内されると先に送っておいた荷物の中から自転車の整備道具一式を持ち出し、シャルロットに一時間程で戻ると伝えると、じぃやと共に自転車を押しながらここまでやってきた。

 

「ここ以上にセキュリティの万全な場所もありませんから」

 

確かに、そう頷くと祐治は持ってきたバケツに水を汲み、自転車の整備を始めた。

 

「しばらく私の話に付き合ってください」

 

「もちろんそのつもりです」

 

目上の人に対して、こうやって作業をしながら会話をするのは失礼に値する。

そんな事は言われなくても分かっているが、自転車というのは人間の力だけで簡単に4-50kmの速さが出てしまう乗り物。

さらに自転車に乗るときの服装に至っては空気抵抗を極限まで減らすために薄くて肌にぴったりとした物。

そして車が走るすぐ脇を走る。

こんな時に自転車に不具合が発生し、車道に倒れたりしては命が危ない。

その為に祐治は自転車に乗ったらその日の内に汚れを落とし、細部にいたるまで自転車の点検を行うのが日課になっているので、これだけは譲れない。

 

「作業をしながらで失礼なのは分かっていますが命に関わる事なので許してもらいたい」

 

「いえ、作業しながら出結構です。

私も昔は自転車に乗っていましたから、その気持ちはよくわかります」

 

「まず、シャルロット様の件ですが。

私は本家の方々と接触させるのを避けるためにあのような形を取らさせていただきました。

シャルロット様は料理や洗濯、掃除といった家事全般を人並み以上にこなせますので祐治様の身の回りのお世話といった形で許可を得ました。」

 

「出来のいい妹を持つと兄は肩身が狭いですね」

 

祐治の軽い冗談にじぃやは慈悲にあふれた笑顔で返し話を続ける。

 

「そしてここからはデュノア社の内部でも知っている者が少ない極秘情報になります。

この先の情報は篠ノ之博士ですら知らない情報のはずです」

 

「それは.....それならば、シノン話に加わってくれ」

 

「はいはーい。

やぁこんにちは初めまして....ちょっとゆうくん作業しながらじゃ締まらないよ、もぅ」

 

そういうとシノンは辺りを見回し、何かを探し始めた。

 

「桐島様、それは?」

 

「篠ノ之束博士が作ってくれたAIです。彼女にもデュノア社について調べてもらっているので参加してもらおうかと思いまして」

 

それを聞いて少し考えるような仕草をみせるじぃや。

 

「ゆうくんゆうくん、あそこにあるモニターを持ってきてくれないかな?」

 

祐治は作業を一旦止め、近くで埃をかぶり、ほったらかしにされているモニターを自転車の近くまで持ってくるとシノンの姿が消えた。

 

「あれ?どこ行った?」

 

「ここだよー」

 

「祐治様モニターに」

 

祐治の小型端末からホログラムのシノンが消えたと思ったら、モニターに移っていた。

 

「電源も入ってないのにどうやって?」

 

「私にかかればこのくらいどうって事ないよ。とにかく話の続きをしよう」

 

シノンの準備も終わり、祐治は自転車の整備に戻る。

 

「しかし....この件は出来る限り....」

 

じぃやにとってよほど重大な事なのか、シノンが会話に参加すると聞いて思い悩むようなそぶりを見せる。

 

「失礼、私とした事がシャルロット様以外の事を心配してしまいました。

間接的とはいえ篠ノ之博士の支援を受けれるならば些細な問題です」

 

「余程重要な事みたいだね」

 

「えぇ、第二次世界大戦終結まじかのお話です。

私の父はここデュノア社で色々な研究をしておりました。

その時に偶然、謎の鉱石発見、という数百年前の文献を見つけたらしく、それについて詳しく調べたそうです。

調べた結果分かったのが。

粒子がとても細かく脆い。

細かく、脆すぎて使用用途が見つからない。

この地下鉱山以外に発見された形跡が無い。

この鉱石に目を付けた私の父は研究に研究を重ねました。

ですが成果という成果は産まれませんでした。

それでも父は必ずや何か特別な事に使えるはずと信じ、終戦のゴタゴタに乗じて地下鉱山を爆破したと嘘の報告をし、それに関係する書類を全て燃やし、サンプルを僅かに持ち帰り地下鉱山を封印しました」

 

「ん~でもその鉱山を隠していたって事実が明るみに出たところで何かが大きく変わるとは思えないけど」

 

シノンの言うように地下に鉱山を隠してました、と言ったところで鉱山に眠る物がとてつもなく危険だとか、そういった箔がつかない限り大事にはならないだろう。

 

「ここからが重要なのです。

私も独自にこの鉱石について研究してわかった事があります。

この鉱石を砕いて細かくしたものに粒子の塊をぶつけるとそれを吸収拡散するという特徴を見つけました」

 

「それってエネルギー兵器を無効化できるって事?」

 

「仰るとおりです」

 

「確かにそんなものが確立されたらエネルギー兵器をメインにしてる所はたまったもんじゃないね」

 

「ですがまだまだ不確立の技術ですし、効果を十分に発揮するためにはまだ研究が必要ですから誰にも知られる事がないように厳重に保管しなければならないのです」

 

「確かにいくら調べてもそれらしい情報は出てこない、ここまで徹底的にするなんてよほど思い入れがあったんだろうね」

 

「えぇ、記録は全て紙媒体ですし。ですが私一人の力ではこれ以上どうしようもないのでごく一部の研究者にサンプルをわたしておりますので、近いうちに何かしら進展があるでしょう」

 

「ふ~ん、ゆうくんはどう思う?多分あの人が一番気になってるのはこの事を束博士が知ったらどう思うかって事だと思うんだよね」

 

話が段々と難しくなってきて途中から会話に参加せず耳だけを会話に集中させ自転車の点検を行っていた祐治は少し考えるそぶりを見せた。

 

「どうって言われても、元々ISって宇宙開発用でしょう?別にエネルギー兵器が無効化出来ますって事を知ったところで、ふーんそうなんだー。で終わるんじゃないか?あの人自分の興味があること以外はほんとにどうでもいいみたいだし。それに俺よりもシノンの方があの人の事を理解してるんじゃない?」

 

「流石ゆうくん、その通り。ISを非人道的な事に使ったりしない限り干渉するつもりは無いから安心して研究してればいいよ」

 

祐治の発言に満足そうな表情を浮かべるシノンと、不安が払拭されて安心したじぃや。

 

「さって自転車の点検終わりっと」

 

「私も話しておくべき事は話しました。今日はお疲れでしょうからゆっくり休んでください」

 

そういって祐治とじぃやはISの格納庫を出て二手に分かれた。

 

 

 

 

 

 

 

「ただいまー。流石に今日は疲れたな」

 

じぃやと分かれた祐治はまっすぐデュノア社から提供された家へ帰ってきた。

フランスでは家の中でも靴を履いて生活するものだと思っていた祐治だが、この家では広い玄関があり、シャルロットの履いていた靴が揃えて置いてあっったので広い玄関に自転車を置き、靴を脱いで家の中へと入っていった。

 

「フランスでも靴を脱いで生活するって文化があったんだ」

 

「ここ最近みたいだよ、靴を脱いで生活し始めたの」

 

シノンとそんな話をしながらどこに何があるのか分からない家の中を歩き回っている祐治。

 

「ここが居間かな?」

 

歩き回るといっても二階建ての一軒家、日本の住宅よりかは遥かに大きいが光の漏れてくる扉を見つけたので、その部屋へと入ってみる事にした。

 

「シャルロット、いるか......と寝てるのか」

 

広い部屋、日本で言うところのの居間に当たるだろう部屋に置かれた大きなテーブルと椅子。

シャルロットはテーブルの周りにある椅子の一つに座りテーブルに突っ伏して小さな寝息を立てて眠っていた。

シャワーでも浴びたのか体の汚れは綺麗になり、埃と汚れまみれだった髪も艶やかな金色を取り戻している。

そのシャルロットの突っ伏している前には少し冷えた食事が用意してあった。

 

「まさかこのご飯はシャルロットが用意してくれたのか....まったく相当疲れているだろうによくやってくれる。こんなに出来のいい妹を持っていいのだろうか」

 

そういって祐治は自傷気味に笑うと居間を出てシャルロットが寝る部屋を探す事にした。

 

「やっぱり日本の家と比べると大きいなっと、ここかなシャルロットの部屋は」

 

二階に上がってきた祐治は自分の荷物では無いものが置かれている部屋を見つけると電気をつけて居間へと戻っていった。

 

「シャルロット、起きれるか?」

 

「ん~むりぃ.....」

 

「しかたない....落ちないでよ」

 

疲れきってしまったのか祐治の呼びかけに答えるのもやっとなシャルロット。

このまま寝かせては疲れが取れないだろうと思い、祐治はシャルロットを軽々とお姫様抱っこし、部屋まで運ぶ事にした。

 

「ん~あったかいよぉ」

 

「あんまり暴れると落ちるからねー」

 

言葉とは裏腹に圧倒的な筋力を誇る祐治は危なげなくシャルロットを部屋まで運んだ。

 

「着いたぞ、さぁ疲れているんだからさっさと寝る、いいね?」

 

「はぁ~い、お兄ちゃんおやすみ」

 

祐治はシャルロットをベットに寝かせ、布団をかけるとすぐに寝息を立て始めたシャルロットを確認し、部屋を後にした。

 

「さて、ご飯を食べてお風呂に入って寝るとしますか」

 

居間に戻った祐治はシャルロットが作ったと思われるご飯を食べ、お風呂に入るとすぐに部屋に行き眠ってしまった。

 

こうして祐治のフランス一日目は終わった。

 

 

 

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