完璧主義の変態紳士がファンタジー世界で匿名動画サイトを作ってエロと萌えと燃えと素敵なもの⭐︎をいっぱい♫広めて前途ある超優秀な若者達の脳を徹底的に破壊しただけなのに 作:かりん2022
生まれながらに魔力と魔導の才とに恵まれ、ケイオスに怖いものなど何一つなかった。
黄金世代と言いながら、自分以外は正直雑魚だと思っていた。
そんなケイオスは、気づいた。気づいてしまった。
魔導学院に張られた魔力、魔術を。
普通は、解析なんてしようとしない。だって、重要な国家機密かもしれないのだ。
でも、ケイオスは怖いものなんて何もなかった。
だから、解析した。幸い、部屋の中からでもアクセスはできたから、いくらでもこっそり出来た。
【ようこそ、魔導学院(裏)へ!】
四角い画面に、仮面にとんがり帽子、ローブにマントの謎の人物の絵が映し出される。
聞いた事もない、妙な声(合成音声)でその人は言う。
ご丁寧に、画面下には喋った声が文字で出ている。
【よくぞこの結界に気付いた! だが、これは自分で気づくことが試練なので、他の人には教えてはいけないぞ! お兄さんとの約束だ!】
どうやら男らしい。
【さあ、この魔法陣を与えよう!! これを使ってレッツ接続! 魔導学院(裏)に入学だ!】
信じられない。ということは、自分は今、スタートラインに立ったと言うのか。
「学校で何を学ぶんだって思ってたけど、面白いじゃん」
早速その魔法を覚えて起動する。
【ようこそ、魔導学院(裏)へ!
それでは注意事項を説明しよう!
1.この魔法陣や魔導学院(裏)については内緒だ! 探るのも厳禁だぞ!
2.アカウント名を決める際は、二度と変更できないからよく考えること。自分だとわからず、黒歴史にならない名前を決めるといい。本名なんて厳禁だぞ!
3.動画内での魔法・人物・出来事・常識は全てフィクションだからうっかり本気にしたり外で喋ったりはするなよ!】
注意事項が終わると、アカウント名の入力画面が出る。
適当に目についた宝石の名前を入力すると、画面が変わった。
【動画の視聴は光曜日と闇曜日のみ可能です】
「3日後か、つまらない」
その間、魔法陣を色々弄る。
技術も凄いが、発想が異質だと思った。
上には上がいるのだと自然と思えた。学ぶ事なんかないなんて、入学もできてないで嘯いていたことが恥ずかしかった。これに気づけたのだから、先輩もそこそこ凄いのだろう。いや、知らない人だっているはずだ。
そんな事をつらつらと思いながら解析をしていると、妙な部分に気付いた。
「まさか、管理者用の操作キーか?」
操作をしてみると、更に画面が変わって、注意事項が出た。
今度の注意事項は大量だった。そして、細かいスケジュール。
それを読み終わると、画面が再度変わる。
【生放送 動画 お知らせ 使い方 アップロード 幹部会議】
お知らせを見て遡ると、これは100年近くの歴史があるらしい。
100年祭のお知らせが出ていたことに驚く。100年も前にこんなものを作っていたのか。
使い方を見る。
コメント? アップロード? とにかく、高度な魔法であることは確かだ。
幹部会議を選ぶと、申し込みが出来るらしい。ただし、動画歴とコメント歴と言うのが出たから、これを出さないと幹部にはなれないだろう。
とにかく、光の曜日が楽しみだ。
どうやら日付が変わった瞬間からやっているらしい。動画を好きに選択できて見ることができるらしい。
闇の曜日は、午前は再放送、午後は生放送。
闇の曜日しかコメントは打てないらしい。
それにしても、ふむ……。
他の者たちは知っているのだろうか。
いや、でも試練だし、勝手に教えてはならないのか。
だが、知っているのにドヤ顔で今更教えたら、恥ずかしくないか。
しばし考えて、帝国の王子の一人が留学してくる事を思い出す。
そいつにだったら教えても良いだろう。100年祭に参加できないのは可哀想だしな。
その前にある程度調べないと。
俺は、その日を待った。
3日後。
光の曜日に早起きして、授業に行く前に動画を選ぶ。
色んな絵が並んでいて、そこから可愛い女の子の物を選んだ。
短いので、数字のついてないのを適当に選んだ。
絵の女の子が、滑らかに歌う。踊る。手足を出しているのにいやらしさのないその姿に、俺は射抜かれた。
可愛い顔をして、楽しそうに過激な歌を歌うその子に、俺は惚れてしまったんだ。
絵に文字が流れるのも変わっている。これがコメントか。
邪魔なら消すこともできるし、友達と話しながら見ている感覚も楽しめて面白い。
俺は学校をズル休みし、取り巻きにめちゃくちゃ心配された。
これは知らない。絶対皆知らない。こんな面白い物がやってる日に学校に行くわけがない!
しかし、朝4時から動画を見ること18時間。
生放送が2時間後には始まってしまう。そこから更に24時間なんて、耐えられるか?
俺は葛藤し、しかし我慢できずに44時間マラソンをしてしまい、次の日授業で倒れて本当に心配されてしまった。自分の欲望に負けた瞬間だった。
その間に、俺の人生に全く必要のない、嘘知識、無駄知識、破廉恥、変態な知識がどんどん増えていった。
なんていうか、すっごく穢されてしまった気分だ。
俺はもう知らなかった頃には戻れないのだ……。
薔薇とか百合とかぽろっと会話から漏れ出てしまったらどうするのだ……。
性転換薬とか媚薬蟲とか自白薬とか魔法の箒とか魔法の鏡とかあるはずのないものをぽろっと言ってしまったらなんとするのだ。
生卵を食べられるようにする浄化魔法とかいかにもありそうじゃないか。
魔導学院(裏)はこの国の恥なんじゃないか?
俺は知ってはならないことを知ってしまったんじゃないか?
皆、知らないふりをしているという可能性もあるんじゃないか?
散々悩んだ末に、俺は決断した。
俺はもう駄目だ。
孤高の天才はもういない。
ここにいるのは、絵に恋するヤベェ変態紳士である。
ならば。
ならば。
ライバルの家も引き込んで堕としてしまえ。
清廉潔白な俺ももういないのだ……。