いや、違うから。ロ○コンじゃないから。ハーヴィン好きなだけだから。 作:ガラクタ山のヌシ
タデウィリスという生徒はドラフであるためか、学内でも特に剛力で知られる。
恐らく純粋な膂力ならば在校生の中でも五本の指に入るのは確実だろう。
そんな彼は今、一日の訓練を終えて食堂で栄養補給をしようというところである。
「よぉ、カタリナ。混んでるからよ、隣の席いいか?」
「あぁ、キミか。別に構わないが…」
「あんがとよ」
そうして、トレーを持ったタデウィリスがカタリナの隣に座ろうとした時だった。
「あらあら、犯罪者予備軍がお姉さまに何用ですか?」
ニコニコと作り笑いを浮かべつつ、不機嫌オーラを出しまくっているのはヴィーラ・リーリエ。
カタリナの妹分であり、良くも悪くもカタリナを慕う…というかこのままいけば盲信の域まで達しそうなレベルの最早信奉者となってしまいそうなレベルの、ある意味危険人物である。
「あん?別に同期とメシ食ったって良いだろうがよ?」
「お姉さまをいやらしい目で見るつもりですかこのケダモノ!!」
人目も憚らず、何故だかヒートアップするヴィーラに、タデウィリスも臨戦体制に入る。
ちなみに食堂で隣の席になったのは本当に、たまたま偶然である。
「は?ふざけんな!!オレ様はヒューマン族に興味はねーよ!!」
毎度のことながら、突っかかって来る後輩にタデウィリスは再び頭に血が昇りそうになる。
短気はドラフ族の悪い癖である。
「こらこら、皆に迷惑だろう」
「うっ…申し訳ありません。お姉さま…」
カタリナに注意を受けたからか、ヴィーラはシュンとして、大人しくなる。
「ワッハッハ!!怒られてやんの〜」
ケラケラとタデウィリスが笑うと、ヴィーラはツカツカと彼の席に近づき…。
「フンッ!!」
「あ痛ってぇぇぇ!!」
目にも止まらぬ速さでタデウィリスの足を踏みつけた。
「えっ?オレ何にも悪いことしてないよね?」
「ヴィーラを指差して笑ったろう」
「ハァ?そんなん意趣返しでしょうが!!」
納得いかねぇ!!と鼻息荒く、今にも立ち上がりそうなタデウィリスに、カタリナは問いかける。
「いいのか?」
「あん?何がだよ?」
カタリナは疑問を投げかけるタデウィリスの耳元にすすす…と近寄り…。
「ここで紳士的な対応をしておけば、ハーヴィンの女子に良い印象を持ってもらえるかも知れんぞ?」
その言葉に彼はピクリ、と反応する。
カタリナが視線で示す先には確かにハーヴィン族の女生徒がキャッキャとおしゃべりに興じながら食事をとっていた。
「ヴィーラくん。申し訳ないことをしたな!!」
「あなた、本当に単純ですね…」
なお、タデウィリスの女子評は一連の流れを知る生徒により、さほど変化しなかったとか…。