サラダちゃんのターンになるとなんか途端に筆が進みました。
気軽に感想いただけたら飛び跳ねて喜びます。
次回からイタチさんのペットライフ!
木ノ葉隠れの里に1人の少女がいた。
後ろ髪が肩につく程度の長さの黒い髪に、長い睫毛に覆われたパッチリとした黒い瞳。大きな赤い眼鏡がチャームポイントの幼い女の子だ。
彼女の名前はうちはサラダ、木ノ葉隠れの里の忍者
彼女には悩みがあった。
自分の父親である人物と物心ついてから一度も会ったことがないという事実だ。
サラダはパパのことを写真でしか知らない。
もしも写真すら残っていなかったら、顔すらわからなかったのかもしれない。
かつて繁栄していたといううちは一族はもう、サラダの他はそのパパ……父しか残っていないのだという。何があってそうなったのかは知らない。聞いても誰も教えてくれない。そこもまた不満だった。
アカデミーで良い成績を修めても、いつも皆がいうのだ。
『サラダはいいよねえ、あのうちは一族なんだから』
『流石うちは一族の末裔』
『うちは一族ならこれくらいヨユーだよね』
いやいや、そもそもうちは一族がなんなのかすら知らないし、言われても困るし、私の努力はそこ無かったことになってるの? とサラダとしてはよく知りもしないうちは一族という眼鏡を通して見られることもとても不満だ。
物心ついて以来パパに会ったことのないサラダとしては、学校の成績は全て自分の努力の成果だと思っている。ママはいるけれど優秀な医療忍者である母は病院なりなんなり引っ張りだこだし、他の家庭みたいにパパに修行を見て貰えたりとかもない。
親友のチョウチョウは父親が修行付けたがることにグチグチ文句を言って、すぐ逃げたがるけれど、そうやって父に修行をつけてもらえる、構って貰えること自体がサラダにとってはとっても羨ましいのだ。
そりゃ、自分より恵まれていない人だっている。
孤児で親すらいない人に比べたら、会ったことがないとはいえパパがいて、家にいつもママがいる自分は恵まれているのかもしれない。だけど、そういう問題ではないのだ。
だってそうだろう? 他人の不幸を比べることに一体なんの意味があるのだ。自分より下がいる、だから自分は恵まれているなんて、そんなことを慰みにする方がよっぽど性格が悪いのではないか?
一度で良い、パパが家に帰ってきてくれたらこの不満は解消されるのだ。
だけど、自分が熱を出そうとアカデミーに入学しようと、サラダのパパが家に帰ってくることはなかった。
ママに尋ねてもいつも答えは同じだ。
『パパは大変なお仕事だからすぐには帰って来れないの』
『パパは私たちのことを大切に想ってる』
『大丈夫、パパとはちゃんと心が繋がっているから』
けれど、それが本当ならそれこそ帰ってきてくれてもいいんじゃないのか?
物心ついてから一度も顔を合わせたことがないなんて、異常じゃないか、と聡い子供だからこそサラダは思うのだ。
たとえ年に一度でもいい、ちゃんと帰ってきてくれたなら母のその言葉も信じられたのに。
それに、大好きなママを放ったらかしにしていることも、サラダから見たら本当に許せない、有り得ない所業だった。
サラダはママの事が好きだ。
パパや一族のことについて聞いても碌に答えてくれない事には不満があるけど、綺麗で優しくて強くて格好いい自慢の母親だ。自分の地味な黒い髪や瞳と違う、名前の通り桜色をした明るい髪の色も、綺麗な翠緑の瞳も温かくて華やかで大好きだ。
こんな素敵なママを放ったらかしにして何年もどこかに行ってるなんて信じられない。ママが他の人に盗られるとか思わないんだろうか?
私がパパだったら絶対ママを放ったらかしにしないのに!
(パパったら本当、ちょーしゃーんなろーだよ)
そう写真でしか知らない父親への不満を口の中で呟いて、この日も里の外れにある森の修行場までサラダは赴いていた。
(今日はママは夜勤だって言ってた)
だから、帰って来れないの、ごめんね、と言って母は冷蔵庫の中に御夕飯あるからね、とそう告げてバタバタと今朝出かけていった。それに対してサラダは「大丈夫だよ、私もう7つだよ? 1人でお留守番くらい出来るよ」と答えたけど、心配性の母親は「本当にごめんね」とサラダの体をぎゅっと抱きしめて、愛しいとそう言葉の代わりに言うようにサラダの額にちゅっと触れるだけのキスをして出て行った。
もうすぐアカデミーは夏休みだ。それを受けて、今日の授業も午前中だけであり、親友のチョウチョウにはアンコ先生と一緒に餡蜜食べに行かないか誘われたけど、その前にチョウチョウの元には父親の迎えが来てうやむやになった。
まあ、不満そうなチョウチョウに「行ってきなよ」と送り出したのはサラダなわけだが、こうしていざ1人になると寂しさが募る。
だってサラダはまだ7歳の子供だ。本当はもっと友達と遊びたいし、それ以前に親に甘えたい。ぎゅっと抱きしめて、頭を撫でてもらって、褒められて、他の子達みたいに修行を見て欲しい。
だけど、忙しい母親に迷惑をかけたくはなかったし、甘えるべき父もいない。いるけど、帰ってこない。それでもボルト達が悪戯にせいを出してつまらなさそうに「お前も来るのか?」と言われたら、むっとして「行かない」って言ってしまったあたり、素直に遊んでとも言えない。でも本当はボルトの事も気に掛かっているので、今度ついていってみようか、とそんな心もある。子供ながらに複雑な女心というやつだ。
だがまあ結局、今日は1人でこうして母の用意したおにぎりをモグモグと食べながら、里はずれにある森の修行場で1人修行することを選んだんだから、我が事ながらサラダは呆れかえるような心境だ。でも1人ぼーと過ごすくらいなら体を動かしてたほうがマシというものだろう。読書も好きだが、今はそんな気分でもないのだから。
そうやって1人で鍛錬してたのが悪かったのか、ふと気付いた時には既に夕暮れになっていた。
それにサラダは「熱中しすぎた」と頭を抱える。
この修行場は里の外れの、森に近い位置にあるからか、人があまり来ない。サラダは忍者の卵ではあるが、それでも実戦経験も何も無い未だ7歳の女の子だ。誰もいない、と思ったら急に心細くなってきた。
(幽霊とかでないよね?)
もう5年くらい育っていれば幽霊なんていないに決まってるでしょ? と馬鹿らしい迷信として切り捨てられたのかもしれないが、それは7歳の女の子には無理な相談だ。今更ながらサラダは1人でこんな森にこんな時間までいたことに後悔を始めていた。
そろりそろりと、サラダは足を動かす。
途中何度か休憩を挟みつつとはいえ、長時間の鍛錬で体力は残り少なくへとへとだ。おまけにさっき飲んだ分で水筒の水は空だし、急に見慣れた森が怖くなって彼女の足は重くなった。と同時に誰にも声をかけずここにきたことを後悔した。
こんなことなら誰かに言っておけば良かった……そう思っていやいやと首を横に振る。
母は今日夜勤なのだ、こんなことで母に連絡がいって、母の仕事の邪魔をすることになったら目も当てられない。ママにこれ以上メイワクかけられないよ……それにあとは家に帰るだけだし、と思い直して足を進めたその時だった。
幼いながら、サラダは優秀な忍びの卵である。故に、その風切り音に気付き、振り向いたのだ。
しかし、それまでだった。
なにかの接近に気付いただけで、幼い彼女はそれ以上の行動……例えば木の上に避難するとか、そういうことすら思い浮かばなかった。森に近いとはいえ、ここは里の修練場だ、だからこそ安全だとそう思ってしまったのも油断に繋がったといえるだろう。
突如木々をかき分け、森の奥から一頭の若い猪が飛び出してきたのだ。
そして同時にもう一つの小さな影が少女を守るように飛び出す。
サラダには何が起こったのか理解出来ず、幼い彼女はへたりと腰を抜かして座り込んだ。
* * *
……時は12時間ほど巻き戻る。
本来の巣立ちの時期より2週間から1ヶ月ほど早く巣立つことになった、うちはイタチという人間の記憶を抱えたまま転生した子鼬……尚自分の名はイタチだと自称している、は木の洞の中で巣立ってから初めての夜を過ごした。
目覚めは意外なくらい快適だ。
巣立ってしまった自分は母や兄弟達のいるあの穴蔵にもう戻ることは無い。
それに寂しさがないといえば嘘になるが、そこは野生動物である鼬と人間の感覚の差なのだろう。もう会えないとわかっていても、前世の虐殺の夜に弟と別れたときのような胸の痛みなどは特に生じず、普通に切り替えが出来ていた。
(いや、あれはあれで特殊か)
今は野生動物の一鼬でしかない身としても、前世にあたるうちはイタチという人間の経歴が異常なのはわかる。父母も一族郎党も自ら殺めるとなると野生動物でも早々お目にかかれないシチュエーションだろう。
……もっとも、野生の世界も一度巣立てば、実の両親や兄弟がライバルとなるのは別段珍しくないのだが。でも、あれはライバルとか生存競争とかそういうのじゃなかったからな、とそんな思考をしながらサックリ、流れるような動きで森の栗鼠を捕まえて朝食を終了させた。
その精錬された動きに無駄は一切含まれておらず、捕食される瞬間まで栗鼠は捕食者であるこの子鼬の存在に気付いていなかったあたり、たとえチャクラがなかろうと、前世から安定した気配の殺しっぷりと技術力の高さである。そのあたり、一度転生しようが忍びの性が抜けないイタチであった。
それから、昨日に続き今日も森の探索を続ける。
イタチは今世の縄張りは木の上から覗けば、薄ら遠くに火影岩の見えるこの森のあたりにしようと決めていた。
それにしても木ノ葉隠れの里は、イタチがうちはイタチという人間だった頃に比べて驚くほどの発展ぶりだ。
火影岩の上にもビルが建ち並び、見たことの無い施設も多い。
火影岩に掘られた歴代火影の数だって、うちはイタチが木ノ葉で忍びをやってた頃は4つしかなかったが、それが7つだ。
いや、五代目はうちはイタチの時とて綱手様だと把握はしていたのだが、その当時うちはイタチは里の敵であるS級犯罪者として暁に所属していたので、まじまじと綱手様の火影岩を確認にくることはなかったから、実質今世ではじめて見たようなものである。
だが、まあそれにしても……。
(カカシさんが火影になったのか……)
はたけカカシは前世で暗部時代自分の上司だった人だ。
暁として敵対している時は立場上手酷い言葉をとり、月読をしかけたりなどもしたが、たとえS級犯罪者として指名手配され暁に潜入しているスパイの身なれど、イタチ自身としては尊敬出来る里の先達だと、そんな風にカカシのことを思っていた。
まさかこの人が火影になるなんて、と意外な気持ちもあるが、きっと良い火影になったんだろうなと祝福したい気持ちもある。最も前世は犯罪者として死んで、現在はただの野生動物に祝福されたところでカカシさんも困るだろうけれど。
そして一番端の、最新の火影岩に掘られたその顔に、きっと自分が人間だったのなら頬が緩んでいたんだろうな、とそんな事を思いながら、それでも「フフッ」と嬉しい気持ちが抑えられなかった。
(とうとう、夢を叶えたんだな。おめでとう、ナルト)
うずまきナルト。
四代目の忘れ形見で、九尾の人柱力で、サスケの……前世の弟の友。
前世の自分は瞳力で無理矢理自分が描いた道を弟に歩かせる、そんな酷い兄だったけれど、それでもナルトがいたから、弟を諦めないと言ってくれたから、自分の間違いに気づけた、そんな側面もあった。きっとナルトなら大丈夫だとそれは信頼だ。あいつはどこか、前世の親友であるシスイとも似ていた。同じ心をもっていた、だからオレはナルトに託すことに決めたんだ。そしてそれは間違いじゃ無かったと、その火影岩に掘られた顔はそうイタチに確信させるには十分であった。
前世の自分の心残りは最早ない。
それでも、イタチは前世のうちはイタチだった時も、ただの子鼬である今も木ノ葉が好きだ。
あそこに掘られた歴代火影の顔岩達を眺めるこの時間が好きだ。
既に自分は最早忍びではない。
人間でさえない、ただの野生の鼬だ。
だからこそ、なんの柵のない今世だからこそ、人間よりずっと短い鼬生を、今回は里の側で、木ノ葉隠れの里を一望できるここで終わりたい、とそんな願望を抱く。
今の自分は自由だ。
どこにでもいけて、どこでも終われる。
だからここがいい。
それは前世のうちはイタチなら決して言わなかっただろう、イタチなりの我が儘だった。
そうして木々を飛び回り、前世の自分が生きていた頃とは若干異なる構造の森を把握する度に飛び回りながら、午後……太陽の傾き加減から判断するなら4時頃だろうか、イタチはそれに気付いた。
そうイタチが縄張りにすると決めた里近くの森、その付近の演習場で1人の少女が手裏剣術の修行に精を出していた。年齢は……アカデミーに入ったばかりだろうか? 一流の忍びに比べればお遊戯レベルではあるが、それでも年の割にはセンスがある。黒髪黒目に修行用の服を着て、的に向かってクナイや手裏剣を直向きに投げている。その容姿と、背中に描かれた家紋に、イタチは思わず唾を飲み込んだ。
(似ている……)
性別や髪型などは違う。
おまけに真っ赤な大きめの眼鏡をかけているので、一見した印象はそこまで似ているわけでもない。だがその子の顔は幼いときのサスケ……前世の弟に似ていると、イタチは思った。
それになにより、その背中の家紋……それは生まれ変わっても見間違うはずもない、「うちは」の……一族を示す家紋だ。
そして生き残った一族はもうサスケと……サスケが子を作っていたと仮定したらサスケの子しかいない。
(サスケの娘……か?)
最新の火影岩がナルトであることを考えると、おそらくこの世界は前世の自分が死んでからまだ30年も経っていない筈だ。うちはイタチが亡くなってからどれくらい経ったのか正確にはわからないが、流石にサスケに孫……が出来るほどの月日が経っている気はしない。
(いや、どちらでもいいか)
サスケの娘か、孫かはわからないが、それでもあいつが元気でいてくれるのなら、今も木ノ葉の忍びでいてくれているのなら、それに勝る嬉しいことはない。
きっとナルトのおかげだな、とイタチは思った。
そうして木の上から暫くその修行風景を眺める。
彼女は一通り手裏剣術の修行を終えると、もってきた水筒の水と3枚くらいのクッキーを食べて一服し、暫く柔軟体操をすると、今度は修行場に設置された案山子を敵に見立てて体術の訓練を開始する。
「たああ~!」
かけ声をあげながら、小さくて短い手や足を精一杯に動かす。
ただ、そうやって見てて気付いたのだが、彼女は強くなるために修行しているというより、ストレス発散を兼ねて体を動かしているようだった。前世の弟のように、強くなりたいって気持ちはそこまで伝わってこない。
思えば彼女は1人でこんな森の片隅にある修行場にきている。これくらいの年齢なら友達と遊んでてもおかしくないのに、保護者の姿すら見えない。
そのことが少し心配だった。
「はあはあ……」
そうやって眺めているうちに日が暮れてきた。
そのことに少女も気付いたのだろう。
もってきた水筒の水を飲み干し、タオルで汗を拭って、手裏剣ホルダーにもってきた手裏剣やクナイをきっちりしまうと、帰路につくことにしたようだ。
……やはり、保護者の迎えはない。
(……送るか)
自分が前世人間だった時代に生きてた頃に比べたら里の雰囲気は平和、といった空気があるが、それでもならず者がいてもおかしくはない。おまけに今の自分はただの野生の子鼬に過ぎない。それでもうちはの家紋をつけた前世の最愛の弟に似た面差しのこの子を、1人帰らせるのは心配だった。何が出来るでもないだろうが、気配を経ち、森の中を木々の上からついていく。
だから、当然彼女よりも先にその存在に気付いた。
森にほど近い演習場から里へと伸びている道のほうへと、森の中から一匹の暴走する若い猪が飛び出してきたのだ。
(危ないッ!)
それを見た瞬間、イタチもまたザッと木々の上から飛び出す。
これがもし、あと5年くらい先であれば多分彼女に手助けはいらなかったことだろう。
修行風景を見ても、忍びとしての才覚はある、とそう思った。だが、少女はまだアカデミーに入学したばかりくらいの年齢の子供なのだ。それも実戦経験も狩りの経験もなさそうな感じの子供。それに、ただでさえ修行でヘトヘトなのに、いきなり飛び出してきた野生の猪の相手をしろというほうが無理な話だ。
いや、そんなことは関係が無い。
イタチが、彼女を守りたいとそう思ったから、そう行動する、それだけの話だ。
そう判断したイタチの行動に思考とのブレはない。
そのまま野生の鼬としての身軽さを利用して跳躍する。
見たところ140㎝ほどある猪に対し、こちらは精々体長20㎝ほどだ。体重もあちらは100㎏はありそうに見える中、こちらは300グラムもあれば上々と、ウエイトも体格も勝負にすらならないほどに差異がある。だが、しかし此の世に弱点のないものなどないのだ。
こちらにもチャクラは使えないが、それはあちらも一緒だ。野生動物である猪にはチャクラで弱点をカバーなんてことも出来ない。鍛えられない箇所はある。
故に冷静に、目を抉る。
「ブモッ!?」
初手で目を潰された猪は痛みに悶絶しながら、自分の目を潰した鼬を潰そうと暴れ狂う。それをイタチはさっと避けて、猪のキバを起点にクルリと体を翻し、尻尾で傷口を叩き、肛門線から悪臭を思いっきり浴びせる。それに悶絶した猪は益々怒り狂い、ちょこまかとした動きで猪を誘導、直前まで意図を悟らせないよう立ち回り、そして奴の視界を潰したまま思いっきり巨木にぶつからせた。
相手の体重や行動を利用しての自滅作戦だ。
上手くいったようで、雄猪は目を回して気絶、ぶっ倒れた。
……流石に今は一鼬の身としては、これの息の根を止める手段は無い。猪の肉体は分厚い筋肉で覆われており、ちょっとやそっとの攻撃ではこの小さな体でダメージを通すのは骨が折れるし、下手なことをして眼を覚まさせるわけにもいかない。
大体、今優先すべきことはあの小さな少女の身の安全を守ることで、この猪を仕留めることじゃない。あの様子では当分猪は目を覚まさないだろう。ならば、いい。
そう思い、クルリと少女のほうを振り向き、イタチは地面に降り立った。
「きゅ?(怪我はないか?)」
通じるわけがないが、イタチは思わず彼女に声をかける。
少女はへたり、と座り込んだまま、赤い眼鏡ごしのまん丸な大きな瞳で小さなイタチの姿をパチパチと瞬きをしながら、見つめている。
「あの……」
やがて勇気を振り絞ったように、少女は、イタチのほうに慎重に歩を進め尋ねた。
「あなたが助けてくれたの……?」
これがイタチの前世だった人間にとって姪にあたる少女との、出会いだった。
続く