龍の背に乗って   作:irodori

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N番煎じの出涸らしかもしれませんが評価や感想もらえると嬉しいです


2019年の夏
ファースト・コンタクト


 空が落ちてくる。

 

 夢幻の力によって消し去られた隕石は、その際に星を作り変えるほどの膨大なエネルギーを生み出した。

 

 覆水盆に返らず。星の坩堝よりこぼれた流れは行き場を求めてさまよい続ける。

 

 ともすればその流れがある世界に押し寄せるのは必然だったのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ソレ」の存在が初めて確認されたのはいまから半年ほど前。

 当初は日本の一地域にのみ存在が確認されていたソレは、次第にその数と種類を増やし始め、山を越え、海を渡り、空を介して本土から遠く離れた離島にまで勢力を伸ばしていた。21世紀初頭に猛威を振るい、かつてのスペイン風邪のように、今や季節の流行り病とぐらいにしか認識されなくなったしたアレと同様、当初はその勢力の拡大を危惧されていた、が、新生物たちが一定の領域内から出ない、あるいは他の国々によってソレを領域外へと持ち出す試みが失敗に終わったことを受けて、多くの国々は安堵した。同時に、関わりたくないとも思っていたが。

 

 時々発見される色とりどりのカプセルや、驚異的な効能をしめす薬物、摂取した生物の能力を一時的に向上させる木の実といった魅力的な物品、とくに色とりどりのカプセル─のちにモンスターボールと名付けられる、は新生物たちを捕獲、収納、携帯できるという機能こそ明らかになっていたものの、依然としてその流通数が少なく、また種によっては炎や電撃、冷気に毒、果ては超能力のような霊的な力をも発揮する、それだけで人間にとって危険を及ぼしかねないものもいたことからその使用が躊躇われていた。

 

 ポケットモンスター、ちぢめてポケモン

 

 いつしか新生物たちはそう呼ばれるようになっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 九州地方・北部

 古くは海外との交流によって栄え、今もなおその地方で最大級の賑わいを見せたのは過去の話。異国情緒あふれるその街並みとは裏腹、昼間だというのにその人通りは少く、人通りもまばらである。この地はもともと工業、漁業ともに盛んであったものの、それだけに、件の新生物の大量出現の煽りを受けその活動を停止しているのが大きい。

 とりわけ、産業廃棄物や生活で出たごみを主食とするヘドロ状の生物(ベトベトン)ゴミの集合体のような生物(ダストダス)に大きく悩まされており、かといって外洋への進出を画策すれば、紅玉のような器官を備えたクラゲ(メノクラゲやドククラゲ)であったり、猛毒のハリセンボン(ハリーセンあるいはハリーマン)といった危険生物の被害にあうことは目に見えているのであるが。

 

 

 ともかく、そんな八方ふさがりの状況でめでたく高校生となった彼もまた、例外に漏れず、鬱屈とした思いを抱いていた。

 せっかく親元を離れ、親戚の家に身を寄せているというのに学校は夏休み明けから休校、アルバイトも休止、その他娯楽施設も当然のように閉鎖、おまけに外出そのものを自粛せよときた。多感な年頃の少年にはかなり堪える日々だろう。

 そんな環境に反発心を抱くのも当然のことであろう、彼はその日いつものようにあてもなく出歩いていた。

 

 自分を変えてくれる出会いがあるかもしれない、そんな期待をしても仕方がない。そんな相反する感情を抱えていつもの道を歩き続ける。ときどきコンビニによって雑誌を立ち読みしたり、昔遊んだ公園でひとり寂しく遊んだり。そして帰り道、いつも思うのだ、こんなことなら外出しなければよかったな、と。

 

 その日は珍しく、童心に帰りたかったのか、それとも特別な何かを感じてか山に出向いていた。

 

 そんないつもとはちょっと違う帰り道

 

 大げさな言い方をすれば、少年は運命に出会った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 きっかけはただの気まぐれだった。

 久しぶりに山頂からの景色が見たい、だなんて、そんなふうに思ったのが始まりだった。

 結局その日は予報にない雨にあって途中で断念せざるを得なくなってしまったが。

 しかし空を見上げてふと疑問に思う──ここまで天気とは変わりやすいものだっただろうか、と。しかしそんな疑問は悲鳴と争いの音によって打ち消された。

 ハッとして、そこから逃げるように山を下って行ったのが悪かったのだろう。自分はソレに出くわしてしまった。

 

 はもとよりこの世界に存在していたというにはあまりにも非現実すぎる見た目をしている。おおかた、最近話題になっている生物とやらだろう。

 

 このまま捨て置くのが良い、理性はそう語りかけた。件の新生物が発揮するその力は、明確な意図の有無こそあれど、連日世間を騒がせている。

 

 しかし、非日常への関心からか、はたまたそのような強大な存在を従える自分への承継からか、感情はひどく弱ったコレを見捨てる気にはなれなかった。

 

 そんな思い付きの代償に、いま自分は黄色い毛むくじゃらの蜘蛛(デンチュラ)と命がけの追いかけっこを興じる羽目になっている。

 

 人の丈ほどもあるソレは、降って湧いた新しい獲物への渇望か、それとも獲物を横取りされたことへの怒りからか、ギチギチと口鋏を鳴らしながらにじり寄ってくる。

 木の枝や石ころによって反撃を試みるが、あえなく電撃によって撃ち落され、そうこうしているうちに木々の合間を縫うようにしてそれは、あっという間に距離を詰めてきた。

 

 そして少年が死を覚悟した瞬間──何かがその間に割って入った。

 

 

 

 

 

 相対する二匹、オレンジの体に竜のような体躯

 そして尻尾に燃える紅炎こそが、それがこの世界のいきものではないこと物語っていた。

 

 対する蜘蛛は身を引き締める。捕食者から一転、捕食される側に回ったのだから。

 

 電流を帯びた網を吹きかけ、同時に逃げ場を封じるための電撃を放つ。

 いかに火竜とて、弱点たる電撃を浴び続けるわけにはいかないだろう。そう踏んで蜘蛛はさらに必中の追撃をもって畳みかけようとする。

 

しかしその目論見は、彼の竜の放った熱波によってあっけなく焼き尽くされる。

 

 熱風は策を焼き尽くし、電撃を押し流し、咄嗟に飛びのいた大蜘蛛は熱波に煽られる。

 

 得意の糸を無用の長物にされ、隠れることも逃げることも隠れることも封じられたその身にできることは、四方を取り囲む業火の中、己が運命を受け入れることだけであった。

 

 だが、炎に惑う中で蜘蛛が最後に目にしたのは、眼前に飛び込んでくる見慣れない青いカプセルだった

 

 

 

 

 

 「傷ついたポケモンをそのままにしておくべきではないよ、少年。少なくともボールに入れるか、しかるべき処置を施すべきだ」

 

 流れるようにこの場をおさめた少女の一言によって、少年はハッと我に返る

 

 「…ボールも持たずにデンチュラに挑んだのだとしたら、相当な狂人と見受けますが」

 とりあえずこれを与えるといい、と言って少女が渡してきたのは、見たこともないような果実に何かの薬剤そして赤と白で色分けされたボール、おぼつかない手つきでボールを手の中のコレに宛がえば、三度揺れてカチリと音がした。

 

 「まあ立ち話もなんだ、ゆっくりしていくといい」

 そういって彼女は微笑んで、自分の手を引いていく

 しかし不思議と警戒心はなかった。




文章かくのって難しいですね
とりあえず頑張ります
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